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殿下と結婚したくないので男装して破滅ルート回避したい  作者: くるねこ
4、私は聖女にはならないし、私に黙って急な予定を立てないでほしい。
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 食後の休憩を挟み、遠くに朝礼の終了を聞きながら、時間が経つのを待つ。

少しして、そろそろ工房が稼働し始めた頃だろうと近場から宝飾品工房へ徒歩で向かった。

移動中の左右をバイオレット隊長率いる隊士に固められている。

工房に到着すると工房長のクルクマと工業地区に新たに作った工場の長に付くトリトマ、宝飾品商会ルチルクォーツ商会長パンパスも待ち構えていた。

パンパスを商会長に据えるにあたり、オーキッド領店にいた店長グロキシニアを王都店店長にすえ、オーキッド領には領内店舗の店長を移動させ、領内店舗の店長にはパンパス推薦の王都店の女性店員を昇進させることとなった。

パンパスがしばらくは補佐をしてくれているが今日は一人で頑張ってもらおう。


「ようこそお越しくださいました。シンビジュウム領宝飾品商会ルチルクォーツにて商会長をさせていただくことになりましたパンパスと申します。よろしくお願いいたします。」


初老のパンパスが深くお辞儀をするのに合わせ、二人もお辞儀をする。


「初めまして、こちらの工房長をさせていただいておりますクルクマです。こちらが」

「工業地区にて工場長をさせていただきますトリトマです。よろしくお願いします。」


再び深くお辞儀をする。

これが元魔石無許可加工の罪で捕まっているとはだれも思わないぐらい今日は身なりもよくしている。


「今日は工場見学の予定は無いんだったな?」


変更になった予定表を見ながら殿下に聞かれる。


「はい。申し訳ありません。」

「いや、気を使わせてすまない。」


工場も見たかったようだ。

とはいえ、宝飾品工場は設備準備中でまだ稼働していない。

主に製造するのは鉱物や魔石の研磨、加熱処理などの他、ガラス工場も兼ねることになっている。

ガラス細工職人は工房にいるため、この世界には無い板ガラスの製造をする予定だ。


 工房へ入っていくと見覚えのあるようなないような、水晶でできたワイングラスがあった。

口元はなめらかに研磨され、カップと呼ばれる飲み物が注がれる部分の底付近からステム、フットと呼ばれる底面部分にかけて菱形のカットがされている。

しかも、部分部分にスリガラス加工もされ、きれいだ。


「それ、デンファレ様の案から派生させた試作品です。どうですか?」

「きれいね。カットの中に蝶や星を入れられないかしら?」

「こっそり隠すようにですね。」

「ええ、気づかれない程度に」


ふふっと笑いながらクルクマと目を合わせて少し肩をすくめると


 「ばれないようにするなんて、もったいないわ。」


アマリリスが私の手元のグラスをのぞき込みながら聞いてくる。


「いいのよ。目立つと買っていただけないこともあるし、気が付いた方はだいたいそういった柄が好きな方が多いから、気に入られて購入されることもあるわ。」

「実はこれにもデンファレの花を入れて置きました。」


クルクマに言われ、どこだろうかと探すが見つからない。


「これじゃないか?」


殿下が私の肩口から顔を出し、反対の肩側から手を伸ばし、柄の一か所を指さした。

この状況、抱きしめられているのと変わらないのではないかと、急に血が全身を巡り、熱くなる。

いい年してこんなことで照れてどうする!

