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ケルニアの盗賊 B

前編、中編、後編と段組みしようと思いましたが、諦めました。

パートがどこまで続くかはわかりません・・・。

 病院への道をアレルナが連れて行ってくれようとしたが、道だけ聞いて一人で向かっている。


 なぜかって?異世界の街探索のために決まっているじゃないか!!

 ということで、今は街のバザール周辺を堪能している。


 八百屋、魚屋、肉屋が所せましと並び、スーパー並の品ぞろえである。

 街道から街を見た限りでは、近くに海とか湖とかなかったような気がするんだが、どうやって揃えてんだろうか。

 まあそんな疑問も後でみっちりと異世界情報を教えてくれるらしいアレルナに聞こうと思う。

 アレルナはドラゴンを倒したと伝えた瞬間、『我が家に迎え入れよう』とか言い出して、渡りに船とえば船だ。けれど、不審といえば不審で泥船じゃないことを祈っている。



 どうかこの世界の騎士様が誠実なお方でありますように!!!





―――――――――――――




病院へは確かこの曲がり角を右だったな。

アレルナからもらった地図をもとに俺は歩を進める。

地図には文字も書いているがなぜか読める。しかも日本語ではない。ほんとう異世界って不思議だなと思いつつ、病院の前にたどり着く。


病院は石造りでできた立派なものだった。RPGのやりすぎなのか修道院みたいなところをイメージしていたが、一階建ての立派な建物である。


俺はドアを開け、受付と思われる場所に座る女性に話しかける。


「すみません。診察を受けたいんですけど。」


「初診ですか。それであれば、病状とか教えていただきたいのですが。」


「初診ですね。病状というか、ちょっとモンスターの毒気にやられてしまって記憶喪失になってしまって・・・」


俺はアレルナに言ったとおりの嘘をついた。これをもとに変な治療をされそうになったらそのときはそのときで考えよう。



「モンスターの毒気にですか・・・。わかりました。診察室にご案内いたしますので、ついてきてください。」


そういうと受付の女のそこそこかわいいは席から立ちあがり、俺を診察室へと案内する。



「すみません。先生、モンスターの毒気で記憶を失われた方が来られました。」


「うむ。入りたまえ。」


俺は診察室に入る。そこは元居た世界とデスクとかが木製なところを除けば、ほとんど変わりない部屋だった。女の子は踵を返して受付へと戻っていく。彼女の仕事は病状ごとに診察室に振り分けることみたいだ。


「うむ。モンスターの毒気にやられたといっていたが、記憶はどれほど残っているのかね。」


「そうですねー。名前とかは憶えているんですけど、一般常識とか生まれとかはてんでだめですね。」


俺は嘘八百を並び立てる。この段階で異世界転移したことを言うのはリスクがあるように感じたからだ。



「うむ。そのモンスターがどんなモンスターだったかは覚えているかね?」


「たしかドラゴンだったような気が・・・。気づいたときには石龍で寝ていましたね。」


「うむ。石龍か。となると毒竜の毒かもしれんな。なるほど。これは困ったな。」


「困った?」


「そんじょそこらのモンスターだと毒素を抽出してその解毒剤を精製できていたりもするんだが、毒竜は倒すのも難しい存在。しかも石龍にしか生息しておらず、そこまで研究が進んでないんじゃ。

 ありていに言えば、解決策がない。」


「はーそうですか。」


俺は落胆したそぶりを見せるが、実際は逆である。この毒竜の毒素で記憶がなくなったという嘘はこれからも通用するということを医者が認めたのだから!!


「なんか解毒魔法とかでなんとかならないんですか。」


「うむ。面白いことをいう。いや毒素のせいで常識が欠如しているのか。

 いいか。この世に治癒魔法とか解毒魔法とかあるわけがないじゃろ。魔素を使って火を起こしても、病気を治せるわけではない。だから病気になったりケガをしたときのために病院があるんじゃないか。」




ま、ま、まじでか。じゃあこの世界で大けがを負ったりしたら死につながるってこと!?

なんで神様は異世界転移させてくれたくせにこんなところはリアル路線で世界作ってんだよ。



「まあ一応他に毒の影響がないか調べよう。記憶喪失については要観察しかない。では胸を開けてくれ。」


おれは医者が言うままに普通の内科検診を受けることになったのである。

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