二つの足音
朝に目が覚めると、昨日の死闘が夢の様に思えた。
しかし右腕には、腕時計状のデバイスがしっかりと付いている。
「そう言えば、タイムリミットはどうなってんだ?」
腕時計あらためブレスレット型デバイス(BTD)の画面を開いて確認してみた。
画面には一週間分の時間が加算されていて、更には超能力が二段階になっている。
〈視覚にいるプレイヤーを指定でき、視界から消えても10秒間は指定の状態が続く能力〉
〈やっぱり予想通りの内容だな〉
日曜の朝、重い体は重力に耐えかねて布団の上に倒れ込んだ。
体に力が入らず、意識が少しずつ薄れていく。
「起きたら、昨日の事をどう処理されているのか見に行こう」
意識は完全に暗闇へと落ちていった。
15時頃に身支度を整えて外へと出かける。
先ずは黒服を殺した路地に行くが、警察どころか野次馬さえもいなかった。
そればかりでなく、黒服を突き刺したときの血痕さえも見渡す限りでは見当たらない。
携帯を開き、インターターネットニュースを見てみるが目ぼしい情報は得られなかった。
敬之は焦った心を押さえようと一呼吸おいた。
〈どこかに証拠が必ず残っているはずだ〉
敬之は立ったまま少しだけ考えた。
そして、ゴミ袋の山をあさり始めると、コンクリートの壁が現る。
壁を注意深く観察すると、血痕を発見することが出来た。
「昨日、隠れていた場所にも血が飛んでいたか」
「そして、このゲームを隠そうとしている誰かが血痕を見逃した」
「だが、こいつ等は注意力が足らない奴らみたいだな」
敬之は本人さえも気づかぬうちに不敵な笑みを浮かべていた。
次に、中年が黒服に殺された廃ビルへと行ってみる。
ビルの地下には黒服に殺された中年の死体と、隅っこにはカバンが残っている。
〈ここには誰も来ていないということか?〉
〈何故だ。警察にさえも影響力が有るはずなのに〉
〈それに、俺はゲームの中で異物でしかない〉
〈なのに、アクション一つ無いのも変だ〉
敬之は中年の死体を注意深く観察したが、死んだ後に誰かが動かした形跡は残っていない。
「ゲームの主催者は俺のことに気づいていないのか?」
「いや、証拠が消えているのだから向こうも分かっている」
「それでも、ここに参加者の死体が残っているということは」
敬之は少しだけ死体を見つめると、死体の傍に転がっているカバンの方へと近づく。
カバンを持ち上げると教科書などの重さが伝わってくる。
「こんな所、さっさと出たいな」
「中身を確認するのは家に帰ってからでいいか」
重いカバンを持って階段を気ダルげに上がる途中で、
一階の方から複数の足音が聞こえてきた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
後書きで前にテレパシーの正式名について書いたことがありました。
今日ここで、発表したいと思います。
正式名は
「拡張型思念現象」