いや、恋愛経験全くなく死んだのだからこのぐらいは大目に見てもらいたい。

だって、推しメンは殿下だったのだから、現実としてこんなことをされるとなると今まで意識しないように、距離を置いてきたがそうもいかなくなってきた。

そうだよ今までバンダにも言ってこなかったが推しメンは殿下なんだよ。

デンファレなんかに産まれなかったらうまく殿下に近づいてゲーム内スチルを生で見たかったよ。

ヒロインにはなりたくないけど


「殿下、いくら見えにくかったとは言え、どういうおつもりでしょうか?」

「ああ、すまない。あまりに素晴らしい細工にばかり目が行ってしまって」


スッと離れては行くがまだ近い。

アマリリスを挟むように移動し、クルクマにグラスを渡す。


 「では、工房内を案内いたしますわ。」


クルクマたちが後ろをついてくる中、私が先導していると


「デンファレー!」


と、いう声とともに背後から衝撃が訪れた。

足を踏ん張り、倒れないようにする。


「バンダは甘えん坊が終わったとデンドロが言っていたがそんな風には見えないな?」

「少々、わだかまりがございまして、元に戻りました。」


殿下が苦笑いしながら聞いてきた。

そんな顔しないでほしい。


「我が家のゼフィランサスの様ですわね。」

「ゼフィランサス様はまだ幼いからいいですが、バンダはもう七歳です。これでは困ります。」

「困らせる。」


バンダは私の脇から手を入れ、抱き着いていたのだが、胸の下あたりで腕を組みなおし持ちあげようと引っ張られた。

とはいえ、身長はあまり変わりがないため持ち上がるのは数センチ、つま先立ちになる程度だ。


「何がしたいの?」

「クレソンがアマリリスを持ちあげてよく困らせているっていうから」

「僕⁉」


クレソンが飛び火してきたことに驚く。


「抱き上げ方が違うわ。歩けないから離して頂戴。」

「はーい。」


素直に解放される。


「デンファレはなぜそのことを知っているの⁉」


アマリリスが恥ずかしいといった顔で聞いてくる。


「スカミゲラからとても仲が良いと聞いているわ。その中で、足をくじいた話を聞いたのだけど、それ以外でも抱き上げられていそうね。」

「言わないで…」


もう恥ずかしいと近くにいたクレソンを扇子でぺしぺしたたいている。

クレソンはまんざらでもなく笑うため周りも笑うしかない。


「なんの話だ?」


殿下が興味本位で聞いてくる。


「クレソンの愛情表現の話ですわ。」

「デンファレもされたことはありまして?」

「クレソンにですか? 断りましたよ。もちろん。私は絶対にされたくない。」

「そこまで言わなくても‥‥」


殿下がジッと私を見ているから絶対にされたくないと言っておかなくてはいつかやられる可能性がある。


 工房内には作業着で働く者が当たり前だがたくさんいる。

その中には罪を犯した印である入れ墨がある者も多い。

でも、そんな入れ墨があろうと、ここでは真面目に働いている。

そんな話をしながら、現在はまだここにある研磨から宝石の台座の製造、パーツの組み立て、金属の研磨から宝石をはめ込み、指紋が残らないように拭き取る。

それをきれいな箱に収め、注文品はラッピング、店頭販売品は箱に傷が付かないようで私考案段ボールに詰めて各店舗へ出荷する。


「こちらのデザインは見たことありませんわね?」

「そちらは冒険者向けの魔石をはめ込んだアイテムになります。けが防止や結界などの付与を付けると値が上がりますが、魔石の組み合わせでできる効果でも治癒力向上、水魔法向上、HP回復力向上などの効果があることが近年解りまして、あまり高くなく、販売しております。」


革ひもに角を取った魔石がいくつか連なってついているだけのネックレスだが、見慣れないアマリリスには興味のあるもののようだ。


「バンダやクレソンが付けているブレスレッドが同じような物だな?」

「そうなの?」


殿下の言葉にアマリリスがクレソンの腕を見る。

そこには魔石がいくつか連なっているが、形は丸く成形させてある。

外すのが面倒だというため日常的に付けてもおかしくないようにパワーストーンのブレスレッドと同じく丸くしたが、効果を損なわないように大きさはパワーストーンよりも大きい。

冒険者向けのアクセサリーは箱ではなく布の巾着袋に入れているため取り出すのは簡単で、いくつか机に並べる。


「この辺りは私が加工した物です。よろしかったらお持ちください。ブレスレッドでもアンクレットでも、長さは余るでしょうから今日中に加工しますので、ネックレスにもできますよ。」

