不思議な人たちの不思議な世界。
___僕は、この不思議な世界を自分で選んできたんだ。
僕がこの世界で、歩いていると?
泥んこまみれになって遊んでいる人たちがたくさんいたんだ。
僕はね! 不思議に思い、一人の人に聞いてみたんだよ。
『そこで、何をやってるの?』
『俺は、何でも出来るんだぞー! 金もある! 地位もある! 俺はなんだって!
出来るんだ! 皆、俺に跪け! 俺に服従しろ!』
『・・・えぇ!? 何を言ってるの?』
僕は、そこに居た! 他の人にも聞いてみたんだ。
『そこで、何をやってるの?』
『私が目指していた“女優”に私はなれたわ! スポットライトを
浴びて、皆が認める! 一流の女優に私はなったのよ!』
『・・・泥遊びをしているだけなのに?』
僕は、もう一人! 聞くことにしたんだ。
『そこで、何をやってるの?』
『ずっと、お菓子は食べちゃダメって! ママに言われてたから。
ずっとずっと我慢していたけど? 今は好きなだけ! 食べてもいい
んだって! 私は飽きるまで食べ続けるわ!』
『・・・それ? 泥だよ。』
___よくよく見たら?
看板があったみたいだ!
看板には、【自分の好きな夢が見れます! 自分の夢や理想が叶った
輝かしい夢をあなたも見ませんか?】そう書かれていた。
僕には、ただ泥遊びをしているようにしか? 見えないけどな~
それが! この人たちは楽しいのだろう!
*
___次に僕が来たのは?
グツグツと大釜でお湯が沸いている中にたくさんの人たちが
その中に入れられるところ。
その中に、入れられた人たちは?
“茹蛸”のように、体中が真っ赤になり皮膚がただれている。
苦しそうに、もがき苦しんでいるように僕には見えるのだけど?
その中に入っている一人の人に僕は聞いてみたんだ。
『そこで、何をやってるの?』
『皆で、ライブを楽しんでるんだよ! ボクの行きたかったクライリーの
ライブなんだよ! チケットが1分で即完売するというあのクライリーの
ライブに僕は来てるんだ!』
『・・・大きな釜で茹蛸になる事が?』
試しに! もう一人、聞くことにしたんだ。
『そこで、何をやってるの?』
『家族みんなで、海に来ているのよ。わたしね? 夢だったのよ!
三世帯みんなで! 海に来ること! おばあちゃんも喜んでるわ!』
『・・・あぁ、あのおばあちゃんかな? 死にそうになってるけど。』
___あぁ! ココにもよく見たら?
看板があったみたいだ!
看板には、【みんなで、同じ夢を見て、楽しみましょう! 共通の
夢を皆で見れますよ!』そう書かれていた。
僕には大きな釜で、タコを茹でるみたいにグツグツと煮込まれている
ようにしか見えないよ! これの、何が楽しいの?
*
____その次に僕が来たのは?
火で人が炙られている! 悲鳴も聞こえているよ。
【ギャーーーーーーーアアアアア!!!】
僕は早速、そこに居る人に聞いてみた。
『そこで、何をやってるの?』
『度胸試しだよ! 俺は男だ! こんな事に負けてたまるか!』
『・・・負けてもいいと思うよ。』
もう一人、聞いてみるかな?
『そこで、何をやってるの?』
『足つぼマットを歩いているのよ! 健康のためにね! あなたも歩い
てみない? 健康にいいわよ』
『・・・やめておくよ! 体中火傷をしそうだからね!』
___あぁ! やっぱりあった!
看板があったよ!
看板には、【精神を鍛えろ! 弱い心を払いのけろ! そんな夢を
見たい方の願いを叶えますよ!】そう書かれていた。
僕には、火炙りをしていようにしか見えないよ。
こんなの全身火傷して、大変な事にならないの?
*
___そもそも!
ココの世界の人たちは? 何がしたいの?
【不思議な人たちの不思議な世界。】と書かれていたから?
僕はこの世界を選んで来てみたのだけど、、、?
謎が多すぎるよ。
“欲望と本能”のままに、自分のしたい事だけをやりたい!
当たり前だけど? 人間にはルールや規則が存在している。
そうやって、人間社会は成り立っているから。
でも? ココの人たちは違うよね?
【欲望にまみれて】現実が見えていないみたいだ!
幻想や夢の中での出来事を “本物の世界” だと思い込んでいるみたい。
現実逃避ってやつかな? 現実世界があまりにも厳しいから?
そういう世界に逃げ込むってやつ!
___でもね?
現実世界でない以上、夢は夢なんだよ。
自分の目をはっきりと見開いて! 現実を見なよ!
これが! 現実なんだぜー! 逃げても無駄! 受け止めないと。
最後までお読みいただきありがとうございます。