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幼馴染達と行く異世界生活  作者: 篠宮ソラ
異世界転生編
7/44

フェイスの力

「待てよ、マジか!?こいつが愛紗だって言うのか!?」


「ええ、私のフェイスで得た答えよ。間違いなんてないに決まってるじゃない。」


「フェイス?え、何お前使えたの!?俺が聞いた時には使えないみたいなこと言ってたじゃん!」


「私は質問に答えなかっただけで使えないとは言ってないわよ。」


確かにあの時はノーコメントとしか言ってなかったな、こいつ。うわ〜腹立つわ〜


「けどなあ、俺は信じられないぞ。こいつが愛紗だってことに。」


「まだくだらないネガティヴ思考に囚われてるの?いい加減に前を向きなさいよ!」


責めるような言葉に俺は顔を逸らさなかった。確かに未だ信じられないが今回ばかりは絶対的な理由が存在する!


「いや違う、未来。いいかよく聞け。俺が愛紗だって認められない理由はな……」


「……理由は何?」


非常に真面目な顔をして自身を孕んだその言葉に未来は話の先を促す。俺は誤解を生まないように言葉を選びながら自身の中で得た確信を彼女に打ち明けた。


「……無いんだよ。」


「えっと……何が?」


「だから胸がないんだよ!前世の愛紗は美乳の持ち主だったのにそれが受け継がれてないのはおかしいだろぉぉぉぉぉぉぉ!!」


そうだ!気弱な委員長みたいな風貌をしていたくせに男達の夢が詰まったあの双丘が失われているのだ!この真実からこいつは愛紗じゃない!


彼女もその言葉を真正面から受け取ったらしく、可愛らしく頷くと


「……………やっぱり去勢した方がいいかもね。」


さらっと世の男どもを恐れさせる一言を発したのだった。



閑話休題



「話を戻すわよ?友哉。って大丈夫?何処か痛いの?」


「強いて言うならお前に蹴られるとは思わなかった心の痛みと私の息子が潰された痛みがぁぁ…………」


苦悶の表情と大量の脂汗を垂らしながら大事な所を抑えて蹲る俺に対して容赦無く会話を進める彼女に物申したい……



「えっと……私がやったから悪いとは思ってるんだけど緊縛状態の女の子を前にして股間を抑えているとどうしてもこの状況に興奮してるとしか思えないよ?」


「誰のせいだ!全く!くっそ!息を整えなきゃ……スーハースーハー。」


やはり鼻息荒く股間に手を添えている姿はどっからどう見ても性犯罪者そのものである。


「変態……」


「ちげえっての!!」


机に寄りかかりながらも子鹿のように震える足で立つ俺に彼女から同情の視線を感じるがそんな目をするくらいならやらないで欲しい。


「ん…………ここは……?」


どうやら話の中心的人物が目を覚ましたらしい。未来はすくっと立ち上がるとベッドの下に投げ入れたナイフを再び取り出して……


「って!おい待てよ!何してんだ、未来!わざわざ首にナイフを構える必要はないだろ!それにもしかしたら愛紗なんだろ!?なら!!


