紅の塔
先週、休んですみません。
「ここに居るはずや」
目の前には真っ赤な鉄骨が露出した建物がそびえたっている。
金髪の男はビルの建設現場を睨みながら扉を開けた。
工事現場に入ると作業員が見当たらない。
それどころか何の音もしない。
「ここは工事現場じゃないのか?」
大智は周りを警戒しながら奥へと進む。
そこには色々な機材や鉄屑が散乱していた。
周囲に眼を配りながら奴を探すが人影を見つけることは出来ない。
「アイツは何処に居んねん」
人の影が無い赤い塔の中を探索していると、
鉄骨の塔に登ることのできるエレベーターを見つけた。
エレベーターに乗り込むと最上階を目指して一気に駆け上る。
しかし、3階に達したところでエレベーターが急に動きを停止した。
その衝撃で大智は床に手をつく。
間髪入れずにナイフが飛んで来くるがジャンプして回避した。
「どうやら、此処には居るみたいやな」
「だけど、何処にも姿が見えん」
続いて2射目が飛んで来た。
四方からの攻撃だが体を伏せて回避する。
そのまま床を転がって追撃のナイフを避けた。
そして、猛烈なナイフによる攻撃の嵐は止んだ。
「なんだ?」
突如、エレベーターが揺らぎ始めた。
所々から軋むような音がする。
揺れは少しづつ大きくなり、立っていられないほど激しく揺れている。
そして、上方から嫌な音がすると、床が傾きだした。
それでも揺れや音は止まらない。
「クソが、これはヤバイ」
下に落ちないようにエレベーターの手すりにしがみ付く。
赤い籠を繋ぎとめるケーブルは箱の重さに耐えきれず、
徐々に、その数を減らしていく。
少しづつだが着実に死へと近づいている恐怖から大智の感覚は薄れて行く。
命綱を必死に握っている腕に猛烈な痛みが襲う。
「さっさと楽になりたいぜ」
しかし、言葉とは裏腹に彼の手はしっかりと自分の生を掴んでいる。
そして、ついに裏切り者が影から顔を出した。
「どうだ。辛いだろ」
「やっと、お前みたいなバカと手を切れるぜ」
「お前は、女も襲えないチキンだからな」
「精々、俺に苦労を掛けた分くらいは俺を楽しませてくれよ」
男は手に巻かれた包帯を擦りながら大智が落ちるのを歪んだ笑みで見守った。
最後まで読んでくださって、ありがとございます




