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殿下と結婚したくないので男装して破滅ルート回避したい  作者: くるねこ
2、お兄様には関わりを持ちたくありませんので領地経営に専念します。
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 ガーデンパーティーが始まるため移動になったが殿下に呼び止められた。


「疲れていないか?」


ここは疲れていなくとも、いや、多少疲れてはいる。

気疲れだが、正直に


「少しだけ、だめですわね。こんなことで疲れていては」

「慣れないことだ。仕方ない。仮面では食事もままならないだろう。東屋を専用に用意させた。一緒に行こう。」


あなたといるともっと疲れますなんて言えないけど、疲れます。


案内された東屋には二人のメイドがいた。


「彼女たちがデンファレ嬢が王宮に来た際に面倒を見る係だ。私室は今準備中だ。今度案内する。」

「何から何まで、ありがとうございます。」


座るようにジェスチャーされるため天井からつるされたベンチに座る。

厚みのある綿の入ったベンチで少し驚いてしまうと


「王妃のお気に入りでな。ここは向こうの会場からは見えない。仮面を外していても大丈夫だ。」


そう言われて簡単に外したりはしない。

なんの為の仮面だよ。

恥ずかしくて見せられない顔を隠すための仮面なんだ。

設定だけど、簡単に外したら意味がない。


「私はまだしばらく挨拶がある。待っていてくれ。」


そう言って東屋から離れていくため振り返っても見えないだろうなという距離まではなれてから仮面に手をかける。

両サイドに構えるメイドが興味津々なのは解っている。


 「こんな顔、ちょくちょくなんて見せられないわ。」


なんて、言いながら外すと一瞬表情を変えたメイドだがすぐに持ち直す。

よく教育されている。


「お茶をどうぞ。」

「ありがとう。いい香りね。」


あ、これは四歳児のいうことではなかった。

気を付けよう。

クッキーをほおばりながら頬に触れる。

ゆっくりと咀嚼をして飲み込む。

一枚のクッキーを時間をかけて食べているとそういうものなのだと思ったようで


「ケーキは小さめに切りますね。」


と、言われる。

気を使ってくれたが結局フォークで切るから大丈夫だよ。


 そんなことをしながら一時間ゆっくり食べるとすぐにお腹いっぱいになる。

そしてお腹いっぱいだと時々やってくる眠気。

少しうとうとし始めてしまうと


「少し横になられますか? 今日はお疲れでしょう。」

「ですが、仮面が… 殿下が戻ってきてしまいますわ。」


ああ、やばい。

瞼が落ちそうだ。

どうしようか。

なんて思っている間に落ちた。




 目を開けたとき、目の前は白かった。

保健室ではありません。

そもそも学校設定でもありません。

なのに、近い距離に白いカーテンがあった。

起き上がると


「お目覚めですが?」


先ほどのメイドの声がする。


「私、寝てしまったのですね。」


幻覚は解けていないようで良かった。

カチューシャだけ外してくれたようで、少し髪を梳かされて、カチューシャを付け直し、仮面を付けたところでカーテンが開いた。


「おはようデンファレ嬢。二人に君の寝顔を見るのを禁止されたんだ。我慢したよ。」


ナイスだメイドたち。

あとで名前を聞いておこう。


 ガーデンパーティーはもう終盤ということだった。

子供の参加はここまでで十五歳未満は帰らないといけない。


 その後、談笑を交え、時間が経つのを待ち、帰ることになった。


「では、また近いうちに」

「仕事の片手間にはなりますが、お元気で」


あくまで仕事優先とだけ伝え、メイドに転移魔法の陣をメモに書いて渡す。

陛下はお父様の仕事部屋のみと言っていたが殿下の掛け合いから私用の部屋にも陣を置いてくれるとのことだった。






 パーティーから帰ってきたアマリリスにデンファレとの約束を聞いた僕はオーバーに喜んだ。

そして自分で自分宛の手紙を書いて届けさせるという手間もした。

結果、出発前数日、帰宅後数日、リコリス家にはクレソンが滞在することになった。

アマリリスが構い倒すので困っている。


「やっぱり、わたくしもシンビジュウム領へ行きたいわ。」

「お嬢様、またの機会にいたしましょう。」


メイドにたしなめられ、僕の部屋からアマリリスは連れ出されていく。


「アマリリス姉様はいつも元気ですね。」

「そうだね。僕もこの家に来てびっくりしたよ。デンファレ様はお屋敷では大人しいから」


自分で自分に様を付けるのが恥ずかしい。


「明日には出発だけど、心の準備はできた?」


クレソンに僕が聞くと少し黙ってしまうが泣き出すことはない。


「少しだけ」


へへへッと笑って見せた。






 と、いうことで翌日。

