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無意識の弱音




「、、、、何これ、」


「あっ、お兄さん、どうですか?綺麗ですかね?」


「えっ、いや、超綺麗なんだけど」


そこに広がっていた景色はとても綺麗だった。と言うか、ゴミがない。足元がキチンと見える。


「えっ、これ1人で君がやったの?」


「はい、ここまでしか出来ませんでしたが、頑張りました!」


そう笑顔で答える少年の顔もとても眩しかった。こんな少年でも素早くそれも2LDKの部屋をここまで掃除したりして、それなのに俺は少年でも出来るのに大人の俺は出来ないとか本当、情けないな_____ハハッ


「いやいや、あのね!たった約40分だけでここまで綺麗にする事が出来る人中々居ないから!」

「凄すぎるよ。君は」


「そんな事ないですよ」


「んな、謙遜する事じゃないよ。ほんと、凄いよ。俺には無理だ」


「えっ?」


俺が無理だと思っていた事をたった40分でここまで綺麗にした事が俺の何かが壊れた。多分、俺にはやっぱり無理なんだって痛感させられたのかも知れいな。そんな思いもあるが、思っている事を思いの儘に少年に吐き捨てる様に喋る。


「頑張ったて、出来ないし、やってもやっても綺麗にならないし」

「仕事は出来んのに家事が出来ないし、なのに何故か完璧に出来るとか思われてるし」

「彼女の1人も幸せに出来ない奴の何処が完璧なんだって話だし、俺なんてダメ人間なのにね」

「、、、、本当に、君みたいに最初から家事が出来たら良かったな(苦笑い)」


「、、、、、、、、あの」


何て1人で次々とネガティブな発言をし続けていた。そしたら、少年の声で現実に戻った。少年の顔は少し悲しそうで困惑してるけど真剣な顔をしていた。その瞬間、恥ずかしさと焦り、そして自分の情けなさで頭が埋まった。


「!!ご、ごめん。変な事言った!この事は忘れて!ほんと、ごめんね!」


「あの!聞いてください!」


焦りながらも謝ったりしていたら、少年は大きな声を発し、俺の肩を掴んだ。


「!!ビクッ ぇ、、、、」


「知り合ったばっかりの僕が言うのも何ですが、言わせていただきます。貴方はダメ人間ではないですよ」


「えっ??それって」


「掃除している間、分かった事があります」


そう言って本などを置いている棚に向かう少年。


「今までにやってきた仕事の書類や大切にしている本、それに仕事で作ったであろう物だけはとても大事に、丁寧に扱っています」

「それにですよ、貴方がダメ人間と言うのなら、何故僕を家に上げたんですか?」

「あのまま、放置したって良かったのに」


「ッ!!」


「普通、びしょ濡れの男子高校生を家に上げようなんて普通の人は出来ません」

「それに、ダメ人間なら仕事を真面目にしないし、仕事で使う、使った物だって大事にしないはずです!!」


「、、、、で、でも「確かに!」!!」


「確かに、彼女を大切に出来ないのはダメな事です」

「でもです。彼女も貴方を大切にしてたんですか?」


「、、、、えっ?」


真剣な顔で確信を付く様な言葉を言う少年。


「だってそうでしょ?本当に大切にして貰いたいのなら、彼女自身も彼氏を大切にしないとですよ」

「そんな事が出来ない彼女こそ、ダメなんじゃないですか?」


「だけど、、、、」


「それに最初から何もかも完璧に出来る人なんて居ませんよ?」

「勉強も運動も仕事も、勿論家事だって頑張らなきゃ出来ない、こなす事なんて無理なんですよ」


「、、、、」


「僕も最初は料理も掃除も出来なかった。だけど、料理を頑張ったら家族が喜んでくれた、掃除を頑張ったら家族が褒めてくれた。そんな思い出があるから、僕は頑張れたんです」


そう真剣にそして俺の心に訴える様に話し続ける少年の顔はとても綺麗だった。


「お兄さんだって凄いんですよ」


「俺が凄い?」


「えぇ、だって、家事を頑張ろって思ったんですから」

「普通、苦手な事を克服する人なんてあんまり居ないんですよ?」

「だけどお兄さんは苦手な事から逃げるんじゃなく頑張ろって一度でも思った事が素晴らしいんです!!(笑顔)」


「、、、、!!!!!!」


笑顔で言われて何故か俺の心が何処か救われた気がした。確かに思い出せば勉強だって運動だって結果が良かったら家族が褒めてくれたから頑張れたし、仕事だって上司や同僚から褒めてくれたり頑張ったらちゃんと結果に残った体頑張れた。

元カノの事だったそうだ。出来るだけ休みの日は元カノに時間を使ってお金だって使った。元カノをちゃんと大切にしていたと思っている。だけど、元カノはいつも何処か不満げだった。そんな事にちゃんと気付かなかった。元カノから好きなんて付き合って最初の頃の数回だけだった。俺が大切にされたなんて思う事なんて殆どないに等しい。元カノは結果を楽しみにしててその間の過程に興味は無かったんだ。

でもこの少年は頑張った事を褒めてくれた。結果なんじゃない、その過程を見てくれたんだ。その事が分かった瞬間、目から涙が出ている事に初めて気付いた。


「!!ちょ、えっ!お兄さん!な、涙出てます!え!?何で!?」


「、、ごめん、大丈夫。何か、嬉しくてね」


「、、、、それなら良いんですけど、何かお兄さんっ最初のイメージはクール大人系ワンコって感じですけど今は、、、、泣き虫頑張り屋ワンコですね!」


「、、、、//// な、何でワンコなんだい」


「え?だって、誰かに頑張りを見て貰いたいところや褒めて貰いたい所とか、ご主人様にご褒美を貰いたいワンコに見えるですもん笑」


笑顔で言われて、結構恥ずかしかったのか無意識に右手で口元を押さえていた。少年は嬉しそうな顔をした後、何か思い出したのか声を出した。










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