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――雨?
それは雨、それも豪雨の音に聞こえた。
そして次に聞こえてきたのは、とてつもない轟音だった。
――なんだあ?
電話はそこで切れた。
梶谷が受話器を置くと、梶谷の全身を何かが叩いた。
雨だ。
普通の雨ではなく、とてつもない豪雨だ。
――えっ?
気がつけば、細い山道にいた。
ついさっきまで諏訪子の実家にいたはずなのに。
道のすぐ先に山があり、そこには小さく古い家屋が寄り添うように建っていた。
家屋の数は十軒ほどだろうか。
――いったい何がどうなっているんだ?
その時、梶谷の耳に地響きのような轟音が届いた。
それは先ほど電話で聞いたものと同じものだった。




