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一階の方から複数の足音が聞こえてきた。
〈ヤバイ、近づいて来る二人組は誰なんだ?〉
階段を上りながら銃を引き抜き、扉の隙間から周りの様子を窺う。
一人は直ぐ近くに身を潜めている茶髪女で少し幼く見える。
残念ながら此方からは丸見えだが、敬之にとっては都合が良かった。
もう一人の大柄な男は、入口の方で何かを探しているような行動を取っていた。
〈あの薬を使ってみるか〉
試し用の錠剤を口に入れて飲み込むと、唐突に頭の中から女の声がした。
〔これから、どうやって逃げようかな〕
〔この薬を使いたくないし、逃げるにも気を逸らさないと〕
次に男の声が聞こえる。
〔あの女どこ行きやがった。見つけたら直ぐに殺してやる〕
〔いけない。その前に、たっぷりと痛めつけて薬の在り処を聞き出さないと〕
〔駆り出すのに、貴重なテレパシー能力は使いたくないが仕方ない〕
頭に流れてきた声が消える。
〈やっぱり力の制御には癖があるな〉
〈そんな事よりも、誰にもバレないで逃げるのが理想的なんだが〉
「でも、無理だろうな」
「二階に上がるのは男からは見えないが、女に見つかる位置に階段があるし」
「この状況なら、女の方に力を貸して逃げ切る方が良いかな」
大柄の男が廊下から消えるのを見計らって、女の背後へと近づく。
ランダムではあるが心の声が聞こえるため、短距離ならば
見つからずに動くことも容易である。
そして、左手にタオルを持って口を塞ぎ、頭に銃を突き付ける。
女は大声を上げようとしたが、左手によって声は部屋に響かない。
耳元に顔を寄せて小声で話しかける。
「俺は、お前の見方だ」
「あんたは向こうにいる男に追われているんだろ」
「俺もこの建物から逃げたいが、一人だと難しい」
「何も言わずに来れば、あんたも逃がしてやる」
女は頭を縦に振って、了解の意を伝えた。
「よし、まずは二階に上がって距離を取るぞ」
「先に、俺が行く。合図を出したら中腰で走ってこい」
頷きながら、体を起こして中腰にする。
それを確認すると、敬之は唐突に走り出す。
再度タイミングを計り、手招きをすると敬之は二階の通路へと姿を消した。
女が階段を使って二階に上がると、敬之が立ち尽くしていた。
「あの先に梯子が置いてあるから逃げることが出来るが、 、 、」
「あいつを俺と一緒に倒さないか」
女は疑わしい目を向けながら、少しだけ後ろに下がる。
「あなたもゲームの参加者なんですか?」
腕についているデバイスを軽く掲げて答える。
「それは君もだろ。君を信用することはしないが、アイツは脅威でしかない」
「私はあなたを信用していいんですか?」
「君を殺してない。それだけで材料は十分だろ」
「それに、君もアイツは脅威なはずだ」
女は頭を縦に振って答える。
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