第6話「夜の約束――君との子どもを、迎えるために」
卒業式が終わった夜、春の風が心地よく吹き抜ける。
リビングの窓を開け放ったまま、美紅と悠真は並んで座っていた。
テーブルには、瑞稀が用意してくれた豪華な食事。
そして卒業祝いのシャンパンが一本。
「……おめでとう、悠真くん。卒業、本当にお疲れ様」
美紅が優しくグラスを傾けると、悠真は少し照れたように笑った。
「ありがとう。なんか、あっという間だったよ。
入学して、気付いたら――美紅さんの旦那になって、そして今日、卒業して……」
「ふふ。でも、これからが本番でしょ? 社会人としての一歩」
「……うん」
悠真はグラスを置き、美紅の手を取った。
「それでさ……今日、ちゃんと話したいことがあるんだ」
美紅は表情を柔らかくして頷く。
「……子どものこと」
その言葉に、美紅の瞳が一瞬揺れた。
「俺、美紅さんとの将来をちゃんと考えたい。
ずっと“卒業するまでは待ってほしい”って言ってたけど……いざ卒業したら、もう待てないっていうかさ」
「……本当に、そう思ってるの?」
「思ってる。今すぐにっていう意味じゃなくて、でも“覚悟”はもうある。
美紅さんの子どもを、この手で守りたいって思ってる」
すると美紅は、そっと立ち上がり――悠真の膝の上に座った。
「……私ね。もう名前も考えてたんだ」
「え?」
「男の子なら、大翔。
女の子なら、遥香と……彩。
悠真くんとの子どもなら、絶対に可愛い子になるって……ずっと思ってたの」
悠真は一瞬、言葉を失い、それから笑った。
「それ、俺が言うセリフじゃない?」
「ふふ……そうかも」
しばし見つめ合った後、ふたりはゆっくりと唇を重ねた。
◇
その夜――
ベッドルームで、ふたりは寄り添っていた。
美紅がそっと声を落とす。
「……ねぇ、悠真くん。今夜、ちゃんと“迎えようか”」
「うん。俺も、そうしたいと思ってた」
やがて、美紅はそっと悠真の上に重なり、
そのままふたりは静かに、愛を重ねた。
カーテンの隙間から、春の夜風が揺れ――
その部屋には、温かな気配と、未来への静かな願いが満ちていた。
◇
翌朝――
キッチンに立った美紅が、さりげなく呟いた。
「……悠真くん。もし、ほんとに赤ちゃんができたら――どうする?」
「全力で、喜ぶよ」
「……ならいい。うん、ほんとに、ならいい」
そう言って、美紅は笑った。
まるで――すでに何かを、確信しているかのように。
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