「何って暴れられても困るし、騒がれても困るから一応の保険よ。友哉の気持ちは分からなくもないけど少し我慢して。」


首に添えたナイフを少し皮膚に食い込ませ、僅かに血が滲むのを眺めている未来。いつも優しい彼女とはえらい違いだ。


だが愛紗かもしれないそいつは悲鳴をあげる事もなく、動じる事もなく、ただ黙って俺たち2人を見ているだけだ。


本当にこいつらは俺が知ってる2人なのか?気弱な委員長気質の愛紗にこんな胆力があったとは思えないし、未来に至っては暴力なんて使わない優しい奴の筈だ。


「大声を上げたら首を掻っ切る。妙な動きをしたら喉笛を切り裂く。今からする質問に嘘、誤魔化しがあった場合、貴方を殺す。良いわね。」


「……構わない。」


瞬間、未来の体から何かしらの力が流れ始めたのを感じた。もしかしたらこれが彼女の言っていた魔法なのだろうか。


「まず始めに貴方の名前は?」


「ティア・リーベンサナ。」


顔色1つ変えずに言い切った彼女に未来は厳しい視線でナイフを握る手に力を込める。彼女もそれに気づいたのか、視線を床に落とすと顔を上げて言葉を紡いだ。



「そしてもう一つの名はーー恋水愛紗。」



それは全てに恋し、全てに愛されたかった俺たちの家族の1人の名であったーーー



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「で、名前は名乗ったわ。早く下ろしてもらえる?」


「うん、良いよ。って言うわけないでしょ。未来の貴方は窓から逃げようとしてるんだけど?」


「何言ってるの?ここは二階よ。逃げられる訳ないわ。」


「嘘つけ。お前はパルクールとかやってるからよ、この高さくらいなら余裕で逃げられるだろうが。」


「誰?貴方。私の秘密だった事を知ってるなら、家族の誰かだとは思うけど……力じゃあないわね。かと言って正義が料理出来たとは聞いた事ないし、つまり貴方の纏うチャラい雰囲気から友哉かしら?」


「チャラいって何!?今の俺は銀髪赤眼の美少年ですけど!?チャラさなんていっさい滲み出てねえよ!」


「近寄らないでもらえる?童帝君。」


「てめえみたいなビッ……おい待てコラ!今、字が違っただろ!!誰が童貞を極めた帝王だ!!」


「2人とも会えて嬉しいのは分かるけどもうちょっと声下げて。バレたりしたら大変でしょ?」


普通は前世からの仲間との再会ならばもうちょっと感動的なものになる筈だが出会って早々、悪口の応酬である。良いのか、それで?


