第4.00章 さくらのマーク
第4.00章
さくらのマーク
いをりは学校を出て姉のマンションに入った
風花はまだ帰っていない
いをりは洗面所で手を洗い、家の中を麻薬犬のようにうろうろ嗅ぎ回った
男性がこの家にいた形跡がないことを確認するため
仕事を終えると彼女はソファーに横になり寝てしまった
美しい茶道の所作をするのは神経を使う
この学校でいちばんの美少女、石花なつめ先生(24)が
「茶道では、形から入れば心も美しくなるっていうのを聞くよ」
と言うのを信じ美しい巫女になるため茶道を始めた
先月、なつめ先生がお医者さんと婚約したことを知りさらに信仰は深まった
七瀬いをりは都内にある女子高の2年生
ある日、勉強していたら右手の中指にペンだこができた
それはピンクのさくらの花のかたち
ペンを変えてみたけど良くならない
いやいやiPadとアップルペンシルで勉強することにした
Apple以外でそれができるのがなかったから
手のお手入れをANAの客室乗務員さん並みに気にしてたのになあ
なるつもりないけど
おじさんにブランケット手渡すのなんか嫌
何かを誤解されかねないそれはキケンだ
フライトお疲れ様。ビーフにする?お魚にする?それとも…
このセリフは結婚した時のためにとっておこう
いをりは、姉のマンションに泊まりにいくと一緒にお風呂に入る
仲が良いのもあるし、姉のスタイルと自分のを比べるためなのもある