魔素使用練習 魔剣編
魔剣を手にしてみる。魔剣という名前はついているものの、ただの汎用品だ。グリップに魔石がついているだけのただの剣。それがこの世界でいう魔剣なのである。
「ではそこの岩に魔剣を振ってみろ。剣を高熱にするイメージだ。」
おいおい。そんなんしたら剣が折れるし、俺の手にダメージが及ぶだろと通常なら思うが、ここは異世界。魔素という不思議なエネルギーが存在する世界。俺はいわれたとおりに、高熱になった剣をイメージし、剣をふるう。
ズゥーーーン
なんと岩は真っ二つになった。切ったというより溶かしたという方が正しい説明にはなるが。
「魔剣も無事に使えるようだな。このように魔石に触れながらイメージ化することで、剣を高熱化したり、逆に低温化したりすることもできるのだ。」
「なんか魔法みたいですね。」
「魔法か。ふふっまあそんな不思議エネルギーなんだよ。未だにその仕組も発生原因もわかっていない不思議エネルギーだ。魔法みたいなものだな。
では、最後にこの魔剣で先ほどと同じことをしてみてくれ。」
そう言われ、アレルナに渡されたのは先ほどまでと全く同じ魔剣だ。しいていえば、魔石が黒ずんでいる点が気になるが。
とはいえ、先ほどと同じように剣をふるって見せる。
ズゥーーーン
先ほどと同じ結果だ。岩は真っ二つになった。
「これでいいですか。アレルナさん?」
「ああ、いいよ。さすが使いこなせている。君には魔剣の才もあるのかもな。最初からこううまくいくものではないからな。通常はもっとエネルギー化に四苦八苦するもんだ。」
その後、何回か魔剣の練習を繰り返し、疲労が溜まってきたので帰路につくことにした。
「では帰りますか。アレルナさん。」
「ああ、そうだな。その前に君に少し話があるんだが、いいか?」
「急に改まってどうしたんですか?
「ミリア王国第2師団に入らないか?」