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自然崇拝教のシスター⑥/二つの災害




 彼女の両親は、熱心な信徒であった。

 穏やかに、そして深い信仰心のもとに育てられた彼女は、当然のように神を愛した。


 ただ、彼女は少々変わり種であり、教義云々よりも神という超越的な存在そのものに好意を抱いた。

 それは神を敬うというよりは、「何だか凄いから好きー。結婚するー」みたいなミーハーな感情だったが、偶像、すなわちアイドルに憧れるという意味では大差なかったのかもしれない。

 彼女にとって、神とは、そんな存在だった。


 だから、彼女は求めた。

 ひとえに、神の存在を感じるために。

 その、御姿を一目拝見するために。

 ――――神と、直接、出逢うために。


 ……しかし、どんなに努力しても、どのような教えを学んでみても、神を身近に感じる事はできなかった。

 それは、詮無き願いだったのだろう。

 魔法といった神業が顕在化しているこの世界においても、神と対面した事実を証明できる者など居ないのだから。


 何年も追い求め、それでも諦め切れなかった彼女は、間接的にでも神の存在を感じ得るモノを探すようになる。

 そして辿り着いたのが、大自然を神として敬愛する教団――――自然現象好き好き大好き超愛してる教こと「自然崇拝教」であった。


 自然崇拝教は、「人の力が及ばぬ荘厳な自然現象は、人智を超越した存在である神そのもの」という思想を持った教団だ。

 大きな災いをもたらす自然災害=神と人類とが調和する事を目的に設立されており、単純に神を見たい彼女の願いとは大きなズレがある。

 それでも、崇拝する対象は同じであり、何よりも神を愛しすぎて災害を予知するスキルを発現させた彼女には、相応しい居場所となったのだ。


 自然崇拝教のシスターとなった彼女は、多くの自然現象と邂逅を果たし、その美しさに魅了されていく……。

 災害から人々を守ろうとするのは、神の声である預言を授かる意味が、そうであるからと教えられたため。

 彼女にとっては、人々を救うために予知している訳ではなく、ただ自然現象を追い求める途中に附随する人助け。

 ついでの人助けであるが、結果は変わらないため問題視される事はない。

 そして、当人も問題があるとは思っていない。


 それが彼女――――セシエルというシスターである。




◇ ◇ ◇




「この度は、誠に申し訳ございませんでした。街を襲った真っ黒な魔物は、アイテムで作った偽物でございます」


 住民の避難が済み、地揺れが収まった後、あっさりと驚愕の事実を暴露したシスターを前に、街の代表者達は驚きの声を隠せない。

 それでも、住民を守るためのやむを得ない手段だったと理解できたため、断罪の声が上がる事態にはならなかった。


 むしろ、忠告に耳を貸そうとしなかった身としては恐縮するばかりで、「皆様がご無事で何よりでございます」と無償の笑顔を見せるシスターに崇敬の念を抱いた。

 実際に被災したから丸く収まる話だが、もしも災害が発生しなかったら、偽の魔物で街を混乱させた罪で処刑されていただろう。

 それ程のリスクを一人で背負い、それでも他人である住民の命を優先させた彼女が女神そのものに見えたのだ。


 ――――実際、セシエルはそこまで深く考えて行動した訳ではない。

 ただ単に、神がわざわざ警告しているのだから、助かる手段があるのならそうした方が良いだろう、といった一般的な常識に従って行動したにすぎない。

