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第08話 俺の祖母

少し長い風邪で死んでいたので更新ができませんでしたが、

無事にほぼ治ったので更新再開します。

 俺が新しく住む家、というか城にたどり着くといきなり大量のメイドと執事に出迎えられた。

 その中を俺たちは周囲を見回しながら歩いていると、ふとその先にいるとてつもなくきれいな人を見つけた。

 爺さんは当然迷わずその人の隣に立った。

 誰だろう、俺はそんなことを思っていたら、隣で母さんが突然膝をついた。

「えっ」

 俺は戸惑った。

「今帰ったぞ、テレーゼ」

「おかえりなさいませ、あなた、それで、もしや、この子が」

 爺さんにテレーゼと呼ばれ、爺さんをあなたと呼んだ人は今度は俺を見た。

「うむ、我らの孫、テイルじゃ」

「そう、あなたが」

「えっと」

 俺は混乱していた。

「ふむ、テイルよ、彼女はテレメアーゼ・シュテイル・ドゥ・カペリオンワシの妻にして、そなたの祖母じゃ」

 どうやら、俺のばあちゃんだったようだ。しかし、このばあちゃん、ばあちゃんと呼ぶにはふさわしくない。というか、若すぎない、道中爺さんからばあちゃんはすでに50代だと聞いていた。にもかかわらず、目の前にいるばあちゃんはどう見ても30代から、40代ぐらいにしか見えない。

「そして、こちらがミント・リップわしらの孫を拾い育ててくれたのじゃ」

「そう、そうでしたか。ミントさん、孫をありがとうございます」

「い、いえ」

 珍しく母さんが緊張している。

「母さん?」

「ふむ、さすがに知っていたようじゃの」

 どうやら爺さんは母さんがなぜ緊張しているのかが分かったようだ。

「ふふっ、ミントさん、そんなに緊張しなくても、あなたは私の孫の母、私たちにとっては娘ですね」

「いえ、そんな、私は、平民ですし、テレメアーゼ殿下の娘なんて、とても」

 殿下? あれ、殿下って敬称は王族とかに使うものだよな。

 俺の頭は疑問符が浮かんでいた。

「うむ、テイル、お主の祖母は、現国王陛下の妹となるのじゃよ」

 えっ、妹、国王の、まじかよ。あれ、ということは、俺って、もしかして、国王の甥孫にあたるってことなのか。

 これは驚愕の事実だった。まさか、俺が王家の親戚筋に当たるなんて、そりゃぁ、母さんが緊張するのも無理はないよな。

 俺がそんな感じに戸惑っていると、不意に俺の目の前に影が現れた。

 そして、俺は抱きしめられた。

「えっと」

「テイル、よくお顔を見せて」

 俺を抱きしめたのは祖母さん、それからすぐに俺の肩をつかんで顔をジイっと見てきた。

「ああ、そっくり、あの子の、スタンリーの幼いころに、よく似ているわ」

 そういいつつばあさんは目に涙を浮かべて、再び俺を抱きしめた。

 俺としても、そんな息子を思う祖母さんをむげにはできないし、なんだかほっとするのでなすが儘となっていた。

「そうじゃな、確かに、スタンリーによく似ておる」

 そういって、爺さんも俺のもとにやってきて祖母さんごと俺を抱きしめている。


 それから、少ししてようやく解放されたわけだけど、やはりばあさんの目にはまだ涙が残っていた。

「ふふっ、ごめんなさいね」

 ばあさんはそういって俺の頭をなでてくれたが、見た目はともかく中身が40近い俺としては照れ臭いのでやめてほしいが、同時にこの感じは悪くないと思える。

「さて、ところで、あなた、後ろの方々は?」

 ここで、さっきから俺たちの後方で膝まづいたままちっとも動かなくなったサディおばさんとガレウスおじさん、よくわかっていないのか頭をひねっているウレサのことを爺さんに尋ねた。

「うむ、その者たちは、テイルが世話になったリップ村の者たちだ。此度、彼らには、我が居城の後方に移り住んでもらおうと思ってのぉ」

 爺さんが簡単に説明した。

「あら、そうなの、それはいいですね。テイルもお友達と一緒でよかったわ」

 その説明でばあさんは納得したようですぐにウレサたちを受け入れた。

「お名前は? なんというのかしら」

 ばあさんがウレサに尋ねた。

「ウレサ、です」

 ウレサもこれまでのやり取りを見ていたし、両親の態度を見ていたことで何となくわかったのかつたないながらも敬語で答えた。

「そう、ウレサちゃんね、これからも私の孫、テイルをよろしくね」

「うん」

 さすがに返事までは無理だったようで、そう答えたらサディおばさんたちはあわてていた。

「す、すみません」

「ふふっ、いいのですよ。子供なのですから、これぐらい元気が一番です。ねぇ、あなた」

「うむ、その通りだ」

「あ、ありがとうございます」


 その後、俺と母さんはそれぞれメイドに連行された。

 母さんは知らないが、俺が連れてこられたのは、何やら豪華な部屋だった。

 そして、その部屋に入ったとたん、いきなりメイドたちに服を脱がされそうになった。

「えっ、えっ」

「テイル坊ちゃま、お着換えを」

 どうやら、このメイドたちは俺に着替えをさせるつもりらしい。

「自、自分で、着替える」

 俺としては拒否しようとした。

「これは、我らの仕事ですから」

 そういって頑として俺を着替えさせようとしてきて、俺としては抵抗しようとしたが、いかんせん俺は5歳、あえなく着替えさせられてしまった。

 俺が着替えたのは、日本ではありふれたような生地で作られた服だが、この世界ではかなり高級な素材で作られているのだろうと思えるものだった。

 ちなみに形は、いたって普通、よく聞く貴族が好むようなどうやって着るのかもわからないようなごてごてした服ではない。これだけはよかったと思う、同時にこれなら自分で着替えられたんだけど、と思うのは言うまでもない。

 そうして、着替えてメイドたちに連れられた場所は食堂、そこには、サディおばさんとガレウスおじさんが委縮して座っており、周囲にはメイドや執事が立っている。

 そんな様子を見ながら、ウレサがいないことに気が付いて尋ねようとしたら、その答えが食堂に入ってきた。

「テイル、テイル、見てみて」

 そういって俺の目の前でくるっと回転しているウレサ、その格好はまるで貴族令嬢のごとくドレス姿だった。

「うん、似合ってるけど、どうしたの」

 なんでウレサがこんなものを着ているんだろうか。

「えへへ、着せてもらったの」

 ウレサがそういった。どうやら、祖母さんがそうしたんだろう。

「ウレサ、そんなにはしゃいじゃ、だめよ」

 そういって、固まっているサディおばさんの代わりにウレサに注意しながら母さんが入ってきたわけだけど、その母さんもウレサ同様ドレス姿だった。

「母さんも?」

「うっ、変、でしょ」

「いや、母さんも似合ってると思うけど」

 そうしたら、爺さんと祖母さんも入ってきて、俺たちはその場で会食となった。

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