プロローグZERO 「汚らわしき破壊者の始まり」
サイトを開いて下さりありがとうございます。
静観 啓と申します。
気軽に読んでいただければ幸いです。
なお、この物の世界の単位は以下のようになっております。
センチ=セトル
メートル=メトル
キロメートル=キトル
その光景を忘れることは、たぶん一生ないだろう。
へたり込む自分。
たった数メトル先で飛び散る真っ赤な鮮血。
数分前まで人の形をしていたそれをただの肉片に変えたのは、犬ほどに大きいアリ型の魔獣だった。
獲物が死んだことを確認すると、魔獣は次の標的に僕を選ぶ。
大きな体にピクピク動く触覚。
むき出しにされた牙からは血が滴っている。
逃げなければ、次に殺されるのは自分だと分かってはいても、僕の足は動いてくれない。
魔物が目の前まで迫り、もう駄目だとあきらめかけた時、その人は現れた。
幻想的なまでに美しき一人の少女。
星屑を編み込んだような白銀の髪に、月を彷彿とさせる金色の瞳を有した彼女は、まるでおとぎ話に出てくる妖精のようだった。
僕はこの日、唯一の家族で親友だった彼を失い、後に歴代王国魔法騎士最強と言われるその人、セレナ・オルテンシアと出会った。