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私は、永久保存版。  作者: 壱村梨花
1話 幽霊
4/11

4・私と悪魔と交渉と。

 「キミ、そんなに生き返り(****)たいのかい?」

「えっ?!」


 急に後ろから声がした。

 びっくりして()り返る。そこには_____。

「誰?」

「オレ?」

 そこには、変なやつがいた。ホントに変なやつだ。普通(ふつう)不審者(ふしんしゃ)だ。私は、まじまじとそいつを見つめた。


 そいつは、ところどころ(やぶ)けた薄い灰色の服に濃い紫のズボンをはいている。(とし)は、私と同じくらい。顔は、血の気がうせているように青白い。赤くキツそうな(ひとみ」)に、釣り目。口はなんというか、さけている。

 そして、かなり浮いている。いろんな意味で。

 おまけに・・・・・・。


 背中に漆黒(しっこく)(つばさ)が付いているではないか。

 これが、決定的な証拠(しょうこ)だ。


 「オレは、マイブ ジン。二級(・・)悪魔だ」

「・・・二級(・・)?」


 こいつは、悪魔だった。

 しかも、まさかの”二級(・・)”!なんなの、二級(・・)て。悪魔に階級(かいきゅう)てあんの?


 「・・・ジンさんですか」

「”ジンさま”と()べ」

「はあ」


 えらく、(えら)そうなやつだと私は思った。


 いや、()てよ、こいつなら・・・。

 どうやら私は、とんでもないことを思いついてしまったみたいだ。


 二級悪魔、ジンは言う。


 「地獄(じごく)に来ないかい?」


 真っ赤な()を見開いて、私に話し続ける。

「お前みたいな、未練(みれん)たっぷりの”生き返りたい(******)”という願望を持っているものは、とても価値(かち)があるんだ」

悪魔は、不敵に微笑(ほほえ)む。黒い、しっぽみたいなのがクネクネと動く。喜んでいる(よう)だ。

「なんだ?()()れない未練があるのか?」


 そこで。私はジンに言う。

「ないんだけどさ。

 それより、ちょっと”取引(**)”しない?」

 「ん?」

悪魔は、キョトンとする。赤い(ひとみ)が点になる。それが、悪魔というには少し可愛いらしいそぶりだった。

「へ? なんで」

 頭をかしげる悪魔。私はもう一度()り返す。

「しようじゃない、”取引”を」

「取引ぃ? なにを」

ジンはポカーンとしてしまう。そんなジンに私は条件を差し出す。


 「私の、この(たましい)がすっぽり入るような、”肉体(からだ)”ってある?」


 あきっぱなしだった口を急いで閉じ、悪魔は答える。

「もちろん、あるぜ」

「じゃあ、その肉体をくれないかな」

私は、身を乗り出す。ジンは、戸惑(とまど)いを(かく)しきれていない。

「くれるとは思うけど・・・相当な代償(だいしょう)が・・・」

「くれるの!?」


 「手続きと、交換条件(こうかんじょうけん)契約(けいやく)すればなんとか・・・」


 ・・・(たより)りない・・・。一言で言えばそう。

 悪魔は、頭を(かか)え込んでしまった。

 これこそが、”2級(**)”の悪魔である。


 一瞬(いっしゅん)でも、可愛いと思ってしまうほどに、全然(こわ)くない悪魔。2級悪魔。

 弱そうな悪魔。非常に、頼りない悪魔。

 残念な悪魔なのでした(**********)



 「まず、閻魔様(えんまさま)にお会いしなければいけない」


 ジンは言う。

「お前、本気か? まじで生き返る(・・・・)気か?」

『うん』

「そんなにも、()()げたい未練があるのか?」

『へ?』

 未練? 何それ、おいしいの?

 私、ただ成仏(じょうぶつ)したくないだけだから。


「お、お前っ!?」

『だから、未練なんてないよ』

「お前、バカなの?」

『馬鹿です。アホです、ピンボケ幽霊ですぅー』


 あっかんべーをする私に、ジンは(うで)を組んで考える。



 『・・・・・・あれ?』


 ジンが、一瞬(いっしゅん)誰か(???)に見えたような・・・・・・。


 おかしいな・・・・・・?



 「うん?」


 ジンが私の目線に気付き、()り向いた。

「・・・・・・あ。ゴメン、言い過ぎた?それか、オレの顔に何かついてるのか?」

『あ、いや。何でもない』


 そうだよね。そんなわけがない。

 ・・・まさか、ジンがあいつ(***)に似てるなんて。


 「問題は、どうやって行くか、だ」

『どういうこと?』

私はジンに聞く。

「お前、浮幽霊だろ。浮幽霊ってもんは、非常に割れやすいカバーガラスのようなもの」

『・・・なんで、カバーガラス?』

あれですよね、学校でよく使う、プレパラートにのってるやつ? いや、違うかな。確か、カバーガラス込みでプレパラートだった気が。


「それはともかく、未練がない浮遊霊は、たとえ罪がなくても地獄に()ちる可能性が高いんだ」

『…はぁ』


それはどういう意味で?


「つまり、成仏(じょうぶつ)生き返る(い かえ )以前に永久(◯◯)(すく)われなくなってしまうんだ」

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