 今回は偶々成功しただけであって、仮に説得が失敗し大勢が犠牲になる結果だったとしても、彼女は別段感想を抱かなかったであろう。


 住民の安否がいずれにせよ、彼女の本当の目的――――災害を目の当たりにするという目的は変わらないのだから。


「この地面が動く自然現象は、一度起こると何度か続く場合があるそうなので、街に戻るのは明日の朝にしてくださいまし」


 未知なる大災害を見事預言したシスターの言葉を疑う者は居ない。

 避難所として案内された丘の上には、どうやって準備したのかと首を傾げるほどの食料と布団とが大量に用意されている。

 災害はこれで完全に回避できたのだと、張り詰めた空気が和らぎ安堵の声が漏れる。

 何よりも、難民を導くシスターの微笑みが皆を安心させていた。



「――――セ、セシエル様っ! 遅くなり申し訳ありませんでしたっ!!」


 騒動が収まり、セシエルが地割れの痕を見ながら人知れず興奮していた頃、教団からの使者が訪れた。


 上下関係に興味がない当人は自覚していなかったが、予知スキルの頻度と精度がずば抜けていたセシエルは最高幹部として扱われていたのだ。

 彼女が田舎町に一人左遷されたように見えたのは、教団では対処不可能と判断された正体不明の災害に、果敢にも予知した当人自らが対応すると進言したためである。

 ……なお実際は、未知なる現象を見たい見たいと駄々をこねまくって周囲の反対を押し切った結果なのだが、それはさておき。


「あらあら、お疲れ様でございます。何か進展がありましたでしょうか?」


 この地に赴く際、セシエルは彼に地面が動く現象の前例調査をお願いしていた。

 自然崇拝教の歴史は浅く残された記録が少なかったため、王都の図書館で古い文献を調べてもらっていたのだ。


「は、はいっ。三百年以上前の文献になりますが、地面が裂けて建物が崩れる自然現象の記録がありましたっ」

「ああ、やはりそうでございましたか。わたくしが授かった神託の示す自然現象は、先程発生した地揺れで間違いないみたいですね」

「はいっ。僕もここに到着する直前に体験しましたっ。まさか本当に地面が動くなんて! 神の御業には本当に驚かされるばかりです!」


 使いの男は興奮した様子で相づちを打つ。

 その表情には少なからず歓喜も含まれていた。

 街の住民から見たら不謹慎だろうが、人では決して起こし得ない強大な力を体感し、自らが信仰する神の偉大さを確認できて嬉しいのだろう。


「セシエル様、せっかく詳細が知れたのに、報告が間に合わず申し訳ありませんでしたっ。この文献があれば住民の避難誘導も容易かったでしょうに……」

「いえいえ、たとえ文献があっても実物を存じない方に理解していただくのは難しかったでしょう。今回無事に回避できたのは、巡り合わせが良かったという他にございません」


「流石は正確無比な予知を誇るセシエル様ですねっ! 住民との交流が浅い中、これほど見事な避難を実行可能なのはセシエル様をおいて他に居ないでしょう!」

「いえいえ、本当に、偶然のたまものなのでございますよ」


 敬虔なるシスターは、偉業を誇ろうとせずに淡々と告げる。

 客観的な事実として、彼女がこの地を訪れなければ多くの住民の命が危険に晒されていただろう。

 しかし、セシエルは自分一人では為し得なかった事実を厳粛に受け止めていた。

 そう、一人の旅人との出会いがなければ、全て無駄に終わっていたであろう真実を。


「謙遜なさらずともよろしいですよ、セシエル様。何しろ、一つめの災害のみならず、二つめの災害も丘の上に避難する事で回避されていますっ。全く以てセシエル様のご慧眼には感服いたしますっ」

