着信
色々な事で疲れていて、早々に寝ようとした敬之は
携帯に知らないアドレスからメールが届いることに気が付いた。
メールの件名には『今日は楽しかったです。』と書いてある。
文面には色々な事が書かれていたが簡単に要約すると、『今日の話し合いでは語れなかった事を、今度の長期休みの日に合って話さないか』というモノだった。
「確かに、今日は唐突な出来事すぎた」
「まともに情報も引き出さずに帰ってきたのは後悔している」
色々な理由が重なったために、『了解』の一言だけをメ―ルで返す。
「やっと寝れる」
そう言って安堵する敬之は、電気を消した。
布団の中で疑問が一つ生まれたが、疲れていた意識は夢の世界に駆けて行った。
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しかし、アラームらしき音に安眠を妨害された。
携帯はピコピコ光りながら甲高い音を発しているが、周りが真っ暗なことから未だに
夜であることは明白である。
「こんな時間に電話かよ」
画面をスライドさせて電話に出ると
「もしもし、敬之さんですか?」
どこかで聞いたことがある様な女の声がした。
しかし、半分意識のない敬之には思い当たる人間がいない。
「すまないが、夜分遅くに掛け間違えるなんて本当に迷惑だ。」
「ああ、すいません。」
ブツという音を鳴らして電話が切れるが、直ぐにもう一度かかってくる。
「やっぱり、敬之さんですよね」
「本当に誰なんだ?」
頭は眠気でまともに処理できずに、問題を放り投げてしまっている。
「美優です!」
電話から部屋中に響くどころか、近所迷惑に成りかねない程の大声が発せられた。
それと同時に、敬之は完全に覚醒した。
「ああ、寝ぼけていた。すまない」
「いや、俺は悪くないな。お前が謝れ」
「夜分遅くに電話したことは謝りますけど」
「またもや名前を、というか存在を忘れた事に比べたら可愛いものです」
敬之は二度も忘れたのには少し反省している。
頭の後ろをガシガシと掻く。
「なら、相殺だ」
「そうですね。まあ、それで良いです」
もう一方も納得したらしく、声が元のネコ撫で声に戻っている。
「そういえば、俺の電話番号とかは調べたの?」
「はい、そうですよ」
「情報元は秘密ですけど、私は情報を種々するのが得意なんです」
敬之は、まったく驚かない。
「でもなんで、メールや電話を掛けてきたんだ?」
「俺に教えたのに」
「いやー、用事があったんで」
〈よく分からないが、悪意が絡んでないならいいか〉
敬之は興味を失って本題に入る。
「それで、用件は何」
「そっ、それはもう良いんです」
「そうだ。明後日の土曜日について電話したんです」
敬之は怪訝な顔に成るが、眠気に襲われて問い詰めることはしない。
「なら、悪いがメールで連絡してくれ」
「電話で叩き起こされるまで寝ていたんだ」
「もう、ヤバイ」
「分かりました。後日、メールします」
「睡眠の邪魔をして、本当にすみませんでした」
〈やっと、本当にやっと寝れる〉
携帯を布団の上に放り投げて、重い体を床に預けた。
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