「よろしいのですか? 魔石は貴重な物ですよ。」


ネリネも興味はあったようだ。

少し嬉しそうながら確認してきた。


「他領や王都のギルドでは魔物が落としていくことが少なく、レベルが高くないと保持していないことが多いのですが、シンビジュウム領の第七ダンジョンの魔獣はだいたいが魔石を持っています。特に体の大きい魔獣は部分的にも、体外に露出しているだけでも大きな物を持っていますし、体内はほとんどが魔石のこともあります。なので、領内では安価に取引されております。なんでしたら、後日ダンジョンに入り、魔獣討伐を体験されますか? 採取した魔石でアクセサリーを作ることも可能ですよ。」

「でも、魔獣って強いでしょ?」

「僕頑張る!」


アマリリスの不安をクレソンは払しょくさせるために大きな声を出す。


「そうだな。自分で取れるのならやってみたい。原石のまま、持ち帰ることもできるか?」

「ええ、物によっては危険な物もありますのでその際はお断りしてしまうのですが、精霊の祝福のお時間をいただきお持ち帰りいただけます。」

「祝福がないとどうなるんだ?」

「魔石では弱い加護が加わる程度、色味も少し変わりますがそこまででもありません。」

「オパールの祝福前と後を見比べたがどちらもきれいな物だった。製品としては祝福が必要になるのだな。」

「それがファレノプシスブランドの特徴。それに、女性はより美しく、より特別な物を欲しがる傾向にございます。その中で祝福は付加価値を追加してくれるのです。」


 工房内でガラスの加工場や、彫金師の作業を見学し、工業地区へ行くため駅に向かう。


 駅に到着し、迎えに来ていたのはアパレル商会のバーベナと生活用品商会カモミール、食品商会のビレアが待っていた。

ともに列車に乗り込み、一時間もない小旅行の気分を味わう。

バイオレット隊長たちは列車に初めて乗ったようで隣の客席から驚きの声がきこえてきた。

今回は警備の都合上、一本では本来行けない領館から工業地区最寄り駅までの道のりだが、一度基地に入り、別路線へ列車を進めてもらい、乗り換えの手間を省いた。

そのため必然的に車両基地の内部を見せることになる。

内部の説明は側妃様が来られた時にするとして、先に紹介しなくてはならない人物たちの話になる。


「彼らもこれから始動させる商会の代表をしてもらうことになる方々です。」

「ご紹介いただきました、私は食品商会ミルキークォーツ商会代表、ビレアと申します。」

「生活用品商会レモンクォーツ商会代表、カモミールと申します。」

「今回工房を見学していただきますアパレル商会グリーンクォーツ商会のバーベナです。よろしくお願いいたします。」


先ほども思ったが自己紹介が長い。

名刺を用意させよう。

そうすれば名前や商会名だけでもよくなる。


「生活用品とアパレルは何かと密接する部分があり、食品は貿易港の紹介の際に一緒にしたかったのですが、」

「申し訳ありません、明日はコスモスさんと商談があり、うまくいくと明後日には入手した物の鑑定を行う手はずな物ですからご挨拶の際に同席できないものと思いまして」

「私がお願いした物だもの、うまく行くことを願うわ。」


ビレアとともに食品商会をお願いしている副商会長のニゲラは鑑定魔法が使える。

王都のギルドで食品関連は特に必要かと思い、募集した。

以前他の食品商会に所属していたことからビレアの補佐をお願いしている。

見た目は女性だが中身は一様男だと口にするものの、服装はボーイッシュで声は可愛らしくよくわからない人物で、そんなことから以前の職場でもめごととなり、退職したらしい。


「貿易で食品を取り寄せているのか?」

「はい。」

「安全な物ですか?」


殿下とネリネが確認してくる。


「もちろんです。うまく取引ができましたら最終日の朝食でお出しできると思いますわ。」


鑑定魔法で成分を分析、その後腐敗や酸化具合を確認、食べることに問題がなければ試食し、一晩保管し同じことを繰り返す。

それを三回繰り返すため早くて口に入るのはお泊り会七日目なのだ。

味噌も醤油も発酵食品だったり、昆布や大豆などの乾物だったり、生米というが簡単に腐るものではないため大丈夫なはずだ。


「わたくしも貿易をしましたが、食品は入れませんわ。船の上で腐っている可能性もありますもの。」

「私が求めているのは発酵食品で、さらにその道具も手に入れられないか今後交渉する予定です。そうすれば、領地内で製造できますので、さらに、穀物の種子やお茶ッ葉が欲しいので船上で腐敗するものではないのです。チョコレートも船に乗ってくるのですから問題ありませんわ。」

