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第22話 休日の過ごし方

 サルナエース王国では建国の際かかった日数に応じて、月や年のように一定の周期がある。まぁ、ぶっちゃけ地球の曜日と同じものだ。しかも、偶然なのか何なのかはわからないが、7日となる。つまり、サルナエース王国は7日で一週間として7日目が週末で、休日となる。

 というわけで、今日はその休日、士官学園は当然休みとなる。

 そんな休みを士官学園の生徒たちがどう過ごしているかというと、街へ繰り出し買い物をしたり、遊んだりするものがいる一方、生活費や実家への仕送りのために冒険者登録して仕事をする者たちもいる。

 それで、今日は入学最初の休日というわけで、冒険者登録をしていない生徒たちで、希望者を一旦学園に集め元冒険者であるヘーゲル先生引率の元、登録から初仕事をこなしていくそうだ。

 ちなみに俺とダレスは去年母さんに連れられすでに登録を済ませているのでその必要はない。

 というわけで、そんな休みの日だというのに俺は朝から書斎の机にかじりついて執務をしている。

 なぜ、そんなことをしているのかっていうと、別に平日に仕事をしていなかったというわけではない。この世界にはインターネットがない。そのため、書類のデータを送ってもらってすぐに仕事とはいかず、週末に領地から持ってきてもらうしかないのだった。

 というわけで、昨日の夜ようやくこの平日の間の書類が届いたというわけだ。

「多くないか?」

 机の上に積まれた書類は見上げるほどに多い。

「これでも、だいぶ少なくしたと、セラス殿がおっしゃっていましたよ」

「まじか」

 これで少なくしたって、もとはどのくらいだったのか、考えただけでも気が遠くなる。

 ちなみに、先ほど話した相手の紹介をしておこう、彼女は今年から我がカペリオン侯爵家で働くことになった騎士。そう、女騎士だ。そう聞くと、なんかいかがわしいことを考えてしまうが、残念、この国で女騎士はかなりいる。というか、この国には男尊女卑ということがなく、女性でも要職に就くことはできるし、こうして騎士にもなれるし、貴族として爵位を得ることもできる。というか、そもそも初代エリシオン侯爵であるサラーは女性だ。

 それで、この女騎士の名前は、ミリエム・サー・トラバールという、間にある‘サー’というのは、騎爵を得ているという意味で、騎爵は平民で唯一得られる爵位となる。といってもあくまで彼らはまだ平民なので、貴族の家族といったものたちからは身分がしたとなるわけだ。

 まぁ、そんな彼らだが功績をあげて行けば、騎士爵となり、貴族の仲間入りができることになる。

 そして、このミリエム、実は去年士官学園と双璧となる騎士学園を首席で卒業しているから驚きだ。通常首席で卒業した者は王国騎士団に所属するし、スカウトされる。しかし、ミリエムはそれを断りカペリオン騎士団へと就職を決めた。

 まぁ、侯爵家の騎士団だから王国騎士団とあまりそん色はないかもしれないが、それでもやはり王国騎士団の方が出世コースとなる。では、なぜ、ミリエムが我が家を選んだかという、聞けば、この領地の出身で、幼いころからカペリオン騎士団に入ることを夢見ていたらしい。というのも、幼いころというか俺が爺さんに連れられてカペリオン侯爵家に向かったあの時、ちょうどミリエムの村であるトラバール村に寄ったことがあるようだ。

 その時、ミリエムがそんな俺たちを見ようと走ってきて転んだという、そして、それを見ていた俺が擦りむいたところを母さんの塗り薬で治療をしたらしい。

 らしいというのは、俺の方は全く覚えていなかったからだ。

 とにかく、その時将来俺に仕えたいと考えたということだった。

 騎士になったのは、騎士がかっこよかったからだといっていた。

「仕方ない、やっていくか」

 というわけで、書類を見ていくことにした。


 午前中とにかく書類とにらめっこして、よければ承認印押しを繰り返すこと数時間ようやく昼となった。

「テイル様、お食事のご用意が済みましてございます」

「わかった、今行く」

 やっと飯だ。いそいそと書類を片付け書斎を後にした。


「よう、テイル」

「お疲れ様」

 食堂に行くとそこにはダレスとウレサがすでに椅子に座っていた。

「ほんと、疲れた」

「あはは、確かに書類を見ていくのも疲れるものね」

 ウレサは生徒会長ということで学園に関する書類を俺と同じように見ているだけあって執務の大変さが分かったくれるらしい。

「それで、午後は、現場検証だっけ」

 ダレスがそう聞いてきた。

「ああ、現場までは馬車で行くことになる」

 現場検証とは、要はカルロの魔人化事件に関するものだ。あの時ダレスとウレサが実際にカルロと戦い、俺がカルロの魔力を奪ったことで魔人化を解いた。その時の状況に関するものだ。

「その時は、お供します」

 食事の手を止めてそういったのはミリエムだ。本来貴族である俺と一緒に騎士が食事をするなんてありえないことだが、俺の意向により、手の空いたものは一緒に食事をするようにと、使用人たちにも言ってある。ほら、食事はみんなでした方がおいしいっていうからな。

「ミリエムさんなら、安心ね」

 ウレサがそういうが、当のミリエムは少し苦笑している。

 その理由は簡単、実際戦ったら俺たち3人の方がミリエムより強いからだった。

 まぁ、そんなミリエムだが、ミリエムが持ってきた母さんからの手紙によると、そろそろブースターをものにできそうだということ、技術も飛躍的に上昇してきており、すぐにウレサやダレスと並ぶか、それを超える強さとなるだろうとのことだった。


 ということで、午後になり馬車に乗り込みカルロ事件の現場に到着した。

「これは、カペリオン様、このような場所までわざわざご足労、ありがとうございます」

 俺が到着すると、部隊長がそういってきた。

「なに、必要なことだ。構わないさ。それで、さっそく始めようか」

「はっ、では……」

 それから、部隊長らが順々に事の顛末を調書に従って説明を始めた。

「……そうだな、そのタイミングで、やってきて魔人を目撃したというわけだ」

「なるほど、それで、カペリオン様をはじめ、そちらの者たちで対処したと」

 そういって部隊長がダレスとウレサを見た。

「はい、私たちは、侯爵様とともに、特Sランク冒険者の方から戦闘訓練を受けておりますので、何とか時間稼ぎができた。ということです」

 ウレサが優雅にそう答えた。

 ほんとに俺たち以外の前では無駄に優雅だよな。

「……そ、そうですか、わかりました。えっと、それで……」

 そんなウレサに驚いた部隊長は思わずウレサを貴族と見間違えてしまったようでしどろもどろとなっていた。

「……ありがとうございました。これにて現場検証を終わりたいと存じます」

 部隊長がそういったことで現場検証は終了した。

 それから、部隊は馬車で帰っていったが、俺たちはというと、たまにはノンビリ歩いて帰るということを言って馬車には乗らなかった。

「どうしたの、テイル」

 そのことを不審に思ったウレサが俺にそう尋ねてきた。

「いや、なんか、声が聞こえるんだよな」

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