反撃
家に恐る恐る戻ると誰も、そこには居ず。カバンだけが部屋から無くなっていた。
「カバンの中身は全て入ったままみたいだな」
「なら、これを使えば勝てるはず」
逃げてから1時間以上が経ち。19時頃になっていた。
携帯を開き、あるアプリをインストールする。
アプリを立ち上げると画面には地図が表示されていて、地図の中には赤い点で壊してし
まった携帯の在り処を示している。
〈また、あの廃ビルかよ~〉
肩を竦めながら台所へと向かい包丁を引き抜き、玄関へと向かった。
ビルに着く前に男の詳細な場所をGPSで確認する。
廃ビルに着くと立ち止まり、それを見上げて決心を付けた。
「ここの奥なら、隠れるには丁度良いだろ」
奥へと歩んでいくと、だんだん緊張感が高まってくる。
廊下を薄く照らしていた明かりに一瞬、影が差す。
敬之は影が差した部屋へと入るが、何処にも人の姿が見当たらない。
部屋を出るために後ろへと振り返りざま、懐から包丁を取り出して一文字に切りつける。
本来なら空を切るはずの包丁は、黒服の腕に刃がめり込み速度を落とした。
そのまま腹部に激痛が走り、前のめりになってしまう。
そこへ更に、顔面に拳銃のグリップで攻撃してくるが腕で受け止める。
激痛に悶えながらも、黒服を蹴っ飛ばして廊下まで押し戻した。
〈今のうちに、逃げないと〉
煙玉を床に思いっきり叩きつけて身を隠した。
背を向けて窓枠へと走ろうとすると、黒服は落とした拳銃を拾い上げて構える。
銃弾は敬之の後頭部へと真っ直ぐ進むが、敬之の投げた包丁に銃弾が逸らされる。
敬之は窓枠に突っ込み、わずかに残っていたガラス片と共に外へと逃走した。
扉の傍に横たわる影は拳銃をポケットに入れてから逃げた獲物の後を追う。
〔協会の方までくれば、追って来られないか?〕
ランダムであるテレパシーの能力も、住宅街で家に人が居ない時間帯であれば超能力は
高い性能を発揮する。無論、聞こえる回数で言えば10数回に1~2回だが、効果範囲の広さで十分にカバーできる。
男は拳銃があることをポケットに手をやって確かめると、教会へと急ぐ。
教会の門のところに息を切らしながら人が立っている。
黒服は心を覗き込んだ。
〔ヤバイ。追って来た〕
敬之は角を曲がって更に走り続ける。
眼で簡単に捉えられてしまう数メートルの差を少しずつ詰めながら走り続ける。
長い直線の道に入ったが、疲れと徒歩によるズレで弾が当たらない。
〔この道を角に曲がろう〕
・
・
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〔行き止まりかよーーーーー!〕
〔クソ、ここで死ななきゃいけないのかよ!〕
〔来るな! 来ないでくれ! 見逃してくれ!〕
黒い服に身を包んだ男はニヤリと笑った。
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