「――――っ!? も、もしかしてその文献には、二つめの災害までもが記されていたのですか!?」


 二つめの災害――――。

 その言葉を聞き、これまで淡々と対応していたセシエルの表情が驚愕に染まった。


「は、はいっ。セシエル様もご承知であられるからこそ、この丘の上を避難場所に選ばれたのですよね?」

「いいえ、いいえっ、違うのですっ。ここに避難したのは、然る方の助言によるものなのですっ!」


 セシエルが珍しく取り乱しているのには、理由があった。

 昨日、彼女はその助言者に、予知の内容を説明していた。

 ……残念ながらその男は聞き流していたが、彼女はしっかりと預言された災害が「二つ」あった事実を告げていたのだ。


 ただし、明確な状況が示された一つめの災害と違い、二つめの災害は発生する可能性が示唆されただけで、内容が全くの不明だったのである。


 まるで、その現象が気まぐれであるかのように……。

 どのような現象になるのか、まだ決められていないかのように…………。


 ――だからセシエルは、確定的な一つめの災害の回避を中心に考えを進めた。

 二つめの災害は、対処方法どころか発現さえも不確かであったため、結果として疎かになっていた。

 そんな正体不明の災害までも文献に記されていようとは、流石のセシエルも思い至らなかったのだ。


「――――そっ、その二つめの災害について詳しく教えてくださいましっ!!」

「は、はいっ。文献によると大きな地揺れが発生した後に、海から大きな波が陸地に押し寄せる現象が起こるそうですっ。この大波は、発生する頻度こそ低いものの、地揺れを大きく上回る被害を及ぼすと記録されていましたっ」

「あ、あの地揺れを超越する被害がっ!?」


 万物が住まう広大な大地を切り裂く地震でさえ未曾有の災害であったのに、それを遙かに凌駕する現象なんてモノは想像もつかない。


「大昔に発生した大波は、街全体を容易く飲み込み全て破壊したそうですっ。ですから海辺に住む住民は、大波の届かない高台へと逃げるのが最良だと思われます!」

「おーまいがっ!!」


 セシエルは高台への避難を進言した旅人の顔を思い出しながら、その彼から学んだ嘆きの言葉を叫ぶ。

 それと同時に、海の見える崖へと走り出した。


「セ、セシエル様っ、いったいどこへっ!?」


 上司の奇行に驚く部下の叫びは、もはや耳に入らない。

 慣れない全力疾走に息を切らせながら、彼女の脳裏に浮かぶのは疑問だらけ。


 セシエルに助言した旅人の男は、言っていた。

 自分にとって、地震とは見慣れた現象であると……。


 であれば、その次にやってくる大波の存在も知っていたはずだ。

 それは、高台を避難場所に選んだ事からも明らかなのだ。


(……あの方は、どうして二つめの災害を教えてくださらなかったのでしょうか?)


 男が、自然現象が二つ発生する予知を聞き漏らしていたとしても……。

 大波の可能性について全く触れようとしなかったのは、恣意的であり不合理なのだ。


(どうして、どうしてわたくしに、このわたくしに教えないの…………?)


 セシエルは男に裏切られた、と思った訳ではない。

 冷静に考えれば、文献に記されていたように大波が発生する可能性が低いこと、そして高台へと避難するのだから不確定な懸念材料をあえて伝える必要はなかったと、男が判断した可能性が高いのだが。


(ああっ、でも、全く別の理由があるような――――)


 セシエルは自覚していなかったが、そう感じるのは災害予知スキルが発動しているから…………。


 そう――。

 今まさに――――。

 彼女という観察者のもと――――――。

 本当の二つめの現象が確定しようと――――――――。




「ああっ、あれがっ、あれが大波!!」


 酸欠と予兆で高鳴る心臓を抑えながら、セシエルは崖の先へと辿り着き、その現象を眼下に捉える。

 まるで、強烈な意志を持って横一列に並べられたような、大きな大きな波が、陸地を目指して押し寄せてくる。

 大雨時に発生する河川の氾濫を見た事がある彼女には、その圧倒的な破壊力が想像できた。


(これでは、街なんて跡形も残らず流されてしまうでしょう…………)


 災害と名の付く現象は、何度も体感しているはずだった。

 その恐ろしさも、回避方法も、よく分かっているつもりだった。

 ……だけども、これほど広範囲で強大な力を持った災害を相手にしては、もはや人の身で何もできる事などない。


(ああっ、だからあの方は、教えてくださらなかったのでしょうか。この大波なる災害を前にして、わたくし達人類はただ見守る事しかできないのですから――――)


