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第十一話 奴隷の服選びが楽しいようで楽しくない

ケミィの服を買いに服屋へと入ったカール。

女店員に気を取られるカールは、ケミィにいいように翻弄されるのであった。


どうぞお楽しみください。

「どうですか? 師匠」

「お、おぅ、に、似合うじゃないか」

「ふふふ、良かったですね、ケミィちゃん」

「はい! ありがとうございますドレシーさん!」


 ケミィがまとっていたのは、深緑色のワンピース。

 各所にフリルがあしらってあり、ともすれば暗くなりがちな地の色を華やかに彩っていた。


「ケミィちゃんくらいの歳なら、ちょっと大人びた色の中に可愛さを入れたら似合うと思ったんですよねー」

「さ、流石はプロですね。か、買わせていただきます」

「ありがとうございます!」


 嬉しそうに微笑む服屋の女店員・ドレシーに、相好を崩すカール。


「あの師匠」

「な、何だ弟子よ」

「もう二、三着買わせてもらってもよろしいですか?」

「も、勿論だ。好きなものを買うといい」

「ありがとうございます! 流石師匠は器が大きいですね!」

「そ、そうか?」

「はい! ドレシーさんも払いの良い男の人って素敵だと思いません?」

「えぇ! 素敵ですよね!」


 二人の笑顔に、カールは完全に陥落した。


「よ、予算とか気にしないで、似合いそうなものどんどん着せてやってください!」

「流石は師匠! 漢気がとどまるところを知らない!」

「じゃあ次はパンツをメインに、動きやすそうな組み合わせにしてみましょうか!」

「お願いします!」

「お、お任せします」


 きゃっきゃと楽しそうに服を選ぶ二人を眺めて、顔の筋肉が溶けるカール。


(……思い返してみると、万能薬の製法を売ってえげつない額の金をもらったけど、研究機材とかにしか金かけてこなかったなぁ……。人に金を使うってこんなに楽しいんだ……)


 カールが斜め上を見上げながら感慨に浸っている間に、着替えを終えたケミィが戻って来た。


「師匠、どうですかこれ! 薬品の調合にも使えそうな動きやすい服装です!」

「おお、似合っ……」


 視線を落としたカールは、そこで完全に固まった。

 胸だけしか覆っていないチューブトップ。

 布をケチったのかと思える、肩周りだけの半袖ジャケット。

 太ももを惜しげもなくさらすホットパンツ。

 身体の表面積の半分も覆えていない格好に、カールの心には劣情よりも先に怒りが巻き起こる。


「阿呆かぁ! ワンピース水着の方がまだ表面積多いじゃねぇか! 薬の調合を何だと思ってるんだ! 一滴でも肌を焼く薬品もあるんだぞ!」

「はい!」

「何でそこでそんないい返事できるの!? そこはビビれよ! いや無理だなごめん俺が悪かった」

「ご理解が早いですね! 流石です!」

「何で俺褒められてるの?」


 頭を抱えるカールに、ドレシーが恐る恐るたずねる。


「……あの、お気に召しませんでしたか……?」

「へぁ!? え、いやその……」

「ケミィちゃんのはちきれんばかりの若さと元気さを表現するには、こんな攻めた格好もいいかなと思いまして……」

「ど、ドレシーさんのチョイスでしたか! いやー、流石はプロ! 良いですね!」

「でも今全否定を……」

「薬の調合には向かないと言うだけで、普段着としてはばっちりです!」

「良かった……」

「服を痛めかねない薬品の調合の時には、ドレシーさんが選んでくださった服は使わせませんから! 大事に着させます!」

「ありがとうございます!」


 ドレシーが笑顔に戻ったのを見て、カールは胸をなで下ろした。

 その袖をケミィはくいくいと引く。


「何だ?」

「お耳を」


 言われるまま膝を曲げたカールの耳に、にたりと笑ったケミィの声が滑り込む。


「ご主人様はこういう露出の多い服が好きなんですね」

「だっ、違っ……!」

「『普段着としてはばっちりです!』とまで言っておいて?」

「だからそれは、選んでくれたドレシーさんへの配慮であって……!」

「本当は気に入らないと? なら私そう言って代えてもらいますよ?」

「おい馬鹿やめろ……! それはそれで買ってやるから……!」

「ほんと必死ですね」


 否定をしようにも、目の前にドレシーがいてはそれもままならない。

 小声で必死に懇願するカールに、ケミィは頬を緩めた。


「まぁ私もこれ気に入りましたから、買ってもらえるのは嬉しいです」

「そ、そうか。良かった……」

「殴られた痕とかアザとかがばっちり見えますもんね」

「露出をそんな風に捉えるのはお前ぐらいだよ……! もうちょっとまともな服を二、三着買ってこい……! その格好で出歩かれたら俺が社会的に死ぬから……! 早く……!」

読了ありがとうございます。


風が語りかけます。

ちょろい、ちょろすぎる……!


まぁ店ごと買っても全然平気な財力あるんですけどね。

……ブルジョワめぇ……!


次話もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] カールさん、本当にちょろい……ドレシーさんはケミィちゃんを着飾らせるのが楽しいのが半分、いいカモを見つけたというのが半分のような。 [気になる点] やはりケミィちゃんはドMの皮を被ったドS…
[一言] 「ここからそこまで全部」って感じにはならないのですね(笑)。 あと、メイド服は買わなかったんだ。ふ~ん。(←いえ、特に含むところはございませんよ。特には……。)
[一言] ドМ奴隷ケミィとドレシーのファッションショー1 <i599683|34709> ドМ奴隷ケミィとドレシーのファッションショー2 <i599684|34709> ドМ奴隷ケミィとドレシーのファ…
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