異世界転生……したくなかった
とりあえず暫くはこんな感じで投下していきます。
ここはどこだ……?
俺はどう……なったんだ……?
目を覚ました俺が見たのは最後に意識を失ったはずの孤児院の天井ではなかった。何やら白い世界だ……違うな真っ白の布がかけられているのか?
(どうなってる?……ここは病院なのか?)
未だ寝起きで覚めない脳を何とか回しながらも辺りの様子を伺う。だがーー
「ーーなんだこれ。」
体の自由がきかない。
「邪魔だな。」
清潔なシーツや体の自由がきかないことから病院で治療されたのでは?と考えた俺はともかくシーツを退かそうと動かない体で暴れだす。
しばらく暴れると布がずれて天井が見えた。
「病院じゃない?」
見えたのは清潔そうな壁ではなく、木造と石でできた壁や天井。それらを見ながらここは何処だと考えているとーー
「ーー失礼します。ーー」
ドアが開いて何か聞こえたな。誰だか知らないが事情を聞くとしよう。
「すみませんがここはいったい何処ですか?」
ガシャン!
何か落としたか?白い布がまだ半分かかっているため声の聞こえた方が見えないが、何やら慌ててるみたいだ。
「ーー…嘘、だ、旦那様!!?ーー」
どうやらこの家の者らしい。なら慌てるのも理解できるな。
しばらく待っているとドタバタと激しい足音が鳴り響き、ばっと白い布が捲られた。
銀髪の筋肉質な男性とメイド服?を着た女性に支えられている緋眼の女性。彼らは何が何だかわからない俺の顔を穴が開くほど見つめる。
「助けてくださってありがとうございます。」
とりあえず礼を言ったつもりだったのだが、驚愕に目を見開いた後、すぐに目に涙を溜め初めて、さっきの女性に抱きついてしまった。
「ああ、息を吹き返したのね!エレナ!早くお医者さんを呼びなさい!」
息を吹き返した……?どういうことだ?俺、は死んでたのか?もしくは脳死状態?危ねぇ。意識を取り戻して良かったぜ。
「良かった、本当に良かったッ!!」
そんなに見ず知らずの俺のために泣いてくれるのか。銀髪の男は感極まったように俺を抱えてーー抱えて!?
ちょっと待て!こう見えても体重60キロくらいはあるのにそんな軽々と持ち上げられるもんか!?
高くなった視界から見回してみるとやけに手足が短い。声もやけに甲高いし、口が回らない。ってことはさっきから言葉が通じてない?
そして窓ガラスらしきものに反射した自分の姿を見て悟る。体が縮んでいることに。いや、それも正確じゃない。
ーー体が赤ん坊になっていた。
「嘘だろ。おい」
衝撃の事実に目を疑う俺に彼らは不思議そうな顔をするのだった。
〜3年後〜
どうやら俺は生まれ変わったらしい。いや、正義がよく言っていた転生というものに近いか?
この3年間、何故か言語は最初から理解できたために様々なところへとはいはいで歩き回り、情報を得た。おかげで俺から目を離していた何人かのメイド達のクビが飛びかけたりしたが。
ともかく、前世で正義に付き合わされて転生物を読まされていた俺はそんなことがあり得るはずがないと一蹴していたが今回ばかりは正義の方が正しかったようだな。
現在、俺は3歳ながら与えられた自室にて武器や生まれた家の家訓などを読んでいる。これ幸いと言ったところか、どうやらこの世界の言語を聞くだけではなく、読み、書くことも出来るみたいだ。
おかげで専属メイドのエレナさんに書庫から小難しい本を持って来てもらってはひたすら読み尽くしていた。
しかし、エレナさんは毎回毎回何も言わずに持って来てくれるが一体どんな心境だろう?3歳ながら「剣の歴史」などや「地理」などを読むこどもを気味悪がったりはしないのか?
