七行詩二篇(「物語にしようと~」ほか)
○
物語にしようと女の子を一人取り出す
彼女が入っていたポケットをしまうと
その子はシクシクと泣き出す
友だちと遊んでいたのに
今日のおやつは大好きなゼリーだったのに
もう一度ポケットを取り出しても戻りたがらす
欲しいものを尋ねてもずっと泣いたままで
(20200413)
○
冷たく固まってしまった血液を
あなたへ分け与える
だらんと垂れ下がった腕を持ち上げ
指を一本々々握ってみる
今、あなたの身体を流れているのはセメント
感触がそう教えてくれる
頬を合わせると温かさが奪われていく
(20200413)