「つか、お前口調どうした。何時もは生真面目に敬語口調なのによ。」


「これは仕事用よ。何か文句でもあるの?」


「嫌、ねえけど違和感がするからよ。」


「でも今、ここにいるのは私達なんだから元の口調に戻しても良いんじゃない?ねえ愛紗?」


優しく言われた彼女の言葉に愛紗は瞑目すると叶わないなあと呟く。


「そもそも2人だってなんか雰囲気違うじゃないですか!それなのに私だけこんな弱そうな口調に戻ったりしたら舐められると思ったんですよ!」


サイドテールをブンブン揺らしながら、猛抗議する愛紗。対して2人は顔を見合わせるとどこらへんが?みたいな反応を彼女に返した。


「どこが?みたいな顔をしないで下さいよ!何ですか!?未来はこの数年間暗殺技術を学んだ私に競り勝つし!友哉は友哉でなんか弱そうだし!」


「おい待てや。」


「やめなさい、友哉。これ以上もめるとリミアルさんとか起きちゃうから話を聞かせてもらうわよ?」


「そうね……けど断る。」


未来の鋭い目に射抜かれた愛紗は口を開くが出てきたのは拒絶の意思。未来が再び首元にナイフを近づけようともその目は恐怖に揺れることはなかった。


「やるならやって下さいよ。だとしても私は一切口を割りませんからね。」


「……死にたいの?」


未来の体から溢れた怒気に臆することなく、愛紗は鼻で笑う。


「失礼だけど未来?貴方は選択を間違いましたよ。私が愛紗であるとバラしたらある人物は私に対して酷い事をするのを黙って見てる訳ないじゃないですか。ーーねえ、友哉?」


未来は後ろを向くと友哉を一瞥する。今の彼の目を彼女は知っている。全てを投げ打っても友を捨てないという覚悟を決めた強い目だ。


「それに前世では仲が良かったかもしれませんが、今の私と貴方達には何の接点も存在しません。というか普通に考えて身内の事を喋る馬鹿はいたりしませんよ?」


含み笑いを浮かべる彼女にアリスのこめかみに青筋がビキッと浮かぶ。しかし、危害を加えるのは友哉が牽制しているために出来ない。よって彼女がしたことは……


「え?ちょちょっと待っ、アハハハハハハハ!?待っキャハハハハハハハハハ!!!」


くすぐる事であった。縄で縛られ、天井から吊り下げられて自由がきかない愛紗の体を弄ぶ未来。その顔には嗜虐が垣間見える。というか、楽しんでいた。


これには友哉も苦笑いしながら愛紗に猿轡をして参加する。20分後には息絶え絶えの骸が出来上がっていた。


「良い加減、喋る気になった?」


「…………」


返事がない、ただの屍のようだ。


というのも困るのでまたくすぐろうとしたところ、愛紗は飛び起きた。


「何て酷い事をするんですか!この鬼!外道!」


「前世の友達を殺そうとした貴方には言われたくないわよ。」


「そんなこと知りませんよ!未来のときだって私の名前を言おうとしなきゃ気づかなかったですもん!」


「あんま大きな声で喋んな。もっかい猿轡してくすぐるぞ?」


途端に口を噤んで黙る彼女を見る限り、この脅しは確実に彼女の心をへし折ったらしい。未来はそんなやりとりをクスクス笑いながら見ている。


「まあ貴方の荷物からだいたいは判明したから今更誰を狙っているかとかは良いわ。それよりも何でこの依頼を受けたのか。私達はそれが知りたいのよ。」


彼女は無造作にナイフを横に振る。すると愛紗の体重を支えていた縄が切れ、彼女を解放した。


「どういう心変わりですか?」


不審に思う彼女の気持ちも分からなくもない。先程までは全て話さないと殺すみたいな脅しを受けていたのに今更、逃がそうとする意味が理解できないからだ。


「見えたからよ。今の貴方は急いで逃げる意味がなくなった。何故なら暗殺対象がバレている以上は今ここで殺さない限り、駄目なはず。けど愛紗は友哉を……いえ、私達を殺すことは出来ないわ。貴方の信念に逆らうことになるものね。」


「なるほど、手合わせした時に動き全てが読まれている気がしたのは気のせいではなかったんですね。確かに未来の信念にそった力なら私の動作など先読みされて当然ですね。」


「いや、お前らだけで話を進めないでくれよ。さっきから妙に俺の陰が薄い気がするんだが?」


はっ!と今更ようやく気づいたみたいな顔をする2人にいじけ出す友哉。未来はそんな彼を何とか宥めすかし、愛紗はその間に体を拘束していた縄を体に仕込んでいた刃物で切る。


「良い機会だし、説明しようかしら。愛紗、私のフェイスも話すから貴方のフェイスも話しなさい。」


「フェイス?ああ生まれ持った力のことですか?まあ仕方ないですね。」


やれやれと言わんばかりに首を振る愛紗はようやく立ち直った友哉と未来に向けて話し始めたのだった。



〜友哉〜



「私のフェイスーー信念は''全てに愛されること"ですよ。意味わかります?」


「いやさっぱり。」


「ごめんね?愛紗。あんまり友哉に詳しく説明してないの。だからまずは最初から説明してあげて?」


その言葉に蔑むような目で俺を見た後、はあとため息ひとつつきながら、ベッドに座り込んで講義を始めた。


「仕方ないですね。まずこのフェイスは私達、転生者が生まれ持った能力だと私は推測します。現に私以外に使える人は未来しか会ったことないです。」


「多分他のみんなも何かの力を持ってると思うよ。少なくとも生前貫いた自身の信念に近い能力を。」


だとすると愛を信じた愛紗と未来を信じた未来にはそんな能力が宿っていると……あ!そういや未来はなんやかんやで俺のうごきを先読みしてたなそういや!


