生き残る方法
そこに、突然ピンポーンというチャイムが響き渡る。
一瞬、動きが止まり動揺する。
「すみません、宅配で~す。」
その言葉に鼓動の高まりが静まっていく。
支度を中断し、扉を開けようとして止める。
〈こんな状況で宅配?〉
〈タイミングが良過ぎだろ〉
レンズから向こうの方を見ると、レンズを覗きこむ黒服の男と眼が合った。
決して向こうからは此方を見ることが出来ない筈なのに、眼が合ったと感じた。
直ぐに、机に置いてある財布をポケットに入れて二階の窓から飛び降りた。
コンクリートに着地すると同時に異常な衝撃と激痛が体を襲う。
それを我慢して体を起こし、走り去る。
〈ちくしょう。カバンを忘れて来た〉
〈でも箱を手に入れた以上、アイツもわざわざ追ってこないだろう〉
駅へと続く道を走り抜けようとアパートの角を曲がろうとする。
しかし、角から男が拳銃を構えて立っていた。
一発の銃声が鳴り響き、弾が頬をかすめる。
〈ヤバイ。逃げないと〉
頭の中では逃げようとしているのに、体が勝手に動いて黒服へ殴りかかった。
黒服は倒れ込みながら言葉を漏らす。
「クソ、何故だ?」
黒服は拳銃を向けて発砲してくる。
しかし、体勢が悪いために発砲の衝撃によって銃口が明後日の方向へと向いた。
敬之は拳銃を蹴り飛ばし、敬之は駅へと向かうため走り出した。
黒服が先回り出来ないように、適当なバスに乗って逃げることにした。
バスの中で、いきなり腕時計が鳴り出す。
アラームに驚きながらも、音を消そうと画面へ触れてみると音が鳴りやんだ。
それと同時に、『制限時間は今から168時間です。』という文字が画面に浮かんできた。
腕時計を色々と弄っていると、幾つかの事が分かってきた。
1.『特殊能力の内、一つは先ほど使ったテレパシーである』
2.『特殊能力は1時間が限度であり、一日に服用できるのは原則的に2回。』
3.『能力には何段階かの制限があり、制限を開放すれば高い能力を使えるというコト』
4.『1段階目の能力は15mの範囲でランダムに人の声を聞き取れること。』
5.『プレイヤーには制限時間があり、過ぎると腕時計から毒針が刺し込まれるというコト』
6.『他のプレイヤーを殺せば制限時間が伸びる』
途中でバスを降り、近くにあるベンチへと腰を下ろした。
〈最悪だ。最長でも一週間で死ぬとか〉
「冗談でも笑えないよな」
ため息交じりに頬が引きつりながらも笑顔を作ってみる。
「生きたきゃ殺せ。殺したくなきゃ死ねとか」
自分が一週間以上、生きることが出来る方法を考える。
頭の中で色々なルールを整理し、抜け道を見つけるために考える。
殺されない、殺さない方法を考える。
しかし、一つの道しか見つからなかった。
アイツを殺す方法が最も、目的に辿り着ける確率の高い方法だった。
「しかたない。・ ・ ・ 殺すしかない。」
〈他人を殺そうとするなら、自分が殺される覚悟も出来ているだろう〉
足を震わせながら、マンションへと帰る道を歩いて行く。
「まずは家に帰るか」
〈その前に、100均で補給しないと〉
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
今、暇つぶしに作品をもう一つ書いています。
これも前々から練っていた長編作品で、バイオティクスのシリアスを書くに疲れたときは
そっちを進めています。
もし1話が完成したら投稿するので読んでください。
題名は「真人間」から「引きこもり」に転生しました です。




