少年の手料理
「、、、、よし!あの、さっき冷蔵庫見たら卵とウインナー、ほうれん草、鶏肉と玉ねぎ、あとお米あったんで簡単なの作りますね!」
「えっ、いや、でも」
「ちゃんとした栄養ある物食べないと部下の人達に心配を掛けますよ」
「、、、、分かりました。よろしくお願いします」
そう真顔だけど心配な顔をしながら言われ、断れるに断れなかったので頭を深々に下げお願いした。実際に、過去に高熱出した事あったんだよな。それでめっちゃ心配されたのが良い思い出だな。黙々と料理の準備をしている少年を見てお風呂でのことを思い出した。
「そう言えば、君の名前まだ聞いてなかったね?俺も言ってなかったし」
「あ、そう言えばそうですね!僕もずっとお兄さんとしか言ってないし」
「僕は園田優月です!16歳の高校1年生です!」
そう言うと少年は準備してた腕を止めて俺の方を見て自己紹介をしてきた。園田、、、、部下の園田美咲と同じ名前だな。、、、、偶然だな。
俺も少年こと優月に続き自己紹介をする。
「俺は松崎奏馬、28歳で企画部って所で課長してます」
「課長さんでしたか。確かに、まだ部長さんには見えないな」
「どーゆう意味かな?優月君???」
「いえ、お気になさらず」
そして、呑気に会話していたが、ある事に気付いてしまった。
「!!!!そーいや、親御さんに連絡とかしてんの!心配かけてないよな!」
「それに、何でずぶ濡れだったんだ!!?」
「大丈夫です。僕、高校入ってから一人暮らししてますし、それに、僕の両親今海外にいてこっちでの親代わりの人は僕の心配しないし」
「あと、ずぶ濡れだったのは一旦学校を出たけど忘れ物して取りに行って帰ろうとしたら大雨が降って来て雨宿りしてたんです」
そう迫力全開で優月に言う俺。驚いた顔をしたけどすぐに元の顔に戻し、淡々と冷静に説明する優月。
「そーなんだ。なら、良いけど」
「、、、、奏馬さん、お味噌汁飲みます?」
「えっ?、、、、うん、飲めるなら」
「分かりました。暫しお待ち下さい」
そう言ってまた黙々と料理をしている優月を見る。何か、人が料理をするの結構好きかもしれないな、俺。ずっと見ていたからか、優月も痺れを切らしたのか、声を掛けてきた。
「、、、、、、、、」
「、、、、あの、何ですか?」
「えっ、いや、料理してるの見るの何か好きなんだよね」
「それなら良いんですが、ちょと恥ずかしいんですよ//見られ続けられるのも」
「ごめんごめん、なら、ちょと仕事するから、料理お願いしますね」
「分かりました」
そう言ってキッチンから離れ、綺麗になった書斎に座り、パソコンを開いてUSBを接続し、仕事を続きをする。
「(この企業に向けての企画だから、やっぱ中高生向けだからな。むずいな)」
今度コラボ商品を作る会社はファッションや小物、文房具を主な商品だ。客層は中高生が殆どだから、歳の近い社員に任せたりしている。
「(てか、俺の場合高校生だったの10年前じゃんか、、、、はぁ)」
「、、、、、、、、」
てな、感じで悩みまくっていたら背後から気配がし気にしなかったが、約3分ぐらいそのままで気になりすぎたので振り向くと優月がマジマジとパソコンを見ていた。
「、、、、優月?何かな?」
「あっ、いえ、その企画ってどんな感じにするんですか?」
「これ?、、、、んん、そうだな。やっぱり中高生を中心に向けたいから服とか小物かな」
「それなら、ユニセックス仕様、男女共に着れる系の服にしたらどうです?」
「え?」
優月の質問を答えたら、優月はしれっと気になる事を提案してきて、びっくりしていたら次々と色んな案を出してきた。
「例えばだけど、大きめで少しダボっとしてるパーカーとかも黒とか白も良いけど、淡いピンク色や淡い水色、青色、紺色とか出来るし」
「それと同様にダボっとしたシャツやトレーナー、Yシャツからニットってのも良いし、冬や秋ならオーバーオールとかコート、ブルゾンやマウンテンパーカーやカーディガンってのも良いですよね」
「、、、、」
「って、素人の僕が言っても変ですよね!すいません!!」
「ううん、その案良いかも」
「ヘ?」
「確かに、ここ数年で男女共に性別と問わず着れる服にも制限はない。それにお洒落でスカートを履いたりするし、優月!それは良いかも!!」
「本当ですか?奏馬さんが言うなら、良かったです」
「あっ、そうだ。そろそろご飯炊き終わるので呼びに来てたんでした」
「それを先に言ってよね。普通忘れないからね」
思い出したかの様に手を叩いている優月につい、ツッコンでしまった俺。何か、素が出しやすいなって思える。
キッチンに行くとご飯が炊き終わっていたのか、優月は素早く手を動かし、ご飯を殆ど使ってこなかった丼を持ちご飯をよそい、フライパンの方に行き、出来上がった物を乗せるとそれは、、、、
「!!、、それって、親子丼!!?」
「はい、鶏肉は多く冷凍されてたんでちょと多めの贅沢親子丼です」
「あとは、、、、」
そう言って片手鍋に入った味噌汁をお皿に並々と入れていく。
「、、、、!、もしかしてこれにも鶏肉入ってる?」