「神様の悪戯か何かは知りませんが幸いこれを上手く使えば何とか上手く生きることが可能です!此処まではオッケーですか?」


「おお何とか。」


「なら続けますね。私のフェイスはいわば信念の具現化。能力として昇華されたものです。


その真髄は''同性異性関わらず、私に対して愛しい気持ちを抱かせること"


大抵普通の人は愛する人のためにならどんなことだってやります。私が暗殺者になったのも私を拾ってくれた人がこの力に目をつけたからです。」


確かにそうだ。いわばこれは強制的な洗脳能力。上手く使えば組織を内部から破壊することも可能だし、対象に怪しまれずに近づける、いやむしろあちら側から近づいてくるだろう。


「だけどその力、俺たちには聞いてる気がしねぇんだけど?」


「それは友哉と未来が既に私に愛しい気持ちを抱いてるからですよ。」


「え?いや俺、お前なんか異性として好きじゃないんだけど?」


「こっちだって貴方みたいな万年発情期みたいな男に好きとか言われたくないですよ。」


「いくら俺でも流石にキレるぞこの野郎。」


「まあ要は私に対して家族愛、または友愛みたいな気持ちを抱いている以上は私のフェイスに惑わされないって事ですよ。未来なんて発動しても容赦なく殴りましたからね。」


顔を向けた俺から逃げるように顔を背けた彼女に微妙に責める視線を浴びせた後、俺は寄りかかっていた机の上に飛び乗る。


「敵にはまわしたくない力だな、それ。」


「本当だね。」


「私は話し終わりましたよ。此処までは聞いといて2人ともやっぱり辞めたはなしですよ。」


ハリーハリーとジェスチャーする愛紗には悪いが自分の信念すら思い出せない俺には無理な話だ。


ちらりと俺の横の椅子に座っていた彼女に目で助けを求めると未来は仕方ないなあとばかりに語り始めてくれた。


「私のフェイスーー信念は''幸せな未来を掴む''よ。力の詳細はそのまんまの未来視。相手の未来を長くて3日。短くて1秒先を見ることが出来るわ。」


「ん?なら最初に俺が会った時にはどうやって知ったんだ?俺とお前には接点なんてなかっただろ?」


未来の言う通り、彼女が未来視を発動するには対象の相手を見なきゃならないが始めて会った時にこいつは俺が店に居候する奴だと知っていやがった。


「うん?別に簡単なことだよ?リミアルさんの未来を見たら銀髪の少年と料理について熱い論争を繰り広げているのが見えたから。あとは港に迎えに行く時にその時の少年に似た人物を探せば良いだけだもの。」


へぇ〜そんなことがあったのか……って待てや!


「じゃあお前は俺がリミアルさんにボコボコにされるのも分かってたってのかよ!!何で止めなかったんだ!?」


「だって〜友哉は昔から言っても辞めないじゃない。だから今回も言っても無駄かなあって。」


うぐぐ……確かにそうだけどよ。もう少し頑張っても良かっただろうが!!おかげで俺は酷い目に……


「なるほどね、なら私の攻撃を避け切ったことに筋は通りますね。それに私が友哉を殺しにくることもお客としてきた私を未来視で見れば良いだけですから」


「あ、バレた?いやね、私が友哉を見た時に女の子が友哉の首を掻っ切ってるのが見えたから先に手を打っておこうと思ってね。」


……ああそうか。未来が信念を思い出させるのを急かした理由がやっと分かった気がする。


俺が死ぬという未来を見たからそれを防ごうと奔走してくれた。


その自衛の手段として俺の中の信念を思い出せと。


未来はずっと俺を守ろうとしてくれたんだ。彼女が生きる上で支えにしている幸せな未来を掴むために。


いつまでたってもうじうじしてたこんな俺を見捨てずにーーッ!!


(何やってたんだよ、俺は!本当に自分の馬鹿さ加減に反吐がでる!あいつらに守られるんじゃなくて!俺が守らなきゃいけない……そうだ、そうだよ!確か俺昔もそう思ったんだ!)



ーー友の■■を守るために!!



