ご都合主義宜しく
「さて、これからどうするかな。とりあえず道を進めば近場の街まで辿り着くとはアレルナは言ってくれたから、向かうのは決定だとして、問題はそのあとだな。どうやって生き延びればいいのか。まあとりあえずフリーターみたいな感じで行くしかないのかな。」
龍二体を倒して感慨一入だが、感慨に耽っているだけではいかない。問題はなにも解決していないのだ。
元の世界にいたときに、現状逃避から異世界転生系のラノベを読み漁っていたが、どれもご都合主義よろしく、貴族の屋敷でやとわれたり、転生先がそもそも大富豪の御子息だったりするのだが。
「なんで神様は俺に何も与えてくれなかったのだろうか。」
異世界に飛ばされ、当てもないのはかなりきつい。が、それでも俺がくじけないのは、社会人自体に比べたらまだ気が楽だからだ。毎朝、倒すことができない敵の根城に行くよりは自由度の高い今の方が生きていいる実感がする。
「とりあえずアレルナたちを追って道を進みますか。」
最初の道からはだいぶ離れてしまったが、元の獣道まで辿り着けないわけではない。
不安感と疲労感を友に俺は道を踏み出した。
――――――
しゃかりきに街道を進むこと数時間。
前方に人影が見えた。
「もしかしてアレルナたちに追いついたか。」
気持ちが昂る。美人のアレルナに会えるからというゲスい理由からではない。一人でドラゴン2体を倒したということをひけらかすチャンスだからだ。
・・・これもゲスい考えだった。
「おーい!!!第二師団の方々!!!」
俺が大きな声で呼ぶと、行軍の後方にいた赤髪のおっさんがこちらに向き直る。
・・・・イーガルの野郎だ。
また悪態でも吐くのかと思ったが、どうも鳩が豆鉄砲をくらったみたいである。
そんなにびっくりすることか?ドラゴンに遭遇せずに追いかけてきたという線もあるのに。
イーガルは隊の前方に走っていくと、アレルナを連れて引き返してきた。
アレルナも豆鉄砲を食らっている。
「いやー実はさっきドラゴンに襲われちゃったんですけど、運よく撃退できたので、合流しようと思ってまいりました。」
「倒したってドラゴンをか?トカゲとかの間違いじゃなくて?」
イーガルは疑問を呈する。
「5m級のドラゴンなんているわけないでしょ!?しかも炎の弾を飛ばしてきますし!!」
イーガルもアレルナも開いた口がふさがらないらしい。
どうやら俺が思っていた以上に、ドラゴン退治というのは困難なものらしい。
銃を使いこなす能力が俺のチート能力ということだったのか!神様ありがとう!!!!!
「・・・なるほど。ドラゴンを2体倒したのか。どうやって倒したのだ?」
アレルナは眉をひそめてそんなことを尋ねる。
「それは、この銃でずばっとね。一発で2体とも倒せるなんて、記憶を失う前の俺はもしかしたら銃の名手だったかもしれませんね。」
アレルナは俺の言ったことを聞くと一瞬小難しそうな顔をしたが、すぐに表情を入れ替える。
「わかった。貴殿を近くの街とまでと言わず、我が領内まで案内しよう。
記憶喪失の身では街にたどりついたとこでどうしようもあるまい。我がジリミア家の客分として迎え入れようではないか。」
「何を言っているんですか。副師団長!!!こんなときにこの者を行軍に参加させるには・・・」
「うるさい!イーガルよ。ドラゴン2体分しか魔素探知には引っかからなかったのだろう。そのドラゴンはもう討伐されたのだ。この者を参加させない理由は取り除かれた。」
ちょっと話が見えないが、これは天恵、渡りに船だ!
もちろん俺の答えは。
「どこまでもついていきます!!アレルナ様!!!」