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殿下と結婚したくないので男装して破滅ルート回避したい  作者: くるねこ
1、悪役令嬢に転生したけど、私のスキルがチートすぎてやばい……
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3






 スキルで身体能力向上があったが今までもやんちゃに遊びまわっていた。

走るのは得意だし、馬とも仲が良い。

特にロバ! 

そんなことを考えながらたどり着いた馬小屋には庭師のおじいちゃんとカルミアがいた。


「ちょっと待った!」


釘打ちする寸前で待ったをかけ、二人を部屋へ引っ張っていく。

スキルを意識すると馬鹿力が使えるようになったのか、おじいちゃんも簡単に付いてくる。


 部屋へ戻るとエリカがローマンと楽しそうに紅茶を入れていた。

もうなじんでいる。


「ひとまず、二人には口裏合わせに協力してもらうわ!」


何も説明せずにそういうと二人とも首をかしげる。

似た姉妹だ。

巻き添えの庭師のおじいちゃんは何やらローマンから説明を受けている。


「ちょっとお屋敷を抜け出してあの人を拾ってきたの。」


ローマンを指さしながら言うと


「デンファレ様、人を指さしてはいけません。」


急いで手をグーにする。


「それで、あの人を隠すためにも、外に抜け出すためにも協力して、お願い!」

「お嬢様、使用人にはお願いではなく、命令すればよろしいのですよ。」


カルミアにそういわれるが


「拒否してもいいのよ。黙っていてくれれば」

「そうは言いましても」


エリカは姉に従うのか、私たちの遊び相手だからか口出しはしてこない。

どちらかというとあまりわかっていないのかもしれない。


 「カルミア、エリカ、ここはお嬢様たちに協力しよう。自分たちで稼いで何か欲しい物があるそうだ。そのためにギルドで簡単な仕事をしてくるらしい。」


庭師のおじいちゃんの言葉にカルミアは少し息を吐いてから


「かしこまりました。私と妹で何とかいたしましょう。ですから外出の際は必ずお声がけくださいませ。」

「ありがとう! 報酬が入ったら特別手当出すからね。」


そういうと庭師のおじいちゃんは私の頭に手を乗せて


「子供は好きなことをすればいい。」


と、言ってくれた。


 馬小屋の壁は修復したように見せかけて鍵付きのドアに替えてくれた。






 翌日。

アバターから動きやすい服に着替え、朝食後に出発するとカルミアに言うと


「お昼ご飯になります。荷物になりますが持って行ってください。」


と、バスケットを渡された。

それを見ていると目の前から消えた。


「あっ、あれ⁉」


驚いて辺りを見渡すがない。

そこに


「ステータスのアイテムを見てみなよ。」


バンダに言われる。

するとアイテムの一番上にお昼のバスケットとあった。

なぜわかったんだとバンダを見ると


「デンファレならそれぐらいできそうだから」


なんて、なんだか馬鹿にされたように言われる。

アイテムを選択して手元に戻すとカルミアに驚かれる。

それをもう一度しまい、馬小屋横の倉庫で庭師のおじいちゃんと暮らすことになったローマンを迎えに行く。


「お待たせローマン。」

「準備はできていますか?」

「多分!」


準備は何をすればいいのかわからないため依頼はひとまず簡単な物から始めようと話しながら町へ行く。


 ここは街はずれの貴族街ではあるが使用人が歩き回ることが多いため使用人服のローマンに少しいいところの服を着ていると下級貴族の中でも下っ端のような服である。

ちなみに、バンダの服も私のアバターから出したもので、手をつないでいれば他人にも着せることができる。

十代後半の体格が目安のはずだがこんな子供でも着られるように勝手にサイズ調整される優れものだ。私のチートやばい。


 ギルドは貴族街入り口からあまり離れていないところにある。

日替わりで入り口に警備として立ってもらっていることもあるための配置だろう。


 ギルドへ入るのはローマンのみ、私とバンダは中央広場の噴水で待っている。

子供が一緒では取れる仕事は少ない。

執事をしていた。

仕事が無くなり急ぎ稼ぎが欲しいというと簡単な仕事を紹介される。


「戻りました。」


紙を一枚持ってローマンは戻ってきた。


「どんな依頼?」

「デンファレ様のご希望だった魔獣討伐です。王都近くの森で畑を荒らす魔獣が出るから退治してほしいとその村長からの依頼です。」

「簡単そうでよかったわ。それじゃあ、村まで行きましょう!」


そういうと目の前にいきなりこの世界の地図が出る。


「うをっ!」

「魚?」


隣でバンダがぼけるが無視だ。


「地図が出た。」

「移動魔法が使えるのですね。」


いや、これは魔法ではなくゲームの仕様です。

でも、ありがたいため王都の村へ一番近い出口まで飛ぶ。


 ここから村の場所を門番に聞き、また地図で移動しようとしたができない。


「あれ?」

「ここからは歩きだね。」


ローマンに言われる。

ちなみに、外では敬語はなしでと言ってある。

本人はいつまで覚えているかわからない、という曖昧な返事をもらった。

敬語はもう癖であり、彼の通常語らしい。


 歩き出し、どうしてなのか聞くと


「移動魔法は印のある場所にしか飛べない。自分で印をつけて、自己流の地図を作る人が多い。はじめから門までの移動なんて本来はできないんだ。移動魔法自体、使える人はごく少数ですしね。」


そうだったのか。

では、家に印をしておけば地図を見る限りギルドへは飛べるため馬小屋のドアが必要なくなった。

おじいちゃんごめん。


 村は近い。

なのだが、道中魔獣が出た。


「レベル三の魔獣です。デンファレ様、レーザービームを」


そういわれ、今回はしっかり狙いを定めてからレーザービームを選択すると魔獣は一瞬で消えた。


「さすが四桁レベルだけあるね。」

「ほめているの? けなしているの? これじゃあ、魔獣を売れないじゃない。」


魔獣はお金になる。

装飾品に加工されることや食肉とされることもある。

今回レーザービームで打ち抜いたにも関わらず灰となって消えてしまった。


「レベルが高すぎる。威力を弱めま…よう。その練習も必要だ。権勢のための攻撃で人を殺してしまっては目的の達成にも暗雲が立ち込めます。」


暗雲どころか牢獄行きだよ。

わかっているかい、ローマン!