「友哉?どうかしたの?顔色が悪いよ?」


「気持ち悪くでもなりましたか?貴方の顔みたいに。」


「心配ありがとう、未来。そしてさらっと毒吐くな、愛紗。」


後もう少し、もう少しで思い出せる。俺が頑張って生きようとした原点を。そうすれば俺にもフェイスが目覚めるはずーーッ!!


「じゃあさっき話した通りに友哉はまだフェイスに目覚めてないから聞いても無駄だよ?愛紗から何か他に聞きたいことある?」


どうやら俺が1人葛藤している間に話は進んでいたらしい。愛紗はそうね、とつぶやきながら顎に手を添えて考える。


「そういえば……私達を殺した相手の顔って見た?2人とも。」


彼女が聞きたかったこととはやはり前世での最後。そりゃそうだ。落ち着いて考えれば不審な点がいくつも存在するからな。


「生憎だが俺も未来も顔は見てない。愛紗は見たのか?その、俺たちを殺したやつを。」


「見てたら聞きませんよ。なら心当たりはないんですか?私よりも友哉の方がそういうのありますよね。」


……確かに前世じゃあまあ色々やらかしてたからな。恨まれることなんて数え切れねえくらいやったし。


「悪いけどよ、そもそもその前に俺は前世のダチには家の場所なんて教えてないんだぞ?それにあの日、俺は鍵を閉めてた筈なのに襲撃者は何事もなく扉から入って来た。つまりは俺たちしか持ってない鍵を使わないと無理な筈だ。」


だからあの時扉が開いたのは未来が帰って来たからだと思ってたんだが。


「確かに鍵を変えようにも(キム)が管理してたマンションは最新の防犯機能が付いてたものね。ピッキングなんて不可能とか金は豪語してたし。」


「なら合鍵を作るとか……?」


「待てよ、愛紗!つまりそれは俺たちの誰かがそいつに鍵を渡したってことか!?」


「熱くならないで、友哉。愛紗は冷静に可能性があるものを推測してるだけよ。本当にそんなことを私達がやる訳がないわ。」


肩に手を置き、ヒートアップした俺を落ち着かせる。


「ともかく私達の中にあの殺人鬼を手引きした奴がいるかも知れないですし、もし他の人達に会ったら一応聞いて見ないといけませんね。」


彼女は手をパンと合わせてこの話の終了を示唆すると窓のヘリに足をかけて……っておいぃぃぃぃぃィ!!


「まて!逃げようとすんな!おい!未来、手伝え!あいつを止めるぞ!!」


こんなところで逃したら俺もやばいし、未来もヤバい。つかこの店自体がやばい!


「え、もういいよ。だって無駄でしょ?」


「お前は何言ってんのおぉぉぉ!!」


ああ!そんなことやってる間に愛紗が窓から飛び降りやがった!くそ!逃すかよ!!


「いやだってさ、時刻はもう朝だし、この時間だと多分ーー」


もう彼女の言葉など耳には入らずに急いで窓から身を乗り出して彼女の姿を目で追う。彼女は地面を前転して衝撃を身体全体で和らげるとそのまま走り出した。


「イスランさんが朝の日課のランニングをしてると思うから。」


「待て、お前は一体だれだ!食い逃げ犯か!待ちやがれぇぇぇぇぇ!!」


「ふぇ!?うわ来るな!なんだあの筋肉女!私の早さについて来てるぅぅぅ!!」


なんとも間抜けな声と共に鍛え上げたであろう脚を使って振り切ろうとする愛紗と変な誤解をしているイスランさんの鬼ごっこが始まった。


「……先に言えよ。未来。」


「うん、ごめん。……私達も下に下りようか。」


「……だな。なんか気、抜けた。」


俺たちが着替えて下に降りる頃にはほっぺをさらに腫らしてジャ◯おじさんと化した愛紗が正座姿でリミアルさんの前に座っているのを見て吹き出したのは言うまでもない。

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