話を戻そう。まず始めに、俺が転生したこの体の本来の持ち主は死んで生まれたらしい。まあ中世のようなこの世界では栄養失調や環境の変化により、生まれる前に死ぬことが多々あるとか。
最も大抵は『世界樹』と呼ばれる迷宮の大樹がある大陸に住む者達などの劣悪な環境下のもとでだが。
そして第2にこの世界はオーソドックスな剣と魔法の世界である。
この世界の住人は主に2つに分かれていた。
闘術を極めた闘人と魔術を修めた魔人だ。
闘人とは長い年月をかけて積み重ねて来た武の研鑽を1つの技として鍛え上げた『闘法』を扱うもの。
対して魔人は血筋を組み合わせて魔術の真髄の研究から生まれた数々の『魔法』を駆使するもの。
そして俺はそんな武人達が住む大陸ーー武人大陸の騎士国に住む家系ーー『騎士王』に生まれた。
騎士王と言えば前世ではアーサー王などが有名だ。まさか自分が王子になるとは……
もちろん魔人達は別の大陸に住んでいるのだが、やはり武人を代表する家系だからか、魔人関係の本が一切存在しない。
俺の父親、現4代目騎士王に質問をしたことがある。
「お父様。魔人達は一体どんな人達なんですか?」
その時の俺は2歳。だが父親は明らかに2歳の実子に対して向けるべきではない目でこちらを見たのだ。その時の俺はただ黙って謝るしかなかった。
「魔人どもは極悪卑劣な奴等でな。2度興味など持つな。分かったか?」
最後に吐き捨てるように言われた言葉からもう2度と父親に魔人について触れることはなかった。後に知ったが2つの大陸はお互いにお互いを滅ぼそうとしているらしく、初代騎士王の時から父の時代まで多数の死者を出し続けながら戦争を続けていたとのこと。今、現在は冷戦状態に陥ってるみたいだが。
昔からいがみ合いはあったらしいが、此処まで酷くなったのは初代騎士王の時代にいた『神剣』と呼ばれるほどの闘人が原因と本には書かれているのだがそれ以上は何も書かれてはいないのだ。
俺は読んでいた本をしまい、椅子を引っ張り出す。それを窓まで持って来て全部開かないようになっている窓を半分開けた。
広がるのは透き通るような青空と訓練をしている騎士達。ここは闘人大陸にある国の1つ騎士国『シュヴァリーエ』。今まさに俺の父親の指揮のもと剣を振るっている。
それを眺めながら思うのは一糸乱れぬ隊列運動への感服の気持ちではなく、前世のこと。
「異世界に行ったらハーレムをつくるんだ!」と豪語していた正義の話を真に受けるなら、俺は死んだことで転生したということになる。すなわちーー
「返せよっ……俺の親友達を!!かえせぇぇぇぇ!!」
あの日、あの時、あの場所で仲間達が死んだ事実に耐え切れずに漏れた嗚咽交じりの号哭は騎士達の号令にかき消され彼の悲しみを知るものはいなかった。
ルイス・アミティーエ、本名ー京江友哉。12年前に起きた爆発事故により、両親を失った。
親戚中をたらい回しにされた挙句にやって来たのは孤児院『belive』。その時の彼はまだ小学校に入学したばかりであった。幸い遺産管理はちゃんと親戚が行ってくれたらしく、高校を卒業するまでは何の問題もなかった。ーー費用面においては。
元々、彼はあまり話すのが得意ではない。両親がいた頃も仕事の都合で転勤が多く、友達と胸を張って呼べる存在は誰1人としていなかった。それに加えて事故によるショックな事実が重なり合った結果、彼は余計に1人を好むようになっていた。
それは学校でも変わらず、いつもただ1人で椅子に座り、ぼや〜っと窓を見たり、廊下を走り回ったりする同い年の仲間を眺める生活だった。
(いいな……僕も友達が欲しい……)
いつだって彼はそう望んでいたが現実はそう甘くはない。彼は体は細く、あまり外に出たがらないために肌も白かった。そのせいかよく他の子供達の遊びとしてからかわれていた。
