世界消滅は突然に
処女作で初投稿。生暖かい目で応援してくれればこれ幸いです。
はぁぁ
ラッシュ時間帯なのに流れ行く景色をのんびり眺めながらため息を吐けるのは、俺が乗っているのが郊外へと向かう下り列車だからだ。
陰鬱な1週間が始まる。
1日の半分以上が会社に縛られる毎日。やりがいのない仕事。うざい客、上司、同僚・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんな日々があと40年間も続く事実。
勤務態度は良好で遅刻も欠席もないが、勤労意欲なんてものは入社したてのころの研修期間を終えてから涌き出たことはない。
電車から川が見えた。
通称「馬入川」。源頼朝がこの川に落ちたとかなんとからしい由緒ある川だが、俺にとっては憎しみの対象に他ならない。
あの川を渡れば会社の最寄り駅だからだ。
電車が橋を渡る。
俺は毎度のように、馬入川の河口に向かってつぶやく。
こんな世界ぶっ壊れねえかな
勿論こんな願いは今まで一度たりとも叶えられたことはない。
神様とは非情なもので、そして現実主義者だ。
そんなことを考えているといつのまにか電車は橋を渡り切り駅に着いてしまっていた。
自動扉が無情にも開く。こちらの悩みも知らないで。
今日も今日とて苦痛の日々が始まってしまう。
現実に立ち向かう覚悟をしきれないまま、ホームへと一歩を降りようとした。
右足がホームを捉えられずに、前のめりに落ちる。
落下しないために何かにつかまろうとするが、掴めるものは何もない。
周りを見渡すと、それまであったホームも電車も全てが奈落に落ちていく。
仰向けの態勢からなんとか空を仰ごうと首を思い切り捻る。
目に映るのは割れる空。パソコンが液晶漏れしたような見た目だ。わが目を疑う。
ははっいいじゃないか。仕事行く前に世界が滅びるなんてラッキーだ。
この日、神様は願いを叶えたのだ。






