表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/57

0. 閃光の先攻

※この0話はプロローグで、本編自体は01話からです。

◇◇◇

0. 閃光の先攻



宮廷魔法師採用試験の本戦会場は、一般観覧客も加わって予選以上の喧騒だった。


国中のあらゆる人種・部族・種族から優れた魔法師が集まったとあって、肌や髪の色、着る服も様々だが、唯一目の光だけは誰しもが等しく高みを見据えていた。



「オイなんだよアイツ、魔威倶マイクを使わないつもりか?」

「そんなの見たことねえぞ、ハッハー」


「オイオイオイ死ぬわアイツ。試合する気あんのか?」

「遊ばせ要員だろ。そういうのお姫様が大好きらしいからな。

 嬲らせて貴族への見世物にして見物料をせしめるんだろうぜ」


この先は運の入り込む隙が無い、完全なる実力の世界。


予選を勝ち抜いた魔法師たちが他者の試合を見に集まるのは、余裕や好奇心ではなく、純粋な敵情視察であり勝利のための最低限の努力だ。

どの試合コートもなるべくしてザワついていた。



そんな中、国軍の練兵場を利用した試験会場の一角、第6コートだけが一瞬静まり返る。

そして観戦者たちの戸惑いと共にざわめきが戻った。


「…おい、BENNY天狗のやつ、暗鎖アンサーが繋げられてねえ、…そんなことってあるのか?」

「先攻が圧倒してる…? まさかそんなわけが…」


「魔法戦は後攻有利なのが常識だ…相手の出方を見て後出しで追撃できるんだからな…。」


「ああ、先攻が勝つには威力の弱い速攻魔法で先制するか、後半までの詠唱を含めて長大呪文にするか―

 しかし後半の詠唱も、後攻の方が相手の上げ足を取りやすい…

 よほどの圧倒的な実力差がなくては…」


「でもさっきからあの対戦者、おかしくないか…?」



そして再度、コートは静まり返る。


一人の男がガックリと地面に膝を着き、もう一人の男がそれに背を向けてコートを後にする。

先ほどより長い沈黙の末、観客たちは顔を見合わせる。


「…何が起こったんだ? お前見てたろ?おい、何が起こったんだよ!?」

「いや、喋ってたら…いや…喋ってる間に…何が…!?」


「何か…が… 何かが起こって BENNY天狗が中押し負け(クリティカル)になった…」


中押し負け(クリティカル)!? そんなもん本戦で見るの初めてだぞ…!?」 

「中押し…BENNYほどの魔法師が呪文の続きを詠唱できないとは…」



4節の呪文を交互に2ターンずつ詠唱することで競われる魔法競技。


激戦となれば10ターンまで続くこともしばしばある、魔力と精神力の削り合い。

それを1ターンで、有名な使い手が試合放棄するとは誰も想像だにしていなかった。



「あんなの…まるで雷…」

「閃光…」



「閃光の…先攻…!」





◇◇◇

(01に続く)

※01から本編です。

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・ご評価のほどお願いいたします!


ラップバトル(魔法戦)展開までもう3話ほどかかりますが、是非そこまでお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