「お前さあ、パパとママいないんだって?何で何で!?」
「お前が気持ち悪すぎておいてかれたの?ねぇ教えてよお。」
子供というのは純粋で無邪気で……残酷で周りと違う彼は周りの普通とは馴染めずにいつしか虐められて孤立するようになっていった。
先生も子供達に注意するのだが、この年頃がまともに話などを聞くわけもなく、彼にとって味方であると信頼できる人はおらず、毎日1人で登校し、毎日1人で帰宅する。そんな学校生活を送っていた。
孤児院の人達に話を聞いて貰おうとするが面倒を見なきゃいけないのは彼だけではない。その上、彼の年齢は1番うえで下の子供達を優先することの方が多かった。
次第に自分だけがこの世界で1人なんじゃないかと考え始めるようになり、より暗く、さらに虐められて、また暗くなるという悪循環にはまることになる。
しかし、そんな彼にようやく転機が訪れた。
「なあなあ!今日からお前は僕の友達な!」
「えへへ、今日からよろしくお願いします。」
夏休み前に孤児院にやって来たのは2人の男女。名は夢叶と未来、後の彼の相棒と初恋の人である。
「おいおい!1人でいてなんか楽しいのか!?」
「え?ちょっと腕なんか掴んでどこ行くの?」
「何、いってんだ!決まってんだろ!外の遊びを教えてやるよ!」
夏休みに入ってから彼は夢叶に連れられて様々な遊びを行った。公園で遊んでいた別の学校の生徒に交じり、鬼ごっこやサッカーをしたり、森の中に入ってはセミ捕りをしたり、ある時は学校のプールに泳ぎに行ったりと退屈させない日常を過ごした。
「違う違う!ここはこれを使ってこう!」
身体中泥んこで帰って来ては未来と本を読んだり、一緒に夏休みの宿題をやった。彼女は以外にも頭が良く、非常に分かりやすく丁寧に教えてくれるのだ。……そしていつも優しく気を配る彼女にいつからか彼は恋心を抱き始める。
「そんでよ!今日は友哉がでっけートンボ見つけてな!なのにこいつ逃がしちまったんだぜ、勿体無くない?あれさえあれば絶対ぎねす?ってのに名前を残せたよ!」
「へぇ〜そうなんだ。友哉は優しいね。偉い偉い。」
「頭を撫でるのはよしてくれよ。……恥ずかしい」
「ぶははは!照れてる照れてる〜!!顔真っ赤っ赤!!」
「馬鹿にすんな!理夢!お前なんてその後、木を蹴ったら掌サイズの蜘蛛が顔に落ちて大泣きしてたじゃんか!」
「言うんじゃねぇぇよぉぉぉぉ!!!!」
ご飯の時間の時になっても彼らは一緒だった。楽しい話で笑い転げて、風呂に入って悪ふざけ。そのあとは寝付くまで色々な話をして、布団の中で明日は何をしようかと考える。
気づけば彼は独りではなくなっていた。
そして夏休みが明けて学校が始まってからも同じクラスに転校して来た夢叶と未来の3人で過ごしていた。未来はクラスにすっかり馴染み、人気者とかしていた。
「やーい。置き去り〜!悔しかったらかかってこいよ!」
「泣き虫野郎がまた泣くぞ!パパ〜ママ〜どこ〜?」
だけど環境全てが変わることもなく、夏休みに入る前と変わらず、からかいの言葉が投げかけられる。彼らは冗談半分なのかも知れないがやられてる本人達からしてみれば溜まったものではない。
「おいやめろ!それ以上馬鹿にすんなよ!」
「そうだよ。貴方達は、私達の立場で考えたことがあるの?」
「何言ってんだ、バーカ。お前らも捨てられたんでしょ?母さん言ってたぜ、関わってはいけない奴らとか何とか?やっぱりお前らって駄目なんじゃん。」
しかし、変わったものもある。それは彼を守ってくれる存在。心から信頼し、信じられる友達。そしてーー
「ーーやめろよ」
「はっ?今なんて……イッテェ!?!!」
「僕の友達を馬鹿にすんのをやめろって言ったんだよ!」
友に支えられ、自分を信じられるようになり、自信を持てるようになった自分!
