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第65話 新たな冒険者ギルド


 すっかり辺りは暗くなり、ちらほらと置かれている街灯の明かりに照らされながら、マレインは現在暮らしている別荘へと走っていく後ろ姿を3人は見つめていた。


ライト 「とりあえず…冒険者ギルドの中に入らないか?」


リリア 「今日は初めてのダイヤスファ国で色々見てたら刺激を受けちゃって疲れたな~…。何かご飯食べたらすぐベッドの横になって寝ころびたい~」


ネイリー 「じゃあ、冒険者ギルドの中でご飯を食べたら今日は寝るか」


 意見が纏まり、3人はダイヤスファ国の冒険者ギルドの中へと入るために大きなドアを押し開くと、ガヤガヤとあらゆる方面から話す声が聞こえる。


 ギルドの中へと入ったばかりの3人はその場で立ちつくし辺りを見渡すと、情報を交換する者、併設されている飲食店で食べ呑みし雑談をしながら楽しむ者、サファイアローメン国の冒険者ギルドと差ほど変わらない光景だった。


ライト 「中はサファイアローメン国と変わらないな~!」


ネイリー 「そうだな。何だか安心するな」


リリア 「ね~!とりあえずあそこの飲食店で何か食べよ!」


 ギルドの出入り口から隣に併設されている飲食店の方へとリリアは指を差すとその場まで3人は移動しテーブルに付く。椅子に腰を掛けると3人はそれぞれメニュー表を眺める。


ライト 「サファイアローメン国とメニューはそれほど変わらないけど…この絵に描いてあるメニューはパスタか?」


ネイリー 「サファイアローメン国はどちらかと煮込み料理が多いが、ダイヤスファ国は麺のメニューが豊富だな」


リリア 「ミートソースとかカルボナーラは食べた事あるけど、それ以外にも見た事のない麺料理がいっぱいある!!…あっ!大皿で頼むと結構安いみたいだよ?」


ライト 「お金は依頼ですぐに稼げる訳じゃないし、1品大皿で頼んでシェアするか!どの麺料理が美味しんだ…?」


ネイリー 「この『ナポリタン』ってメニュー、ライトが好きそうだな」


リリア 「トマトソースで色々な具材も入っているっぽいね。これにする??」


ライト 「『ナポリタン』にするか!…んっ?このメロンクリームソーダって何だ!?」


ネイリー 「メロンソーダって飲み物にアイスクリームを乗せたメニューだな」


リリア 「美味しそうだけど高いね…」


ライト 「これはダイヤスファ国で稼いだ時だな…。とりあえず『ナポリタン』たのもーぜ!」


 サファイアローメン国では口にした事も無い料理に3人はメニュー表を長い時間悩み続けようやく注文が決まり近くの店員に声を掛け注文する。


ライト 「ネイリー、どうしてマレインの言葉を頑なに断るんだ?」


リリア 「マレイン様、ネイリーに対して何が何でも近づきたがっていたよね…」


 2人の質問にネイリーは無言のまま沈黙の時間が経つ。言葉に詰まるネイリーは呟く。


ネイリー 「同じ王族として気に入らない点があるからだ」


ライト 「気に入らない…?」


ネイリー 「弱いくせに向上心の欠片も無い点が許せない。王族は民を守るべきだ」


リリア (そっか。ネイリーは、同じ王族であるマレイン様を重ね合わせて見ているんだ…)


 迷いの無い真っすぐな瞳で堂々と発言をするネイリーに、リリアはアゴに手を置き考え込む仕草をする。しかし、その場にいる一人だけ言葉の意味を深く考える事も無く真に受けている者がいた。


ライト 「俺とリリアは強いから合格なのか!良かったな!」


リリア (うちら、そもそも王族じゃないし…)


 ライトはリリアの方へ振り向き満面の笑みでニッ!と笑う。リリアは満面の笑みで笑うライトに検討違いの話に無言の真顔で返す。


ネイリー 「強い事は充分に知っているが、そもそも王族でも無い2人に今回の話しは別だ。ただ、王族であるマレインは弱い自分に目を背けている気がするせいか…余計に腹が立つ」


 険しい顔で淡々と話すネイリーにライトはようやく理解が出来たのか顔から笑みが消え真顔になり考え込む。考え込んでいたライトは何か閃いたようで指をパチンッ!と鳴らし口を開く。


ライト 「じゃあ、俺らでマレインを強くしよーぜ!」


リリア 「えーっ!攻撃魔法の能力者なんてうちら扱えないじゃん!誰が教えるの?」


ライト 「ここの国に攻撃魔法能力者なんて腐る程いるだろ?」


ネイリー 「そうか…。いっそのこと、マレインには庶民の振りでもさせて住民に教えて貰うのも悪くないな。明日、この国を案内して貰うついでにその場の住民にスパルタで教えて貰おう」


ライト (ネイリーサン、コワイ…)


リリア (ネイリー、こわ…)


 ネイリーの瞳には火が灯されているかのようにメラメラと燃えながら明日の事を考え込んでいたが、2人は瞳を見つめながら言葉の意味に恐怖心を抱いていた。


 「お待たせしました!『ナポリタン』の大皿です!取り分けのお皿も置いておきますね」


 3人がついているテーブルの上に大皿の『ナポリタン』が置かれると初めて目にする料理を興味深々で眺める。


ライト 「うおーー!!うまそー!!」


ネイリー 「メニュー表の絵の通り、具材が沢山入っているな」


リリア 「野菜とソーセージ?トマトソースの良い匂いがする~!」


 湯気が出ている出来立ての『ナポリタン』をリリアは取り分けの皿に3人分を均等に分け各自座っている目の前に置く。均等に分けた皿を目の前に各自、フォークを握りしめ口の中へと運ぶ。


ライト 「いただきまーす!!…ん~~~!うめーーー!!」


ネイリー 「いただきます。…美味しい。世の中には美味しい料理が沢山あるのだな」


リリア 「いただきまーす!…色々な具材と甘めのトマトソースも麺に合うね!」


 3人は至福な表情で『ナポリタン』を口の中へ運び、ライトは急いで食べ過ぎたせいか口の周りはトマトソ―スで真っ赤となっていた。

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