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殿下と結婚したくないので男装して破滅ルート回避したい  作者: くるねこ
1、悪役令嬢に転生したけど、私のスキルがチートすぎてやばい……
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「私はこの土地を買い取り、利益が欲しいわけではありませんの。」

「何?」


お父様が膝を付いて私と目線を合わせる。


「利益のない不要な領地など現状維持だけで金のかかるお荷物だ。」

「ですが魔獣はたくさんいます。必要な経費はそれらで稼ぎ、私は王都を離れたいのです。」

「なぜ?」


今度は心配な顔をする。

全く心配はないのだが、


「私怖い夢を見ましたわ。このまま成長すると私は殿下を殺してしまうようなのです。」

「それは夢だろう。」

「夢でも正夢になる可能性もあります。懸念は払しょくしてこそ、お父様のお立場が守られます。どうか私が納得いくまで領地での暮らしを許していただけませんか?」


大分悩ましい顔をしている。

だが、私の手元の書類を持って立ち上がる。


 「領地へ行っても定期的にここへ戻ってくるようにあいつも心配するだろう。」


あいつ、お母様のことだろうがはっきり言ってあまり心配はしていないだろう。

お母様の心配はデンドロお兄様の行方とバンダが無事に成長し、家を継ぐことだ。

今まであまり関係を築いてこなかったがこれからはもう少し接触を増やそうか。


 サインをもらった書類を手に執務室を出る。


「サイン貰えた?」


外にはバンダとお母様がいた。

お母様は私と入れ替わりで執務室へ入る。


「もちろん。これでローマンは領館の管理人に戻れて、私は殿下との接触が避けられる。」

「学校行かないの?」

「心の病で出られませんというわ。」


この夜はわくわくして眠れなかった。

明日は書類を提出して領地へ向かう。


 「そういえば領地の名前決まってないね。」

「そういえばそうね。バンダ領でいいんじゃないかしら?」

「いやだよ。なんで僕の名前なの? それならデンファレ領でいいじゃん。」

「バンダが魔石を見つけたからこんなに早く手に入れられたのよ。」

「じゃあ、違う名前にしよう、シンビジウムとか」

「あなたがそれでいいならそうしましょう。」

「適当なぁ」


眠そうな声を最後にバンダから基礎正しい寝息が聞こえてくる。






 さて、手に入れた領地・シンビジュウム領。

数年で劣化した領館を一時的な修復をするためローマンの修復魔法を模倣する。

もともと、全属性所持になったのはこの模倣という課金最強スキルを手に入れたためであり、ステータスに膨大なデータが乗っかっているチートになってしまった原因とも言える能力。