 迫り来る二つ目の自然現象を前に、セシエルが抱く感情は恐怖ではない。

 圧倒的な存在感を誇示する神へと向ける畏敬の念だ。


 神は、偉大である。

 その偉大さ故に、人々が苦しむ結果に終わる時もあるだろう。

 神の御業をどう受け入れるのかは、神に創造された人類が選択すべき自然の摂理なのだ。


(だから、災害を『止める』事はできないのでございます。わたくし達に許されているのは『避ける』事だけ。災害が訪れる場所から距離を置く事で調和し、自然と伴に歩んで行くしかないのでございます)


 結局、あの街は滅びる定めだったのだ。

 住民の避難は完了しており、これ以上、我々人類に許された選択肢などないのだ。


 これこそが必定。

 災害のあるべき姿。

 人の介入など許されない神の領域。



 ――――大波は、大きさを更に増しながら、街へと近づいていく。


(ああっ……)


 これまで見てきた災害を遙かに凌駕する力の奔流に圧倒され、セシエルは自らを抱きしめながら身を震わせる。


(ああっ、あああっっ!!)


 そして。

 その時を。

 純然たる神の信奉者は。

 恍惚とした微笑を浮かべて待つ。


(何という荘厳な自然現象なのでしょうか。これぞまさに、神の証明。いいえ、神そのもの――――)


 彼女は決して、人々の不幸を喜んでいる訳ではない。

 決して、街が破壊された姿を望んでいる訳ではない。


 ただそれが、神の存在証明に附随する出来事であるのなら、是非もないこと……。


(ああっ、神よっ、神よ! わたくしは、あなたを愛しておりますっ――――)


 だから、神の信者となったのだ。

 だから、神の声を聞く事を許されたのだ。

 だから、旅人の男が二つめの災害を教えてくれなかった理由に、不安を感じているのだ。


 だから――――――。


(そのお姿を、もっと、もっとわたくしに見せてくださいましっ――――、………………え?)


 次の瞬間……。

 街を飲み込む直前に、次々と消えてしまう大波を見て、セシエルは仰天した。


(消える? 大波が? 自然現象が? 神が、消える……?)


 茫然自失としながらも、スキルが真実を告げてくる。


 ――だから? 

 ――あの男が? 

 ――大波という神の現象を? 

 ――台無しにしてしまう事に? 

 ――焦りを感じていた?


(なぜっ、なぜっ!?)


 何故、こんなにも自然現象は美しいのだろうか?

 何故、こんなにも美しい現象が台無しにされるのだろうか?

 何故、神そのものである現象を消し去る事ができるのだろうか?


(こんなっ、こんなことが――――?)


 大波は、明らかに不自然な消え方をしている。

 街に向かっている大波だけが消えている事実からも、間違いないだろう。

 よってそこには、神なる現象とは別の意志が介入しているのだと確信できてしまうのだ。


(あの方、あの方が――――?)


 証拠は、何もなかった。

 セシエルの視界に、人影はない。

 そもそも、大波を消し去ってしまうなど、人の力で成し得るはずがない。


 ……それでも、誰の仕業かと考えた場合。

 不思議と余裕を感じさせ、大波の襲来を事前に知っており、この場に姿のない彼しか該当する者がいない。


 …………いや、本当は、そんな理屈など抜きに。

 彼女の災害を探知するスキルが、この所業に彼が関わっていると示唆している。


 それは、すなわち――――。


(そう……、そうなの、ですか…………?)


 セシエルは、今まで体験してきた災害を思い出していた。

 大きな風が吹き寄せる現象。風が渦巻いて高く立つ現象。大雨が降り続ける現象。雨が全く降らない現象。氷の雨が降り注ぐ現象。轟音と共に光が落ちてくる現象。星が流れる現象。などなど。

 場所によりけり、時期によりけりで、その姿は様々だった。


 その中で、たとえば大きな風と大雨とが同時にやってくる現象の場合、スキルが予知する災害は一つだけであったため、複数あったとしてもまとめて一つの災害であると認識していた。


 ならば、あの大波も地面が揺れるという現象に附随する災害ではなかろうか。

 原理は分からないが、地面と同様に海も揺れてしまい、大波という別の姿になったのではなかろうか。


 それならばっ、そうであるならばっ!

