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『姉の同期が“推しモデル”でした。――交際0日婚…君に憧れて、君と結婚することになった夜。』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『交際0日婚ですが、姉の同期が“推しモデル”でした。―ふたりの未来と、演じる恋じゃない愛のかたち。』
25/51

第7話「“本気の愛”が、演技を超えた瞬間」



秋の朝。

まだ陽が昇りきる前、映画撮影5日目の現場は静かに準備が始まっていた。


その日は、物語のクライマックスにあたる大切なシーンだった。

夫婦役のふたりが、お互いの過去とすれ違いを乗り越え、心と身体を重ねる“愛の再確認”の夜を描く。


監督は、演技の枠を超えたふたりの関係に絶対的な信頼を置き、こう宣言した。


「今日はカメラ、最低限しか動かさない。あとは、ふたりに任せる。演出も指示も、極力削る。……本気の愛を、見せてくれ」


スタッフの誰もが固唾を飲み、セッティングを見守った。



その夜のシーン。

舞台は、古びた山小屋の一室。

停電で照明もない中、ろうそくの灯りだけが、ふたりの表情を淡く照らす。


脚本では、言葉を交わさず、静かに手を伸ばし、抱き寄せるだけ――

あとは“任せる”という指示だけが書かれていた。


「……悠真くん、いこうか」


「うん」


撮影スタート。


しんと静まり返った部屋に、カメラの回る音と、ふたりの息遣いだけが響いた。


美紅が、悠真の胸にそっと手を置く。

そのまま、見つめ合い、唇が触れる――


そこからは、もう台本も演出もなかった。


ふたりは、互いを求め合うように抱き寄せ、ゆっくりと身体を重ねる。


首筋にキスを落としながら、

「……大丈夫?」とささやく悠真の声も、

「……うん、あなたなら」と微笑む美紅の声も、全てが**“素の言葉”**だった。


肌と肌がふれ、吐息が混ざり、

唇は何度も、何度も、深く、長く重なっていった。


まるで、“カメラがあることさえ忘れている”かのように。


「カット……」


監督が声をかけるまで、誰も呼吸を忘れずにはいられなかった。


「……すごい……」


「これ……本当に、演技?」


スタッフたちは誰ひとりとして動けず、静かな拍手がじわじわと広がっていった。


──


その日の撮影後、ふたりは着替えもそこそこに、夜の空の下で肩を寄せ合っていた。


「……演技だったのに、演技じゃなかったね」


「うん。俺……もう、どこからが役でどこまでが本気か、わからないくらいだった」


「私も。あなたのこと、ただの“共演者”としてじゃなくて、ちゃんと、“夫として”愛してるって思いながら……触れてた」


しばらく沈黙が流れ、悠真が小さな声で呟いた。


「……もし、今日みたいなシーンが、今後また来ても……俺、たぶん“お芝居”には戻れないよ」


「戻らなくていいよ」


美紅は、まっすぐに答えた。


「だってそれは、“愛してる人と、心を込めて触れ合ってる”だけなんだから。……カメラの前だって、関係ない」


そして、彼女はそっと手を伸ばし、悠真の頬にキスをした。


それは、撮影とは関係のない、誰も見ていない場所での――

本気の、夫婦としてのキスだった。


──


後日、そのシーンが編集室で再生された際、監督は深くうなずきながら言った。


「これは、恋じゃない。……愛だ」


そして映画は、作品の核としてそのシーンを中心に再構成され、

**“現実の夫婦だからこそ生まれた本物のラブストーリー”**として、全国公開が決定した。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


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その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


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