相手のスキルを自分も同レベル取得でき、さらなるレベルアップも可能という重課金の賜物だ。


 「こんな物かしら?」

「そうですね。屋敷はきれいになりましたが生活用品はすべて売却されているため何もありません。」

「そのあたりは問題ないわ。」


屋敷の修復は完璧だ。

新築のような屋敷は王都のオーキッド侯爵タウンハウスに比べてしまうと小さく、少し大きな一軒家のようなサイズに見えてしまう。

それでも玄関ホールにダイニング、キッチン、書斎に私室がいくつか。

サロンは玄関ホールの脇に机を置いて代用していたらしいし、私室には個別の浴室はなく、大きな浴室が一つ、一階にあった。


「増築します!」

「なんで?」


暇を持て遊ぶバンダに見上げられながら聞かれる。

修復に時間がかかったこともありしゃがみこんで草をむしっている。

一部剥げた地面も修復し、その手を繋いで歩き出す。

マナーハウスに入ろうとしていたローマンも私が屋敷ではなく森へ歩き出すのを見て急いで追いかけてきた。


「デンファレ様、どちらへ行かれるのですか?」

「増築の職人探しよ。領内に無断に住み着いている木こりに協力を煽るのよ。」

「それって、協力っていうより強要、恐喝、強制労働。」

「三強!」

「何それ?」


バンダは知らなくていいです。

途中漢字違う物混ざっているあたり、音で判断してくれればいい。


 鑑定の画面は魔獣探しにも使える。

その要領でレベルのある人間も探せる。


 赤子でもレベル一はあるため人を探すのは簡単。

レベルが高くてもMPが低いと一つの魔法を使うのにも足りず、結果魔法が使えない。

レベルが上がってもMPが上がりにくいとされる平民の中でもまれにMPの高い子が産まれる。

貴族学校は魔法も剣術も学べる。

平民も通える騎士学校・魔術師学校があり、騎士学校でも魔法に関して学ぶためどちらかへ入らなくてはならない。

ヒロインも魔力が高いため魔術学校へ通うために魔力測定の試験を受ける。

そこで、聖女の兆しが表れたと現聖女に見初められ、神官男爵の家に養女に入る。

男爵家に入ったため問題なく貴族学校に通えるようになり、殿下に出会うのだ。

私も貴族学校ではなく、魔術学校へ行きたいがステータスを見られたらアウトだろう。


 ローマンに木こりのことを聞くと領館からあまり離れていないところにログハウスがあった。

住んでいるのは少しひねくれ者のおじいちゃんのため機嫌を悪くしないように慎重に話を進めないといけない。

今後も協力してもらわないといけないのだから、交渉を頑張るしかない。

ゲームでは殿下がヒロインと初めて領に訪れた際に怒鳴られていた。


 小屋をノックすると中から複数の声がした。


「おじいさんだけじゃないの?」

「そのはずですよ。」


あれ、ローマンには聞こえないのかな。

モスキート音並みの声かと思いバンダを見るが興味がないという顔をする。

無気力は君ではなく可愛い女装攻略キャラの担当項目のはずだ。


 「お前たち、そんなわけないだろう。精霊王の寵愛なんて早々に受けられる物じゃない。」


なんて声が中から聞こえる。

玄関へどんどん近づいてくる声、に緊張と聞こえてしまった単語が気になって仕方ない。


「誰だ?」


玄関が半分開けられ、サンタクロースのようなおじいさんが顔を出すため下から、


「こんにちは」


と、声をかけるとドアを開けてくれた。


「お前さんらは何だ?」

「新しい領主です。」


万遍の笑みを向けるとおじいさんの目は点になる。


「もしよかったら中に入れていただけませんか?」

「……あ、ああ、少し待ってくれ。」


そういって中へ引っ込むとどっちゃんがっちゃん聞こえ


「ちょっと、壊れるじゃない!」

「子供には危ないもんだ。しまっておかな!」

「精霊王が気に入っているのならこんな物でケガなんてしないわよ。もう! 自分の娘が小さいころに王に嫁いだからってよその子に過保護になってどうするのよ!」


なんて聞こえてくるためローマンは独り言に首を傾げて私をみるが、


「絶対中におじいさん以外もいるって、若い女の人が二人はいる!」


バンダも首を傾げる。

二人そろうと可愛いな。


 少しして音が止むとおじいさんが顔を出し、


「どうぞ」


と、中へ入れてくれた。


 床には木くずが落ちている。

机には彫りかけのフクロウだろうか。

可愛い物が置いてある。


「ねえ、誰と話をしていたの?」


そう聞くとおじいさんは驚いた顔をして


「聞こえましたか?」


慎重な言葉運びで、急に丁寧になる。


 「だから言ったでしょ!」


なんて声が頭の上からするため見上げる。

ローマンは目玉が飛び出すのではないかというぐらい、私のことではもう動じないと言っていたがこれにはさすがに驚くだろう。

私も開いた口がふさがらない。

バンダによって強制的に閉じることになったが、


「産まれながらに愛し子なのよ。精霊王の寵愛なんて素敵なギフトも持っているなんて、この子はきっと女神の娘よ!」


そういえば、ステータスに女神の娘みたいな物があった気がすると思いだし、ステータスを開く。

もともとゲームのプレイヤーは聖女になる。

ルートの一つに女神に合うことができ、そこで娘だったということが発覚するが別のルートでは国民は皆女神の子であると言っていた気がする。

そのあたりの設定がよくわからないと思ったが今後のアップデートで解決されるだろうと思っていたが私の記憶以降の話が分からない。


 あれ、私っていつ死んだんだろう……? 

あれ? 

死んだ記憶がない⁉ 

バイトして、ゲームして、深夜三時に寝て……七時半に起きなかった…?


 私、もしかして長い夢の中にいるとかじゃないよね。

明晰夢?


 切株の椅子に座り、マグカップにミルクが出される。

甘い匂いがすることから蜂蜜を入れてくれたのだろう。


「私精霊を見たの初めて」

「人の前にはめったに現れない。さらに声を聴くなんてことは」


おじいさんも声が聞こえるようだし、そんなに珍しいのだろうか。

私の周りを蝶のように飛ぶ精霊は私の肩に座った。


「精霊王があなたを愛してやまないのだもの。あたしたちもあなたのことが愛おしいわ。」


そういわれても精霊王に愛されるような記憶はない。

そもそも、産まれながらと言っていた。


「産まれながら愛し子って?」

「あなたの魂はとても清らかで澄んでいる。新緑の木陰のような、青海の水面のような、何て表せばいいのかしら?」


聞かれてもわからない。

確かにデンファレというキャラクターは愛し子として精霊に好かれて、魔力も高い。でも、引き付けるのは悪い精霊ばかりだった気がする。


 「デンファレ様、領主としてお話することがあるのでしょう。」


そうだった。

気になることはおいおい聞いて行こう。

機嫌の悪いおじいさんではなかったようだし、


「では、要件を話しますね。私、デンファレ・ラン・オーキッドがこちらの領を買い上げ、シンビジュウム領としました。おじいさんはローマンの次、領民二人目です。領の発展のため、協力していただけませんか?」

「こんな何もない領を買うなど、正気ですか?」


皆が思うだろう。

でも、


「きっと精霊たちはご存じでしょう。この地を囲む山々には宝の山が眠っているということを」


肩に乗る精霊に聞くと


「あたしはアリエルよ。このじいちゃんはコランダム。あの子はリーフェよ。」


おじいさん、コランダムの肩に乗る精霊をアリエルは指さす。


「よろしく。それで、採掘は精霊としては許してくれるのかしら?」

「神の寵愛も神の愛し子も神の申し子も、愛されまくるあなたなら何をしたって怒られないわよ。世界を破滅させるわけでもあるまいし、山の一つや二つ、鉱物なんていくらでも、地面から湧き出るようにでもしてくれるんじゃない?」


そこまではしなくていい。

そんな怖い物、誰も買ってくれない。








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