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ラブコメ主人公は爪隠す  作者: 嵩いの李
1/3

胸騒

人は誰しも隠し事を持っている。

それが他人にとって重要であってもなくても隠し通せば問題はない。

皆様々な理由にせよ秘密にしたいから隠し事を持つのだ。

バレてしまっては困るのが隠し事である。

それは俺、佐藤(さとう) (さぐり)も例外ではない。いつも教室の隅でラノベの表紙を見せびらかすように読んでいるキモオタにも隠し事はあるのだ。バレてしまっては本当に困るような隠し事が........



______________________________


俺、佐藤 探の朝は早い。

一番乗りに教室に入っては隅で、本にカバーもつけずラノベを読んでいる。

これはほかの人にラノベを勧めたい訳でも学校の美少女が実はラノベ好きでそこから始まるラノベ展開........ を期待している訳でもない。

ただ単に話しかけられたくないのでこうしてキモさ全開でいるのだ。同じラノベ好きであるからと言って話しかけられてもほとんど相手にしない。

その甲斐あってか、高校2年になった今でもこの学校に友人と呼べる存在はいない。

また運動も勉強も中の下くらいで、いつもマスクとメガネをつけているので根暗代表みたいな見た目をしている。なので寄ってくる人もいないのである。




ラノベを読んでいると、何やら話し声が聞こえてきた。もう他の生徒も登校して来る時間になったらしい。


「佐藤まじキモくね?」ヒソヒソ


「それな。いっつもマスクてるしメガネつけ

てるしまじきもい」ヒソヒソ


いやメガネはいいだろ。そんなこと思いながら悪口を言っている方を向く。


そこにはスカートをパンツが見えるか見えないかくらいまであげ、ヒソヒソ話している雲水(うんすい) 星雨(きら)の姿があった。

切れ長の睫毛と少しつり目だが大きな瞳。鼻も口も小さく、チャラチャラした茶色い髪とは似つかわない美貌の持ち主(胸は小さい)である彼女はクラスの中心人物であり、そのモデルのようなプロポーションで男子から絶大な支持を得ている。

また、ノリがいいことや見た目に反して、頭がいいことから女子の友達も多い。そんな彼女に告白して振られていった男子も少なくない。

学年で2番目の美少女といってもいいぐらいである。


まぁそんなの俺には関係ないなと思いつつ、クラスの雰囲気が変わったのを感じちらっと辺りを見回すと、学年1の美少女が自分のクラスに入ってきたところだった。


(なんで3組のアイツが1組に......?)


気にしないフリをしながら流し目で様子を窺う。クラスメート達が静まり返りヒソヒソ声で話している。そんな様を全く気にせず学年1の美少女はどんどんこちらに近づいてきた........



え?


近づいてきた?

え?なんで?

頭の中が混乱する中、どんどん近づいてくる。そして僕の席の前に立って言った。


「佐藤 探。話がある。放課後ここに来い。」


学年1の美少女は『放課後、屋上』とだけ書かれた紙を机の上に置いて教室から出ていった。

クラスメート全員から向けられた視線を意識しないようにしながら、紙をポケットに入れた。


そして、ラノベを読んでいるフリをして、何かが起こるという胸のざわつきを悟られぬよう放課後まで過ごしたのだった........




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