第0.01章 色即是空 8章 神に仕える少女
第0.01章
色即是空
アーナンダ、この世は全て、空だ
まぼろしだ
ともに食べている
このスジャータも
ぼくも、きみも
実在すると思うから
執着し、
苦しむ
幻影だと思えばわずらうことはない
きみが死んでもそのまま受け入れ
幻影が苦しんで死んでいくのをみているよ
きみもそうした視点で世界を見るんだ
そのまま事実を受け入れなさい
あがくと傷口が広がる
スッタニパータ、他、原始仏教諸経典
第8.00章
神に仕える少女
ふたりは風花の寒気がおさまるのを待っていた
いをりが言った
「サイダー飲んで15分すぎた
さむい?」
「悪化してる
ずっと歩いてたから」
「白いウェディングドレスの女の子は思いっきりグーで殴れば倒せるとして
もし喪服の男がきたら」
「さっきから言いそびれてたんだけど」
いをりは言った
「聞きたくないですのでそれは後日に」
「道から外れたところにある、あれ 長方形のあれ」
「しってますがそれがどうかしたのですか風花おねえさんそれがなにかわたしたちに
かんけいがあるのですかもしもないのならい」
「お願いがあるんだけど」
「おことわりしますだめですしむりですしそし」
風花が言った
「わたし歩けないから確認してきて
電源が切れる、あれが何か分からないまま暗闇になる
わたしブドウ糖打ってるからバッテリー切れる前に
自分でできたらもうやってる。こわい思いしたくないし、させたくない
ディズニーのスプラッシュマウンテンだって後悔したくらいだ
「怖さの種類違うよ。それ絶叫系だよ
今の状況はホーンテッドマンションでおねえ楽しんでたよ」
「ウォールトディズニーの世界で呪われたりしない」
「ちょっとまって、USB-Cあった
でもiPhoneだから繋がらない。わたししか充電できない」
風花は言った
「見つかった?状況は少し良くなった
でもよぎった言葉は、焼け石に水なんだけど」
「おねえのが充電できないのはAppleのライトニングケーブルのせいだ
みんなUSB-Cにしてるのに、ジョブズとクックがアイデアをUSB-Cに盗まれたのを
根にもっ」
「いをり、わたしもうだまれっていうエネルギーないしそれで発作起きたらあなたの
嫌いなジョブズだって」
いをりは言った
「わかった。見てくる。でもこれでいかにジョブズが些細なデザ」
風花はシリンジを取り出し服をたくし上げお腹を出して震える手で消毒した
いをりは立ち上がり道の向こう側にある箱に歩き出した