左も右もみんな女!! 若い男は俺一人だけ! これじゃあまるでハーレムじゃねぇか!!
バン!!
「左も右もみんな女!! 若い男は俺一人だけ! これじゃあまるでハーレムじゃねぇか!!」
教習所に入ると、メスの魂の圧力で俺の魂は揺さぶられる。
女の魂1「あーら、若い子がきたねぇ。一緒に前世を語りません?」
女の魂2「あら佳恵さん、抜け駆けはだめよ。私が狙ってたんだから」
カシエル「いらっしゃいませー。どのようなご用件で?」
「この教習所どうなってんだよ!? ババァの魂しかいねぇじゃねーか。ぴちぴちギャルはどこいった!?」
カシエル「そういわれましても…。転生者運転講習は、事故で死傷かつ本人の意思で来てもらっています」
カシエル「若い男性はそのまま帰っちゃいますし、若い女性は家庭があるので運転事故は少ないのです。夫に先立たれた未亡人の方の入校が多いですね」
「俺が思ってたのと違う!!! 前回のワクワクを返せ!」
カシエル「そういわれましても…ううぅ…」
トゥンク…
「というか、この教習所の中で受付の天使の方が一番若くて美人じゃないか?」
カシエル「ええ!? そんな…。私2525歳ですよ。若いだなってんそんな…」
ウリエル「佐藤よ、早速ハーレムで口説きに来たか。周囲は老婆にしか見えぬだろう?」
「あ、ああ。18の合宿の思い出をぶち壊してくれるような悪夢だったよ、ここ…」
ウリエル「我には、絶世の美女も見える」
「なんだと!?」
ウリエル「魂の見た目は、本人が慣れ親しみ、印象が強い時期の姿を見せる。見た目が高齢者なら、それはその方の一番の姿ということだ。そして、見る側の心象も影響する」
「ということは?」
ウリエル「彼女たちが若い心を思い出し、全盛期に戻りたい、輝きたいと心から願うとその姿に変わる」
「つまり彼女たちを口説けばワンちゃんガチハーレムもありってことですねぇ!」
ウリエル「その通り! (言うても何かしらのトラウマで思い出したくない戻れない過去があるんだけど)」
b(指ビシッ)!
「よし! さっさと入校して、卒業してハーレム築くぜ!」
ウリエル「40歳には見えない容姿になったな。今35くらいか。霊界の飲みこみが早いなら、卒業までスムーズに行けそうだ」
俺のハーレム無双はこれからだ!!
カシエル「それで、通いと合宿。どちらのプランを選びますか?」
「さっさと卒業できる合宿プランで」
カシエル「優先的に実習を受けられる、スピードプランもありますが」
「さっさと卒業できる合宿プランで」
カシエル「はい。こちらが入校手続き資料になります。ここにサインしてください」
「なんでサインとか要るんだ? 天界では意識するだけで何でもできるのだろ?」
カシエル「ウリエル会長が、この形式の方が落ち着くし成果が出るって話だったと思います。おまじないみたいなものです」
(校長は、どうも日本の教習所のやりかたを踏襲しているようだな)
日本の事務的な説明と霊紋サインをして、入校手続きが完了した。
カシエル「では天界21号室に行ってください、ここから左行って右曲がってください」
「空港かよ…広すぎる」
移動は歩く必要がなく、念ずることで少し浮遊して高速移動ができる。
(天界では運転なんて発想はないだろうな。だって移動めっちゃ楽だもの)
「21号室はここか。さて、どれだけ入校したやつがいるのか」
ガラっ
老婆「こんばんは」
爺「どうも」
「……。三人だけ?」
ウリエル「全員そろったか? では入校の挨拶をはじめるぞ!」
ウリエル「ウチュウニホンに転移した時、我は校長からこういわれた」
ウリエル「自動車学校を卒業するにあたり大事なことは、時間を守る事である」
ウリエル「だが、天界には時間や物質の概念はない。だから天界の自動車学校ではこう言うのだ」
ウリエル「自動車学校を卒業するにあたり大事なことは、業を意識して潰されないことである」
三人「?」
ウリエル「人間時間にして14日ほどの転生者講習であるが、その間は運転の訓練は勿論、精神面での訓練が多い」
ウリエル「人間界でいうVRとは比較にならないほどの、被害者・加害者の疑似体験を最低12科目受ける必要がある」
ウリエル「過去に十数魂ほどは苦痛に耐えられずに意識が消失し、そのまま下界の獣に堕ち転生したケースがある」
ウリエル「先ほどサインしてもらった右下を見ているはずだが。我々自動車学校は、そのような自滅による消滅の保証はしていない」
ウリエル「各自で心を鍛えて卒業し、人間界で安全運転してくれることを願う。以上だ」
(なんだと!? 死んだ後の霊界でも、意識の消滅という死の概念があるのか)
ウリエル「ここからは、3人の卒業までのサポートをする担任のガブリエル教官に変わる」
ガラッ!
ガブリエル「はい! みなさんこんにちはぁ! 天界の移動、生活になれましたかぁー?」
(ヤバい天使が来た)