「いいね!友哉!僕も混ぜろよ!!」
始まったのは殴り合いの大喧嘩。授業の先生達が来るまでそれは続き、最後は血と涙と鼻水で汚れた相手と同じく鼻血を垂らしながらも見たことない顔で笑う孤児2人の姿であった。
その後は職員室に相手側の親が呼び出されると自身の子供がした発言を棚に上げて怪我した事実を散々追求するも職員室に同じクラスメイトが雪崩れ込んだ。
先導者は未来であり、彼女はクラスメイトの皆んなに彼らを救おうと涙ながらに訴えたらしい。彼らはその涙のために行動し、相手側の親に対してその子供が数々の暴言を吐いて来たことを説明し始めた。
塵も積もれば山となる。更に場所は職員室。つまりは他の先生方も聞いている中で大声で暴露るのだ。劣勢に気づいた時は既に遅く、周りから先生達の視線などに耐え切れなくなった保護者は逃げるように帰っていった。
無論、虐めてた相手はしばらくの間、誰からも話しかけてもらえずクラス替えを待つことになる。
「やればできるじゃないか!友哉!見直した!」
「そんなことないよ。……ただ僕を庇ってくれた2人まで馬鹿にされるのはなんか悔しくて……」
「でもこれは大きな進歩だよ。友哉?貴方は今まで怖がって動けなかった。けどさっき貴方は大切な誰かの為に動くことが出来た。それって凄いことよ?」
「良く分かんねーな。なんかたまに未来って難しいこと言うよなぁ?」
「なら簡単に。ーー友達の為に動けるのって凄くかっこいいと思うよ、友哉!」
「だ、だから頭撫でないでってば!恥ずかしいよ!」
「何を言う!私が撫でたいから撫でるの!」
優しく撫でる未来に照れる友哉、笑いっぱなしの理夢。この出来事が彼にとっての始まりなのだ。
ーー友の□□を□□ために
それを信じて彼は今まで生きて来た。それはおそらくこれからも。それを揺るぎない信念として人生を歩むはずだった……だった筈なのに。
「何でだ……何でだよ!俺が一体何をしたんだよ!俺はっ!俺は……唯あいつらと一緒に居たかっただけなのに……!どうしてこんな目に合わなきゃいけないんだよ!!」
彼は今1人だ。側にいたはずの親友達はもう側にはいない。
本当の彼を理解できる者など存在しない。
あの日からいつの間にか独りで泣く夜は無くなった筈なのに。
守るべきだった存在は彼の隣から消え失せて気づけば彼はまたたった1人取り残されたのだ。
「ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
彼は一人ぼっちの世界で泣いた。
〜2年後〜
「違う!そうじゃない!何度言えば理解するんだ!騎士王の闘技を引き継ぐ為には先ず5つの型を覚えなくては始まらないのだぞ!」
あの日から既に5年の歳月が流れた。今現在、俺は騎士団の訓練所の地面に仰向けになって空を見上げいる。何か父親が叫んでいる気がしないでもないが理解できない。……違うな理解しようとしてないだけか。
「立て!それでもお前は騎士王の名を継ぐものか!いつ迄地べたを這いまわるつもりなんだ!」
俺は5歳になった。どうやら騎士王の家訓では5歳から剣術を叩き込まれるらしい。全く持って傍迷惑だ。
そもそも俺は前世で喧嘩するときは大体徒手空拳だぜ?それがいきなり剣を持たされて始めてから半年で全ての型を覚えろとか無理ゲーだろ。
それに守るべき奴らがいないのにこれ以上強くなったところで何になるってんだ?