あと、もう敬語になってるよ!


 次に出てきた魔獣はバンダの攻撃で見事撃退。

音属性を持つため攻撃と言っても超音波を出したようで私たちも耳が痛い。


「バンダ様は対象物にだけ効果があるように練習しましょう。そうでないとご自身よりレベルの低い者が被害、死者が出ます。」


そういわれ、こくんとうなづく。

素直だな。

私の時と打って違うバンダに拗ねたような視線を送ると鼻をつままれた。


 バンダの倒した魔獣はアイテムに収容し、ゲーム同様に落としていくコイン、この国のミギュを拾って、さらに数個のマジックアイテムやアイテムを作る魔石を拾い歩き出す。

村までに数匹の魔獣が出るとか、初心者向けの依頼とは思えない。

だが、その代わり、威力の調整はできるようになった。


 この国の通貨はミギュ。

一ミギュ一円。

百ミギュ百円だ。

わかりやすい。

硬貨とお札もあり、財布代わりの巾着が重たくなっていく。

前世でバイトのお給料が入った通帳を見てニヤニヤしていた時のことを思い出す。

貯金が趣味。

ではない。

私がチートになった理由は重課金勢だからだ。


 もともと、このゲームはスマホアプリからの派生のパソコンゲーム。

アップデートにもガチャを回すのもお金がかかる。

親にも学校にも内緒でバイトをして、家に帰ってはパソコンにかじりつく重傷者だった。

懐かしい。


 ちなみにこのミギュという通貨の他、ジュムという通貨もあり、これはこの世界では学園内通貨。

学園都市内で使うことのできるお金。

ゲームでは課金がミギュ、ミニゲームや討伐、バトルとの報酬コインがジュムだ。

そのためやりこんでいる私はミギュが一桁でもジュムは五億を超えている。

ゲームやりすぎなのもあるが、課金ガチャで出たダブりアイテムが九十九を超えると∞に変わってしまうためうっぱらっていた時期があるからだ。


 この∞、ミニゲーム全国一位、アバターバトル全国一位、カードバトル全国一位の三冠を三連覇した際にもらった無限王の称号が原因で起こるチート。


 この無限王になると本来なら九十九個までしか持てないアイテムが百個目のアイテムゲット以降∞に使えるようになるのだが、売却するときは九十九を大幅に超えていても九十九しか売却できず、さらにゼロから集めなおしとなるためこまめに売っていた。


 でもゲームを進めるにつれ、アイテムを使うことがなくなり、さらにジュムが五億なんて溜まっているため売却もやめた。

だから、ほぼすべてのアイテムが∞と表示され、いくら使っても減らない。

うっぱらうにしてもジュムになるため売ることもできない。

厄介だ。


 アイテム∞の理由もアップデートまでにシナリオが終わってしまいギルドへ行って魔獣討伐して時間をつぶしていろ。

と、いう時間つぶしのRPGメインで獲得していったアイテムだ。


 今回獲得したアイテムはどうやら違う場所に入るようで



アイテム↓

持ち物→

ポケット→



に変更します。

なんてテロップがつい先ほど目の前に出てきた。

優しい仕様だ。


 そんなことをローマンに説明しながら小一時間歩き、途中魔獣もいたためか時間もかかったが到着した。


「ギルドの依頼で来ました。」


私とバンダは村に入らないで待つ。


 依頼は村の畑を荒らす魔獣の退治。

魔獣の住処は森の中ということだったため依頼者に依頼受理の連絡をしに、ローマンが向かっただけである。

そのためすぐに戻ってきた。


「どうやら道中に出たのはここを襲う魔獣の子供だったようです。」

「だからあんなにいたのね。場所は解っているのでしょ。早く終わらせてギルドに戻ったらもう一つ依頼を受けられそうね。」


時計を開きながら言う。

まだ午前中、噴水広場でゆっくりお昼も食べられそうだ。


 森への案内人には子供がいることを怪訝な眼で見られる。

ローマンはお父様と同じか少し上ぐらいだ。

子供がいてもおかしくない。


「妻もいないので、近くでいつもいい子にしていますから大丈夫ですよ。」


ローマンは演技派だと思う。

実は一番厄介なタイプでもあるだろう。


 森に入り、珍しい薬草や捨てられた魔石を見つけ、視界に入れるとその場から消えてしまう。

また、


「うをっ!」


と、言ってしまうと


「デンファレは視界に入れたものをアイテムに収納する力もあるんだね。」


確かにゲームではいちいち拾わず、勝手に収納される。

アイテムを開くと



アイテム↓

持ち物→

ポケット→

拾ったもの→



なんて項目が増えていた。

テッテレ~なんて音楽も頭の中で流れ出す。

ちょっとむかつくし意味が解らない。


 「ここが魔獣のいる洞窟だ。」


いかにもいますよという感じにそこら中に捨てられた野生動物の骨が落ちている。

見てしまうと勝手にしまわれてしまったため即座に捨てる。

これでは売っている物も盗みかねない。

これは特訓だなと討伐後にやることを決める。


 案内は洞窟の外で待つというため置いて行き、中へ進む。








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