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第二十一話 奴隷がメイドの事を忘れてくれない

助手として働き始めたケミィに手を焼くカール。

研究室は何とか死守しているものの、一度のミスの傷痕は、今なおカールを苛むのであった。


どうぞお楽しみください。

「おいケミィ」

「何でしょうご主人様』

「何お前その格好」


 カールの指摘に、ケミィは自分の姿を回りながら確認する。


「何かおかしいですか? ちゃんとドレシーさんに教わった通りに着てみたんですけど」

「いや着方がどうとかの話じゃない。俺も別に詳しいわけじゃないからそこはいいとして、だ」


 一つ大きく溜息をつくと、カールはびしっと指を差した。


「何でメイド服着てんだお前は!」

「ご主人様がお好きだからです」

「即答しやがった! お前どこまであの本のネタで俺を追い込む気なの!? あの本捨てるから勘弁してくれよ!」

「安心してください! 本屋さんに取り置きしてもらってますから、捨ててもちゃんと新しいの買ってきます!」

「その優秀さを何で悪意に注ぎ込むの!? 取り置きとかふざけんな! 一刻も早く取り消せ! あと着替えろ!」

「わかりました。着替えますね。えっと……、どっちが良いですか?」


 ケミィが取り出した服に、カールの怒りが更に増す。


「何で看護師服とシスター服がうちにあるんだよ!」

「ご主人様はお医者様みたいなものですし、私が看護師服を着ても特に問題はないかと」

「ぐっ……! な、ならシスター服は何だ! 何の意味がある!」

「無防備なイメージがありますから、ご主人様の警戒心を解いて暴力を誘発できるのではないかと」

「お前の凶悪さが服くらいで隠せるか! とにかく普通の服着ろ!」

「どちらも普通に着てる人いますけど」

「ああくそややこしいな!」

「看護師服やシスター服に、いかがわしい意味を感じているんですね?」

「シスター服に変なイメージ持ってるお前が言うそれ!? とにかくあれだ! フリル付きのワンピース、あれに着替えろ!」

「ご主人様はああいう地味な服の方がお好きなんですね」

「もうお好きでも何でもいいから着替えて来い!」

「はーい」


 少しすると、ケミィはワンピースに身を包んで戻ってきた。


「よし、落ち着いたところで確認だ。お前、あの服どこで買った?」

「どこって、この村で女性向けの服を扱っているのは、ドレシーさんのお店しかないじゃないですか」

「ぐああああ! そうだよな! 着方教わったとか言ってたもんな! くそう、これで俺は変態確定か!」

「大丈夫ですよご主人様。村の奥様方も時々買っていかれるそうですから」


 カールはケミィの答えに頭を抱える。


「何一つ安心できる要素がねぇよ! そういう目的と思われるじゃねぇか! っていうか何!? この村そんなにコスプレ人口多いの!?」

「特に人気はメイド服ですって。奥様がそれで家事をしていると機嫌が良くなる旦那さんが多いそうです。そうだ! 購入者をドレシーさんに聞いて訪問してみましょう!」

「お前この村の旦那さん方を皆殺しにする気!? 何の恨みがあってそんな事するんだよ!」

「同じ趣味を持つ方って仲良くなりやすいそうですから、ご主人様が会話を広がるチャンスかと!」

「凍りつくわ! ひとっ言も声出せなくなるわ! とにかく余計な気を回すなよ! ワンピース好きも探さなくていい! 俺は俺で村の人と会話するから! いいな!」

読了ありがとうございます。


ドレシーの服屋の闇は深い。

夫婦円満のためだからね。仕方ないね。


次話もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] メイド服を着ること自体は間違ってないはずなのに、うっふん本がばれているせいで追い詰められるカールさん、おいたわしや(笑) 衣装、巫女装束ケミィちゃんも良かったです! いつもながら本当に美…
[一言] 各種取り揃えているドロシーさんの店が、ある意味スゴイ!
[良い点] ドレシーさんのお店の万能感(笑) 大事なインフラなんですね〜(*´艸`*) しかしカールもねばりますね(笑)
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