「もういい!せっかくこちらも忙しい時間の合間を縫って来てやっているというのにやる気がないんじゃ話にならん!おいラスタ!もっと厳しくしろ!こいつが全ての型をマスターするまで休ませたりするなよ!」
虐待じゃねぇか。まあやる気がないって呆れられても仕方ねぇか。このまま過酷な訓練を続ければ俺は死ねるかなぁ。そしたらあいつらに会えるかなあ。いや駄目だ。それじゃあいつらに笑われる。
「ルイス様、お立ちください。お父様はああおっしゃいましたが普通は半年でマスター出来ませんから。自分だってマスターするのに三年は掛かりました。」
こいつは騎士王の弟子の1人で名をラスタ。親父が率いる六騎士団の団長だ。その名にふさわしい実力を持ち、人格も穏やかとまさに完璧である。
「……正直に聞いてもいいですか?ラスタ様。このままやって俺は全ての型をマスター出来ますかね?」
体を起こした俺の言葉にラスタさんは構えた剣を下ろして、切っ先を地面に突き刺す。そして柔和そうな顔を一変させて真面目な顔つきになった。
「間違いなくこのままやっても君は上達しない。何故だか分かるよね?」
それは何となく自分だって分かっている。
「……何のために剣を振るか。それが定まっていないから……ですか?」
「自己分析は出来てるみたいだね。なら話は早い。たかがそんなもの?と決して馬鹿にしないだけまだマシさ。本当に上達しない奴らはいつだってそこを疎かにする。」
「君の振る剣にはそれが感じられない。だからこそやる気が見られないと判断されてもおかしくないんだ。」
「目指すものがあるから頑張れる。届かない場所だからこそそこに行きたくなる。だからこそ自分が剣を振るう目的がいるんだ。それが絶対に揺るがない剣閃を生み出す。」
「確かにそうですね。夢に向かって頑張る人はたくさんいますものね。」
「それに騎士王の闘法 『切断』も強い意志が必要なんだ。何故だか分かるかい?」
「……騎士王の剣には斬れないものがない。全てを斬り伏せる、その決意の証が剣に伝わり、闘法を生み出すから……ですよね?」
「そういうこと。」
彼の話を引き継いだ俺の言葉に満足そうに頷くラスタさん。彼は腕を組み、こちらを真っ直ぐに見据える。
「最初は何だっていいんですよ。女の子にモテたいでも強くなりたいでも家を継ぐためでも。そんな小さなものから一歩ずつ進めば良いんです。気づけば仮の目標が貴方にとって1番大事な理由に変わりますから。」
「そういうもんですかね。……分かりました。善処します。」
「なら続きを始めようか?少なくとも型の1つくらいはあやふやでも覚えてもらうよ!」
ひと通り話し終わるとほぼ同時に地面から剣を引っこ抜き、前に踏み込む勢いそのまま横払う。剣の腹でそれを受け止めて同じ向きに自分から吹き飛ぶ。顔はいつも通りに戻ったが威力だけはいつもの訓練の比ではない!
「こ、殺す気かよ!」
「大丈夫、死なない程度に加減はするけど、早くどれかマスターしないと手元が狂っちゃうかも?」
「無茶苦茶だな!ちきしょう!」
迎撃のために剣を構えて相手の出方を見る。
確かに友を失って5年の月日が流れた。けどこの空虚感は未だに消えない。まるで胸に穴が開いたようで塞ぐ手段も思い当たらない。
ラスタさんに見透かされたのもその部分だろう。確かに友を第1として生きてきた俺にとって彼らを失ったのは生きる意味がなくなったのとほぼ同じだ。
この世界で新しく友を作ったとしてもそいつらは本当の俺を理解してくれるはずがない。理解出来る筈がない。
言葉通り見てきた世界が違う。生きてきた世界が違うんだから。
今の俺に出来るのは俺を置いて死んじまったあいつらの分も生きることだけだから……