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第15話 楽しい旅行

 士官学園の新入生恒例行事である親睦旅行として、王領にある小さな湖の湖畔にある施設へとやって来た。

 ということで、さっそく湖に泳ぎに行こうとはならずに周囲の散策となった。

 それはそうだろう、今は入学のシーズン、つまりは春先となる。この国でも日本と同じように季節が流れているために春先はまだ冷える、そんな中に湖にダイブするなんてできるわけがない。

 っで、その散策なんだが、何をするかというと、特に何をするわけではなくただ森の中を話しながら歩いているというわけだ。

 そこで、何となく見つけた薬草の一種であるヒエル草というポーションの原料となる薬草を見つけたので、班のメンバーであるエレン、ケイト、バルド、ソニヤータ、ルミーナの5人に見せた。

「へぇ、これが、ポーションの原料何ですか」

「知らなかった、です」

「このような草から、できるのですね」

 貴族であるエレンやソニヤータ、ルミーナが知らないのはいいとして平民であるケイトやバルドが知らないのは、なんでだろうと思ったが、考えてみれば、俺が知っているのは母さんが元冒険者だからだ。冒険者にとって薬草採取は定番依頼となる。しかし、普通に生活している分には、知ることはないのかもれしれない。

「そうか、みんな、薬草とか知らないんだな」

「一応、俺は、多少は知ってますけど、これは知りませんぜ」

 バルドがつたない敬語でそういった。

「私もです」

 それに続いてケイトがそういった。

「なるほどな、まぁ、確かにポーションの原料ではあるけど、調合とかしないと使えないからな」

 そうなのだ、このヒエル草は調合しないとただ苦いだけの草でしかなかった。

「テイル様は、よくご存じでしたね」

ルミーナが感心したようにそう聞いてきた。

「ああ、俺の場合は、育ててくれた母が、元冒険者だったからね。幼いころ、まだリップ村にいたころは、村で怪我人や病人が出たら、薬師みたいなことをしていて、その手伝いをしていたからな」

 俺は当時を懐かしむようにそういった。

「そうだったのですか、すごいです」

「それじゃ、他にも薬草をご存知なのですか」

「ああ、知っているぞ。何なら、少し教えようか」

「はい、お願いします」

 ということで、急遽周囲に生えている薬草を見つけたはその説明をし始めたのだった。

 この世界では、医者というものがいない、街などは教会があり、そこに常駐している治療師にいくらかお布施をして治療をしてもらうと形をとる。しかし、村などとなると、教会がないために治療師がいない、というかそもそも、平民では治療師に払うお金がないのが現状だ。だから、薬草の知識というものは、平民であるケイトとバルドにとっては死活問題となる。

 そして、エレンをはじめとした貴族たちにとっては、知的好奇心といった感じだ。

 そんなわけで、なんだかんだで時間たっぷりと薬草講義をすることとなった。


「テイル様のおかげで、薬草にちょっと詳しくなりました」

「ほんとに、ありがとうございました」

「いや、別にいいさ、俺にとってもいい復習になったよ。最近あまり薬草に触っていなかったからなぁ」

 侯爵となってからは、母さんの手伝いで調合することもなくなったからな。

「それは、よかったです」

 そのあと、俺たちは集合場所に向かうことにした。


「おかえりテイル、みんなも、おかえりなさい」

 俺たちが集合場所に帰るとウレサがそういってきた。

「ただいま、俺たちが最後か」

 集合場所にはすでにほとんどの生徒が帰ってきているように見えた。

「いえ、まだよ。最後の班が帰ってこないのよね。テイル、頼める」

「しょうがない……索敵」

 ウレサに頼まれて、索敵魔法を使った。

 この索敵魔法は、周囲に魔力の波を放つことで、その波に当たった別の魔力を感知するという、単純な魔法だ。もちろんウレサもこの魔法を使える。しかし、この魔法単純だけに使用魔力がでかい、広範囲を探査するのにはウレサの魔力では足りない。そこで、一応膨大な魔力を持っている俺が使ったというわけだ。

「……大丈夫みたいだぞ。すぐ近くにいる」

「そう、なら安心ね」

 索敵魔法によると、本当に近くまで来ていることが分かったので、それをウレサに報告するとウレサがほっとしていた。

「テイル様、今のは?」

 エレンが首をかしげながらそう尋ねてきた。

「索敵魔法を使ったんだ」

「索敵、魔法ですか。それは、何ですか」

「確か、周囲に魔力の波を飛ばす、魔法でしたっけ」

 俺の答えに、ソニヤータが疑問を浮かべ、バルドが答えた。

「そう、それで、まだ帰ってきていない連中の魔力を探ったというわけだ」

「すごいですね。今、かなりの広範囲でしたよね」

 ケイトが少し興奮気味で言ってきた。

 どうやら、ケイトには俺が放った魔力の大きさが分かったらしい。

「生まれつき、魔力量が多いんんだ」

「ああ、そっか、侯爵様でしたね」

 俺の言葉にルミーナが納得したようにそういった。

 ルミーナのこの発言は、あっているようで実は間違いでもある。それというのも、これは確立の問題で俺が侯爵だから魔力量が多いのかというと必ずしもそうではない、確かに、俺の先祖である初代カペリオン侯爵は建国の際、他の侯爵家の先祖たちと初代国王とともに大魔獣を討伐した英雄の1人だった。そのため当然初代も魔力量が多かった。だからといってその子孫がみんながみんな高い魔力量であるという答えにはならない。この生まれつき魔力量が多いというものは、この世界の住人であれば時々生まれる存在で、まぁ、確かに、先祖にそういった魔力量の多かった人がいるものは、いない者たちに比べて比較的確率が上がるというだけだったりする。

「俺が、侯爵だからというのは、あまり関係はないだろうな、実際、俺の爺さんも魔力量は多くなかったし、話によれば父もそうだったらしい」

 だからこそ、魔熊に襲われて命を落としたのだ。

 それから、ほどなくして俺が探知した生徒たちが帰ってきて、ウレサから注意を受けていた。

 そんな、散策を終えた後は、施設内の食堂で夕飯を食べて、それぞれの部屋へと戻ることになったわけだど、ここで、前世の日本の学生であるなら、異性の部屋に乗り込んで、とかいうイベントがあるのだろうが、この国ではそれはない。それというのも、結婚前の男女が寝室で会うとか、そんなものはあってはならない。というか、そもそもそんな考えすら浮かばないような教育を受けているし、その教育を受けていない平民生徒にとっては、その行為は死活問題となる。

 なにせ、部屋割りによると、貴族生徒と平民生徒は区別なく割り振られているからだ。

 つまり、下手に乗り込むと、そこには貴族生徒がいるなるからだ。

 というわけで、特にイベントもなくその日は同室になった者たちと親交を深めていくのみであった。

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