「確かにチョコレートも輸入ですが、あれは…」


アマリリスにとって、チョコレートと食品は別物のようだ。

それもそうだろう。

チョコレートの液体状のビン詰めは食品というより加工薬品にも分類される。

それに砂糖やミルクを加えて媚薬としてのチョコになると考案したのは帝国で、その文化の派生であるこの国の知識では食品としての扱いはされにくいだろう。


「しっかり鑑定をして安全を確認すれば、食品の輸入もできます。今まで皆が避けて行わなかったのは鑑定士が商会内にいないことが多かったからです。ですが、我が領には鑑定の魔法が使える者もおりますし、私の魔法を付与したアイテムを使って複数名が鑑定を使えますので安全確認は私の命を出してもいいほど自信がございます。」

「国としては海外の物を取り入れたい一方で国内に侵入して来たものを除外したいと思う一面もある。」

「食品輸入もその一歩です。受け入れられる食品と受け入れがたい食品はこの国の風土のあった味かどうかということにかかわるでしょ。なんにでも挑戦することは勇気もいりますが、素敵な出会いと新発見のある仕事だと思います。」


話がうまくまとまったような気がする辺りで工業地区の駅に到着、昼間の利用者はほとんどおらず、下りたのも私たち団体だけだった。


 アパレル工房は工業地区の中でも崖側、川沿いにある。

食品加工工場が港近く、貿易品倉庫も海から直接積めるように海に面している。

宝石研磨工場は水を多く使うため川からくみ上げ、湖に排水する。

排水する際はごみを極限まで取り除き、ろ過している。


「こんなに高い崖の近くでは崩れてきた場合、どうするんです?」


ネリネに聞かれる。

明らかに危ない場所で、これまで何も、建物も畑もなかったエリアだ。

皆気になる様子。


「大丈夫ですわ。永続的な結界魔法陣を幾重にも張り、工業地区上空にも見えない結界を張ってあります。ドラゴンに協力していただき、結界の上で一か月過ごしていただきましたが問題ありませんでした。」

「さすがデンファレの結界だな。王宮でも将来有望な結界師として名前が上がるだけある。」

「恐れ入りますわ。結界師ではなく領主になりたいのですけどね。」


おほほほほっと流すがアマリリスもクスクス笑っている。

それがまたネリネの釈にでも触ったのか、


「君は領主には成れないだろう。殿下の婚約者なのだから」

「ネリネ、いいじゃないか。前例がないだけで、王妃が領地を持とうと」

「いいえ、前例がないのではなく、王家へ嫁ぐと領地は王家の物となり、すぐに売却に出されるからです。」

「だから、それをしないで、デンファレの持ち物として置いても問題ないだろ。」

「決まりは決まりです。例外は認められません。私は殿下がそういった判断をしないようにお傍にいるんです。」

「まだまだ先の話だろう。頭ごなしに否定しなくとも、これから変えていくこともできる!」

「伝統と改革は違います!」


なんだか私のせいで二人がいさかいをはじめてしまった。


「殿下、ネリネ様、ここは王宮の私室ではないのですよ。女性たちが驚いています。」


ヴィオラが間に入ってきた。

ゲームでは一緒に剣の稽古をしようと誘われるほどの脳筋で女性の気持ちを代弁してくれるところは全くなかった。

以前のバイオレット隊長の話では脳筋一歩手前の話だったが、ずいぶんと印象が違う。

ちょっとネリネやドラセナ兄弟寄りに冷静な様子が見られる。

話が違うとバイオレット隊長に視線を向けると


「殿下のお傍に仕えるために礼儀作法を叩き込んでいるところ、何か気になる点がございましたらご指摘ください。直させます。」

「それは良いのよ。聞いた話と違うから驚いてしまって」

「そうですね。剣を片手に走り回っていた時期とは打って変わって、周りの影響もあり、殿下のためにといった意志が芽生え始め、とはいえ、元の性格からなんでも口にしてしまうところがまだ治らず」