クレソンはトランク一つ、僕は何も持たずに


「行ってきます。」

「怪我のないようにね。」


母上に見送られ屋敷を出た。


 徒歩でいけない距離ではないが馬車でシンビジュウム領タウンハウスへ向かい、バンダと合流して領地へ行くことになっている。


 すぐに到着した馬車を下り、クレソンに手を差し出すが


「スカミゲラー!」


と、いう声とともに背後から走ってくる気配がするが、無視をした。

その結果、がっしり腕の上から胸の高さを強く抱きしめられた。


「痛いよバンダ。魔獣討伐で馬鹿力になった君の力じゃ僕たちすぐにミンチだよ!」


なんて言ってしまったものだから、クレソンはもう涙目だ。


「デン…スカミゲラが全然遊びに来ないのがいけないんだよ!」


バンダが余所行きの顔で甘えてくる。

新鮮でうれしいがそれには嫉妬という文字が見える。


 早々に領地へ転移魔法で移動するが、移動先でも


「スカミゲラー‼」


の、声にお前もかといいたくなったのを抑える。

確かにここ数日クレソンのことでリコリス家から出ていなかったがたったの数日、報告書に混じった手紙もちゃんと返していた。

バンダほど放置していなかったと思ったがお前もどうしたエキナセア!


「大変なんだ。デンファレ様風邪をひいてしまったから一緒に行けないって!」

「あ、そうなの?」


完全な棒読みだが相手はクレソンだ。

問題ないだろう。

事前の話し合いの通りに事を進めてくれるようで良かった。


 「よくぞいらっしゃいましたクレソン様」


ローマンが登場する。

ローマンも予定通り、


「昨夜から風邪をひかれてしまったようで、デンファレ様は良くなったらお会いするとのことでした。」

「風邪、大丈夫なのですか?」


クレソンは涙を引っ込めてローマンに聞く。

年上は大丈夫なようだ。


「はい。顔の傷ができてからはよくあることで、いつも数日で回復いたします。治癒魔法は効きませんが自己治癒力の高い方ですから、なので、風邪を移さないようにと、申し訳ありませんが、鉱山見学はエキナセアに案内させます。」

「よろしくお願いしますクレソン様」


僕から離れたエキナセアは深く礼をした。


 「お荷物をお持ちいたします。一端お部屋へ向かいましょう。」


結局、誰かが泊まりに来たとき用にコランダムにログハウスを作ってもらった。

出入り口からは屋敷が見えるが、ほかの窓からは木漏れ日の降る森や小川、山々が見えるように配置してもらった。


「あ、そうだ。」


バンダが急に口を開いた。


「兄様がスカミゲラに会いたがっていたよ。」

「「え?」」


僕とエキナセアの声がかぶる。

なので急いだ様子で


「スカミゲラ、デンドロ様に何かしたのではありませんか?」

「お会いしたこともない物ですから記憶にないですね。」


アイコンタクトこれ以上は良いだろうと話をやめる。


「この前のパーティーでネリネ様とお話する機会があったみたいで弟自慢をされたらしい。将来デンファレの従者になりたいのなら会ってみたいって」

「しばらく会う予定はないから結構です。僕はデンファレ様とだけ仲良くしたい。兄上も余計なことを言わないでほしいな。」

「兄上……」


下半円のような眼が満月に変わる。

え、バンダ?

兄上って行ったことそんなに驚く?


 荷物の整頓を終え、さっそく鉱山へ向かう。


「かつてはナスターシャム領もダイヤモンドの取れる山があったと聞きます。」

「はい。領史で習いました。今でも炭鉱としての機能はありますがダイヤモンドが出たという報告は聞かなくなったそうです。」


何かを思い出しながら言っている。

きっとリコリス家に来る前に同じダイヤモンドの出る山があるということで勉強してから来たのだろう。


 「これがダイヤモンドの岩盤です。我が領ではこの岩盤をデンファレ様のスキルで切り落として宝石商へ卸しています。」

「もうすぐ自店を出すための準備が完了しそうなんだ。ナスターシャム夫人にも宣伝しておいて、店は先着入場だから」


エキナセアとバンダが説明する横で僕の周りに精霊が集まってきた。


 「あいつ音属性だ。」


クリスが言う。


「バンダと一緒だ。」


ダイヤも来た。


「魔獣が来てんだ。」

「魔獣?」


おかしいな。

結界により、人のいる場所に魔獣はこない。

危ないのはバンダが処理したはずだ。

様子を見に行くか。

そう思っていたら


「来たぞ!」


ダイヤの声と当時に僕の頭上を何かが飛んでいく。

すぐ後ろで着地したと思ったら


「いやー!」


一瞬でそんなに涙出るのかと思うほどこぼしながら叫ぶクレソンの首根っこを加え、魔獣は再び飛んで行ってしまった。


「今の、雷獣か?」

「おそらく、この辺りじゃ見ない魔獣です。」


エキナセアは驚きつつも冷静。

バンダなんて見送っている。







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