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殿下と結婚したくないので男装して破滅ルート回避したい  作者: くるねこ
1、悪役令嬢に転生したけど、私のスキルがチートすぎてやばい……
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 王妃様。

正妃様以外にも三人の側妃様がいるが今現在残っている彼女たちの関係は良好で噂では側妃の三人は王妃様の姫夫ではないかとも言われている。

表向きの公務は分担出来ているためうまく時間ができたのだろう。

聞く話によるとお母様は元王妃候補。

そうなるとお父様も姫夫候補だったため候補間の結婚。

この世界では珍しくはないことらしいが陛下はどういった心境なのか知りたい。

プレイヤーとして


 「それでして、こちらが完成したジュエリーになります。」


いくつか箱が並ぶがどれも飾り気のない箱だ。


「箱もこだわりたいわね。」

「そうですね。今回は間に合いませんが次回までには用意できるように手配しましょう。デザインはまた転送装置でお願いします。」

「解ったわ。」


デザイン画の多くは転送装置でやり取りしている。

ライト氏お抱えのデザイナーもいるため自己ブランドの輪を大きく逸脱したものは採用されない。

それは自分で職人を迎えてからだ。


 箱が開かれ、中から出てくるのは三点セット。

ネックレス、イヤリング、指輪がそろったデザインになっている。

魔法で細かくカットするのだから今までなかった立体的なデザインはできないかという話になり、今回は蝶の形にした。

銀の台座も華奢にして、メインが良く映える割合となっている。


「いいわね。特にネックレスは蝶が飛び回っているようだけどダイヤモンドだから派手な色でもないし、銀が少ないからきらめきも抑えられている。シンプルが良いけれど、はじめはこのぐらいからが良いわね。」

「急にですとやはり受け入れにくいというのもありますからね。アメジストのバージョンもございます。」


アメジストは濃淡を活かし、グラデーションの羽がまた可愛い。

一羽一羽色合いも異なる。

ダイヤモンドよりも存在感がある分、着る服を選ぶ。


「同系色のドレスか、淡い色、黄色や赤は合わない色見かしら。可愛らしいピンクは合うでしょうけど、子供の付けるものではないわ。」


私のいえたことではないが


 「黄色も濃さによっては、そうですね。ですので以前のドロップペンダントのようにチェーンに通すタイプのペンダントもご用意しました。これならばドレスがどんな色でもシンプルに飾れるでしょう。一羽作りすぎただけなんですが」