 地揺れと大波は、まとめて一つの災害であり。

 預言にあった二つめの災害とは、全く別の現象を示しているのではなかろうかっ!


 その二つめの現象は、意志を持っており。

 それ故に、どのような災害を起こすのか決まっていなかったため。

 明確に預言されなかったのではなかろうかっ!!


(つまり、つまりっ――――あの方こそが、あの方の存在そのものが、二つめの自然現象!!)


「ああ――――――」


 ……事実は、定かではない。


 預言を受けた本人が特定できない時点で、その現象には形がなかった。

 名前もなかった。

 故に、彼女が認識した時点で、それは特定の現象として世界に認定される。


 人が神の意志に逆らうなど、あり得ないのだ。

 神が起こした現象が無かった事にされるなんて、絶対にあり得ないのだ。


 だから、それがもしも、意志を以て成し得たのであれば……。

 それはもはや、一つの現象なのだ。


 ――――そう、神の現象に対抗しうるモノは、また、神であるのだと。


 それはまるで、神を庇うように。

 それはまるで、己の矜持を保つために。


 彼女は、そう、認識した。

 結論付けた。

 ……勝手に、決めてしまった、のである。


「ああっ、主よっ――――ようやくお逢いできたのですね」


 そしてこの日、新たな神が誕生した――――――。




◇ ◇ ◇




「――――ああっ、主様っ!!」


 その後、大波が消えゆく様子を余さず堪能した彼女は、静寂が訪れた浜辺で男に感謝と感激の意を示した。


 なお、感謝よりも感激の比率が遙かに大きかった事は言うまでもないだろう。


 神の代理である自然現象ではなく、長年求めてきた神そのものとご対面したのだから、無理からぬ話。


 当の男は、彼女からの崇敬の眼差しを地震の回避成功によるものだと勘違いしており、有り余るアプローチにうんざりしながらも、一応受け入れてしまったのだ。


 それは、男の隠された度量によるものだったのか、はたまた若い女性の好意を邪険にできない非モテ中年男の悲しい性であったのかは、定かではない。


 その場では何とか男が言い含めて、二人は別れるのだが…………。


 以降、大きな災害が発生する度に男は呼び出され、同じような茶番劇を繰り返していく事になる――――。


 ちなみに、彼女が呼んでいた「主様」とは、「シュ=神様」を意味していたが。


 翻訳アイテムにより意訳――――アイテムを使用している男の認識に準じて意訳――――された結果。


 男には「ヌシサマ」といった普通の敬称に誤訳されていたのだが、その行き違いに、二人は最後まで気づかなかったのである。



 ――――毒を食らわば皿まで、ではなく。


 毒にも薬にもなる二人が出遭い。


 毒を以て毒を制したお話。






◆ ◆ ◆






―――― ?日後 ――――






 世界には、無数の信仰が存在する。


 その中の一つである自然崇拝教は、人々の生活を守り、他の信仰との併用も認めているため、多くの者に受け入れられている教団である。


 当初は信者が少なく細々と活動していたのだが、海辺の街を大災害から守った功績をはじめ、必中とされる神託を以て神々の戯れに巻き込まれぬよう人々を救い続けた結果、今や大陸で有数の教義として親しまれている。


 そんな自然崇拝教には、予知スキルを授かった者のみに使用が許されるアイテムと呪文とともに、ある伝承が残されていた。


 回避さえも困難な自然現象と遭遇したとき、そのアイテムに向かって「おーまいがっ!!」と神の呪文を唱えると、人の形をした災害が出現して厄難が相殺されると言い伝えられているのだが――――――それはまた、別のお話。




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