「素直なことは良いことよ。ネリネ様やお兄様にはない部分、殿下のお傍に置くには必要な人材かもしれないわ。」


なんて言うが、方向としては私ではない人物を妃に押してくれるようなことを言ってくれれば万々歳なのだが、この手のタイプをコントロールするのは時間の無駄だ。


「それにこの状況はいてくれて助かったわ。」

「そう言っていただけると昨日一日暇していたのを叩き起こしたかいがありました。」


殺人犯のいる地に眠気眼の息子を連れてくるあたり、やはり魔女と結婚しただけはある。

変わり者だ。

すごくいい人なのは解っているのだが、時々とっ拍子もないのはダンジョン内でもよくあった。


 工房に入ったことで二人もさすがに貴族と王家、人目の多いところでのいさかいはやめた。


「こちらがアパレル工房です。現在の稼働はグラマトフィラムとグリンバートの他、バニラの衣類でほしいものがあったため幼児衣類としてバニラビットの立ち上げを企画しています。」


バニラビットのロゴは出来上がっておりバニラの花の首輪に耳にリボンを付けた、片目が星の兎の顔だ。

バニラはお母様の好みでリボンを頭に付けていることが多く、私も幼少期はそうだった。


「幼児向け衣類は貴族が特に出費するところだから、競争率が高いのではなくて? 今までは最高級生地で貴族向けに、安価で貴族風のドレスを庶民向けに作られておりましたわよね?」


アマリリスが自分の持つ服や王都で見かけた私のブランドを思い出しながら聞いてくる。


「ええ。まあ、幼児衣類に限らず、幼児関連商品のブランド名でして、衣類の他、今までなかったベビーカーや機能性を上げたベビーベッド、座れるようになってから必要なベビーチェアには机を付けて、テーブルまで遠くても独立して食事ができる作りを計画しておりますわ。」


そのためベビー部門は服飾と生活雑貨が混ざる分野である。


「そうね。クリナムやゼラフィランサスを見ているとイスの高さが合わないこともあって、椅子に直接机が付いている方が楽かもしれないわ。」

「ええ、テーブルクロスを引っ張ってしまったり、こぼしてしまったりすると使用人たちの仕事も増えますものね。」


女子同士で下の弟妹の話をしていても、ネリネも殿下も弟がいるのに入ってこない。

空気が悪い。

ヴィオラはもう何もいう気がないようだ。

まだ慣れないのか腰ベルトの剣を気にしている。


 ユッカ様の衣服の作業工程を見学し、工房見学も間もなく終了となるため、バーベナに防犯衣類の設計案を紙にまとめ渡し、お昼も近くなったためまだ稼働していない工場二階の事務室で早々にお昼となった。

事務室とは言え、どこの工房も客を入れることも考え、室内は領館よりも豪華な見た目を作っているが、どこもかしこも私が作っているため人件費やデザイン、設計費がかかっていない。

材料も廃材を中心に使っている。


 殿下たちと席に着き、ローマンにより時間通りに料理人たちが転移魔法で現れる。

朝ご飯同様、お昼ご飯も目の前で鍋から注がれ、皆同じ物を切り分け配られる。

使用人も警察や隊士も共に食事をとり、殿下の試食は朝同様、コテージから連れてきたネモフィラが行う。

今のところ半径五メートル以内で結界に引っかかった者はおらず、嫌悪や憎悪の気配も私たちの誰かに向けられた物ではないことを確認するため感情の矛先を探知して過ごしていると昨日以上に既に疲れてしまっている。

いったいMPがどれだけ消費されているのかがわからない状況だが、普通の人なら魔力の枯渇で倒れていてもおかしくない量だろう。








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