正直だな。

だが、紫の蝶が一羽、チェーンに通されている。

十分存在感がありいい。


「きれいね。普段使いにちょうどいいわ。今後はほかの色転換もできそうなのだけど、お値段はどのぐらいになりそう?」

「はい、原価、加工費、デザイン費もろもろでこのぐらい。」


電卓に似た魔法石版に金額が出る。


「売値は三倍から五倍ですので、このぐらいからこのぐらい」


なかなかいい値段だ。

まずもって手が出せないがローマンを見る。


 「売り出し開始のこの時期です。八倍でも安いではありませんか?」

「八倍⁉」


ライト氏は気に食わぬ顔で電卓をたたき、金額を見せる。

桁が違う。

売れるのだろうかと思っていると


「もしもほかの領で同じ材料で同じだけの加工を同じデザイン分した場合はこれだけかかり、売値はこちらです。」


そういって見せられた金額に首を傾げる。


「みんなどれだけ自分の領地の石に自信があるのよ。」


八倍よりも少し少ないぐらいだった。


「自分も相手も貴族ですからそのあたりの駆け引きはお手の物です。私としては十倍でも安いと思いますよ。」

「……じゃあ、十二倍で始めましょう。」


少し慎重に言うがローマンがゆっくりとうなずくためこれでいいのかと思う。

ライト氏もにこやかだ。


 その後もいくつか商品になった物を見せてもらい、次のデザイン画の話をして、この日はタウンハウスへ帰ることにした。






 早々に週明け。

採掘は順調でそろそろサンプルの石をいくつかライト氏に見せてもいい頃合いだろうかと思っている今は夕方。

採掘された原石を魔法陣の上にまとめて置き、精霊が祝福をする。

精霊が偶然通りかかるまで祝福はされないがだいたい夕方になると彼らの食事なのか屋敷の周りに集まってくる。


 「デンファレ様、ライト氏から良い知らせです。」


そう言って手紙を渡される。

先にローマンが読んでいるため封が開いている。

周りでがやがや鉱山夫たちが夕食は何か話をしている。


「すごい。王家で全部買い取り……。総額いくらだったかしら?」

「仲介料を一割にしましたので手元には――」


ローマンが暗算しているが考えないことにしよう。


「とにかく、今月は黒字確定よ。これからどんどん掘って、どんどん売って、人を増やして、人の寄り付かなかったこの領が国で一番になれるように頑張りましょう!」

「おー!」


いつから私の話を聞いていたのか野太い雄叫びが上がる。






 おじい様の領から来たのは浮浪者とは思えない人たちだった。

私への配慮なのはうれしいが本当に仕事を探している人に来てほしかった。

だが、屋敷内のこともあるためローマンの部下に回す。


 王都から来た者たちは生きていくのもぎりぎりといった様子の者も多くしばらくは領地の生活に慣れてもらうのと説明のため数日様子を見た。


 その間、脱走者三名、窃盗五名、殺人未遂二名がいた。

処罰はどうしようかと思い、バンダの自然調査へ行かせた。

虎にまたがる子供について行くだけだがなんでも最近、魔獣多発出没地点を見つけたらしいく、討伐が楽しくて仕方ないらしい。

殺戮兵器とならないといいがと、思っていたが罰から戻ってくるとみんなまともに働く意思を見せてくれた。


 休職者の中には運のいいことに他領で石の加工場にいたという数名をゲットした。

研磨の道具は王都で購入済み、はじめは屋敷の一角でやってもらっていたが子供たちもいるため急ぎ加工場を作ることにした。

いくつかライト氏に持って行けば少し荒い部分も多いため修行に来させてほしいといわれた。


 修行に行っている間に加工場も完成。

道具もそろえた。

加工場の半分では金細工の職人スペースも作り、いつでも迎えられる。

どこかにいい職人はいないかと久しぶりにギルドへ顔を出すと


「いい人いますよ。」


なんて、受付のお姉さんに言われる。

なんでも個人で加工して魔石のアクセサリーを作っていたが摘発にあったらしい。

そりゃあ、なるよ。

魔石の加工は違法だもの。

アイテム職人以外は禁止だ。


 職人は二人もおり、思いのほか順調に話が進み、領地へ来てくれることになった。


 ここまで順調だとあながち神の申し子というのも冗談には聞こえなくなってきた。






 数か月たった。

領民は三百人を超えたが自主的に住み着いているのはコランダムのみ、ほとんどが浮浪者、一部おじい様からの優秀な人材。


 領民の登録は完璧。

土地管理により、コランダムのみ、私有地を私から借りているということになっているが元から住んでいるためこれと言って金銭を取るわけではなく、助け合いに参加してもらっているといったところだ。


 鉱山夫長にはスターチスを付けた。

村人をまとめるのが得意、他領から来た浮浪者ともすぐに溶け込んだ。


 人が増えると魔法が使える人も増える。

転移魔法で仕入れに行ける人も増えた。

鉱山内の安全のための魔法も使える人がおり、今のところ大きなけがはなく、治癒魔法の使い道がない。


 おじい様から送っていただいた人材は主に領の収支、税金、生活費の計算をしてもらっており、それをローマンともう一人、カモミールがチェックし、私も見る。

ここまで体制が整うと私は領館では不要な人材で、週に一日様子を見に行くのと職人とデザインの相談をして、商品の在庫の管理をするくらいだろうか。


 今のところファレノプシスブランドはいい出発を切った。

王妃様に購入していただいた二か月後には国主催の建国記念式典があり、王族は白い正装が基本だが、ジュエリーは好きな物を付けている。

そのため王妃様はダイヤモンドの蝶が舞うネックレスを、側妃たち三人はあの後追加注文されたアメジストの蝶舞うネックレスをそろいで付けている。

妃たちがそろって同じ物を付けることは珍しくない。

でも、それが今まで趣向と違えばそれだけ目を引く物だっただろう。

私は見に行っていないが


 その後も新作は優先的に王家から回すようになり、ライト氏の工房は忙しい日々で研磨職人が返せないといわれたときは困った。

領の職人トリトマとクルクマは自分たちでもできるというため量は作れないが生産は始まっている。

研磨職人もあと一か月で領に戻ってきてもらう約束だ。


 店舗の用意も順調で貴族の個人宅へ売りに行っていないにも関わらず問い合わせの手紙が届く。

うれしいが注文生産はしない予定だと、店頭にあるのみだとして私の四歳の誕生日をめどに開店予定だとだけ書いて送り返す。

相手がオーキッド侯爵よりも上の公爵だとしても対応は同じ、さすがに王家にそんなことはできないためその対応はライト氏に任せてはいる。


 「デンファレ、採寸の時間だよ。」


バンダの声で机から顔を上げる。

三歳児が書いたとは思えないとエリカによく言われる綺麗な字が並ぶ私の手紙を見て、バンダはため息をつきつつ、私の手を引いて部屋を出た。


 四歳の誕生日パーティー。

領地経営が忙しいから不参加なんて侯爵家令嬢ができるはずもなく、たくさんの婚約者候補にお友達候補が来るのだろうなと思うと足取りは重い。

普通の女の子なら特別なドレスに皆が祝ってくれる喜びで楽しみなのだろうが私はそうは行かない。

手紙の返事どころかお母様が書く予定だった招待状を自分で書く羽目になった。

それだけお母様の体調が悪いのもある。

間もなくデンドロお兄様の誕生日でもある。

一か月違いなのでゲームでも兄妹まとめての誕生日イベントがあった。

毎年、お母様はデンドロお兄様のことを思い出して伏せてしまう時期でもある。


 「ねえ、アザレア。お母様はお食事をちゃんととられているのかしら?」

「量は少ないのですが食べやすいようにスープを中心に食べられていますよ。」


リミットまであと二年ほど、領地へ引っ込む理由も場所もできた。

そろそろ動くかと腹をくくる。

殿下以上に接することが多くなるだろう攻略キャラにして、ゲームのデンファレが心ゆがめる原因となった人物。

領地に引っ込み、何とか接触を控えたい。









一章三歳編は終了です。

二章は続きの四歳編書き終わり次第まとめて投稿いたします。

ブックマーク、評価いただきありがとうございます。

次回投稿まで今しばらくお待ちください。

次はもう少し殿下出てきます。


誤字脱字の加筆修正を度々行っていますが、それでも日本語がおかしい部分が多々あり、もう申し訳ありません。

できる限り修正は行っていますが誤字報告をいただけると幸いです。


評価・ブックマークいただきありがとうございます‼

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