「気付きました?実は解凍したのがちょっと多かったのでお味噌汁に入れてみました」
「何か、こんな豪華な親子丼って初めてかも」
「嬉しいですね。やっぱ、そう言って貰えるのは」
「さっ!食べましょうか?」
「そうだね。冷める前に食べようか」
そう言って丼とお味噌汁が入ったお皿を取り机に置く。机にちゃんとした作ったご飯を置いてあるなんて久しぶりにマジマジと見た。だけど、これが普通なんだよなぁ何て思っていたら、、、、
「また、変な事考えてますよね?奏馬さん?」
「、、、、勘が良いね?優月、まぁ正解だよ。本当」
「早く座ってください。そして食べて下さい」
「はい。分かりました」
優月のちょと怒った雰囲気と口調のせいで敬語になったりしたし素早く椅子に座った。親子丼とお味噌汁、そして目の前には俺を認めてくれた優月。何か、今日は豪華だな。
「じゃ、いくぞ?せーの!」
「「いただきます!/いただきまーす!!」
2人同時に箸を手に取り、親子丼に箸を入れた。つゆがかかったお米に鶏肉が乗り、口を大きく開け、頬張る様に入れた。その瞬間、口の中に親子丼の旨さが広がった。
卵と玉ねぎの甘み、鶏肉の味がしっかり付いていジューシーで食べ応えもある大きさそして、つゆの味がしっかりと分かるお米。
「美味い!!」
「一つ一つにしっかりと味が付いていて、噛みごたえもあるし、味も濃厚じゃなくてさっぱりしててだけど食べやすい濃厚さで本当美味しい!!」
「、、、、///// ありがとうございます。久しぶりに誰かに作ったから、少し緊張してたんです」
「喜んで貰えて嬉しいです」
「本当に美味い!何杯でも食べれるぐらい!」
「分かりましたから、まだまだあるんで食べて下さい」
恥ずかしさと照れた顔で言う優月を見ると良い意味で年相応だなって思えた。
味噌汁が入ったお皿を持ち、口に汁を入れて飲む。その瞬間、味噌の濃厚でだけど食べやすい味と出汁の濃厚さとスッキリとした味わいが舌から感じた。次に味噌汁の具材を口に入れて頬張る。鶏肉の甘味とさっぱりしている味わいとえのきとワカメの食べ易さに、豆腐の濃厚だけど味噌の味がちゃんと付いていて、とても食べやすく美味しい。そして、何処か懐かしい味がした。
「、、、、、、、、(微笑む)」
「?どうかしました?」
「ぁ、いや、その懐かしい味がするし、本当に美味しなって思うな」
「そうですか、良かった。頑張って作って良かったです!!」
「、、、、///// ???(何な今顔赤くないか?)」
そう嬉しそうな顔をする優月は可愛らしいなって思えた。
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キュッキュッ ジャー
「奏馬さん、はい、これも拭いて下さい。ちゃんと」
「は、はい。気を付けます」
久しぶりにちゃんとした料理を堪能した後、優月と2人でお皿を洗う事にした。優月がお皿を洗い、俺がお皿を拭く事に。
「そうだ。優月、寝る場所はベット使って」
「イヤイヤ、僕は泊まらせて貰う側ですよ。だから僕はソファで寝ますよ」
「俺はソファで寝る事結構慣れてるし、それにしっかりと寝てほしいから、ベットで寝なさい」
「、、、、(ため息)わ、分かりましたよ。でも、奏馬さんもしっかりと寝て下さいね!」
「分かりましたよ、、、、まぁ、仕事するけど(小声)」
「なんか言いましたか????(鋭い目つき)」
「いえ、何でもありません。お気になさらず」
鋭い目付きで言う優月は何か、母親に似ててちょと怖かったので、いつもより早めに寝ようと思いながら、テキパキと最後のお皿を拭き終わり、2人で洗面台に行き、歯磨きを一緒にする。
「はい、これ新品のやつ、使って」
「えっ、良いんですか?、僕が使って」
「うん、別にまだあるから、使いなよ」
「分かりました。使わせて貰います」
そう言うと少し考え込みだ後、こっちを向いて歯ブラシを受け取りながら了承した。そして歯磨きをする。隣で歯磨きをする優月は横目に見るとやっぱり小柄だな、てかシャツ1枚だけで良かったか?てか、優月って女の子っぽいし一見他の人が見たら女子高校生を泊まらせてるって、、、、思われそうだな、、、、何て考え込んで歯磨きをしていたら、いつの間にか歯磨きが終わっていた。
「えっとじゃあ、僕先に寝させて貰いますね」
「では」
「そう?なら、ちゃんと寝るんだよ」
優月はそう頭を下げながら言い寝室へと向かった。その後ろ姿は最初の出会いから幾分印象は格段と変わった。やっぱり数時間一緒に居るが分かる事は少しながらある。例えばだが、疲れきていっていた顔の事情は分からないけど大人な雰囲気を纏っててクールぽかったけど、今は年相応で可愛らしくてだけどしっかりしててちゃんと人を見てて、家事が得意で人を褒める事が得意。怒る時はちゃんと怒ってくれる人だって分かった。
何て考えながら、いつもより早めの睡眠を取るためにソファに寝っ転がり、目を閉じれば疲れていたのか、いつの間にか寝ていた。
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