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『姉の同期が“推しモデル”でした。――交際0日婚…君に憧れて、君と結婚することになった夜。』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『交際0日婚ですが、姉の同期が“推しモデル”でした。―ふたりの未来と、演じる恋じゃない愛のかたち。』
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第8話「“家族になろう”という言葉の重さ」



映画の地方ロケが無事に終了し、ふたりが東京の自宅へと戻った夜。

窓を少し開けたリビングには、夏の終わりの風がゆるやかに吹き込んでいた。


撮影を終えた安堵感。

そして、もう“ただの夫婦共演”とは言えなくなった実感。


それを胸に、悠真と美紅はダイニングテーブルに向かい合って座っていた。

湯気の立つハーブティーを手にしながら、美紅がそっと口を開いた。


「ねえ、悠真くん……あの夜のこと、覚えてる?」


「……映画の? それとも、そのあと?」


「そのあと。……あなたが“子どもが欲しい”って言ってくれたこと」


静かな空気が流れる。


悠真はゆっくり頷き、美紅の手にそっと自分の手を重ねた。


「もちろん、忘れてない。……むしろ、あれ以来ずっと、頭から離れなかったよ」


「……私ね、あの言葉、すごく嬉しかった。

でも同時に、怖かったの。

女優としての仕事も、体力も、自分の将来も……全部守れる自信が、あるって言えるほど強くなかったから」


「……うん」


「でも、今日やっと、覚悟が決まったの。あなたとなら、“母親”になれるって」


その声には、迷いのない芯の強さがあった。

女優としての顔でも、モデルとしての顔でもない。

ただ、“ひとりの女性”としての、覚悟と愛情。


「だから、ちゃんと考えたいの。ふたりの“家族”って、どういうかたちがいいのか」


「……俺も、話そうと思ってた。今じゃなくてもいい。けど、どこかのタイミングで、家族全員で話す機会をつくろう。姉ちゃんや両親とも」


「うん。……もう、私たちふたりだけじゃなくなるかもしれないから」


ふたりは、見つめ合い、微笑み合い、そして静かにキスを交わした。



その数日後――


瑞希が、自宅を訪れた。


「……で、話って何?」


悠真と美紅が並んで座り、瑞希はソファで腕を組んでいる。


「家族として、大切な話をしたいんだ」


「家族……?」


悠真が頷く。


「俺たち、そろそろ“夫婦”じゃなく、“親”になる未来も見据えて動こうと思ってる」


「……!」


瑞希の目が一瞬だけ見開かれ、そして驚きのあと、ふっと優しく笑った。


「やっとか。てっきり、もうそういう気配あるのかと思ってた」


「え?」


「だってさ、映画のクライマックス見た関係者みんな言ってたよ。“あれは演技じゃない”って。

つまり、**リアルな愛の形を見せられるってことは、もう心も身体も覚悟できてるってことなんだよ」」


「……そう、かも」


「じゃあ、私から言わせてもらうね?」


瑞希は、美紅のほうへ顔を向けて、まっすぐな目で言った。


「おめでとう。そしてありがとう。……あんたが悠真を選んでくれて、本当によかった」


美紅は、両手で顔を覆いながら、小さく肩を震わせた。


その姿を見て、悠真もそっと寄り添い、瑞希と目を合わせた。


「ありがとう、姉ちゃん」


「なによ、今さら。私はずっと味方だって言ってきたでしょ?」


そして、ふたりを見守るように瑞希が付け加える。


「“家族になろう”って言葉はね――

誰かと未来を共に歩くってこと。

それは簡単じゃないけど……その覚悟があるふたりなら、きっと大丈夫」


その夜、ふたりは窓辺に立ち、夜風に吹かれながら、再び小さな手を重ねた。


「……ねえ、美紅」


「うん?」


「子どもが生まれたらさ、君みたいに優しくて、強くて、ちゃんと“本気で笑える子”に育てたいな」


「……じゃあ、あなたみたいに、誠実で、ちゃんと“手を離さない人”になってくれるように育てよう」


ふたりは、いつものようにキスを交わした。

でもそのキスは、“夫婦”としてのものではなく、

未来の“父と母”としてのキスだった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


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その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


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