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予感

「まったく。。。ここはどこだよ。。。」

と、真田亮は頭の中でつぶやいた。

ここ、兵庫魔法大学付属高校はまるで迷路だ。

「地図をインストールしないとどこがどこだかわかりもしないな。」

と、思いつつ彼は歩き回る。立ち止まり、仮想ディスプレイを立ち上げて時間を確かめる。入学式まであと10分といったところだろう。

「これは急がないとまずいな。」

ひとり言をつぶやこうとした瞬間、後ろから声をかけられた。

「あのー。」

見られたか?と焦ったが杞憂だったようだ。「仮想世界の技術を一般人がこんなところで晒していたらおかしいからな。」と考えていると

「新入生ですよね?ここで何をしているんですか?」

後ろを振り返るとそこには綺麗な女性が立っていた。髪が長く、そして綺麗で、目が大きい。

身長は153ぐらいだろうか。

「いや、少し道に迷ってしまいまして。よければ体育館がどちらか教えていただけませんか?」

「体育館ですか?

それならここから北西に行けばあると思います。」

「ありがとうございます。

あ、自分は新入生の真田です。あなたは?」

少し気になったので聞いてみた。

「私は西村 葵。

生徒会のうちの一人です。よろしくね。」

まあ、そうだろう。

新入生の入学式なんかに参加する上級生は生徒会の役員ぐらいだ。

「よろしくお願いします。西村さん。

では、失礼させていただきます」

「はーい。じゃあね。」

なんか急に馴れ馴れしくなったな。。。

まあ、いいか。

早くしないと遅刻してしまう。



体育館には着くことができた。

ギリギリだったこともあり、座る場所などもすぐわかった。

人の多さに嫌気がさしていると、司会の人が式を始めた。

式辞だとか、校長からの言葉とか、めんどくさいことばかりだ。

そんなことを思っていたら、寝てしまっていた。

そして、最後になってやっと目を覚ました。

「あー。。。

眠てぇなあ。

今から教室に行くんだっけ?

おれ何組だろ。」

そんなことを考えていたら、ある奴が声をかけてきた。海外の日本人魔法学校で一緒だったやつだ。短い髪をツンツンにしている。身長は168ぐらいで、結構気にしているらしい。おれは175ぐらいだから、少し見下ろす形になる。名前は北川(きたがわ) 創士(そうし)

中学で一緒のやつはこいつしかいない。

まず、この高校に入るのはほとんど、兵庫魔法大学付属中学校のやつだ。

エスカレーター式ではないが、転校でもしない限り違う場所の魔法高校に行くなんてことはほとんどない。稀に他の学校に誘われて行くやつもいるけどな。。。

「よう。相変わらずやる気のなさそうな顔してんな。」

ニコニコしながら言ってきた。

「ほっとけ。眠たいんだよ。ところでクラスってどこでわかるんだ?」

「ああ?そんぐらい知っとけよ。まあ、いいや。おれもまだだし一緒に行こうぜ。」

北川は呆れつつも笑いながら言った。



「さて。。。ここでクラスと専用の端末をもらうんだよ」

そこは校舎の下駄箱付近だった。

上級生と思われる人や教師であろう人たちが、手続きを行っていた。よく見たらさっき会った西村さんもいる。

向こうもこっちに気付いたらしく、手招きしてきた。

仕方ないので、北川と一緒にそっちへ向かう。西村さんは微笑みながら

「やあ。ちゃんと間に合ったかな?真田君。」

と聞いてきたので

「ええ。おかげさまで。助かりました。ありがとうございました。」とお礼を言いつつ、頭を下げた。

「もう。そこまで堅苦しくなくていいよー。ところでそちらの方は?」

北川の方を見て訪ねてきた。

北川は興奮や緊張を抑えられないように

「中学で真田と同じでした、北川です。よ、よろしくお願いします。」

と頭を下げた。

「そう。北川君よろしくね。だけど、2人とも堅苦しいよー。もっと楽にね。」

おれたちは返答に困って、苦笑してしまう。挨拶もしたので、本題を切り出した。

「すいません。クラス確認と、端末の受け取りに来たんですが。」

「あ、あー。そうだったね。えっと、北川と真田。。。」

名簿で探している。端末番号でも調べているのだろう。

「あ、あった!はい!こっちが真田君で、こっちが北川君ね!」

「ありがとうございます。」

2人で礼を言って端末に電源を入れた。しばらくするとスタート画面と思われる画面が出てきた。自分の情報を打ち込んで、指紋なども取ったみたいだ。

「学校でこんなものが配られるんですね。」

少し驚いて聞いた。

「魔法学校は特別だから。なんせ国の宝だからねー。」

もう慣れた。と言いたげに答えた。

ふいに北川が声をあげた。

「おっ。クラスとかはこれでわかるんですね。」

「ええ。そうよ。全校生徒の情報を集めたところから自分の情報を取り出してるの。」

「へえー。やっぱりすごいですねえ。」

北川は感嘆の声を発した。そろそろ時間が来そうだ。

「行こう。」と北川に言い、西村さんにお礼を言って、教室へ向かった。西村さんは「堅苦しいって」と言いつつ、自分の仕事に向かった。

「ところでおまえは何組だ?」

北川が聞いてきた。

「おれは5組だが。」

「おっ。おれもだ。また一年間よろしくだな。」

「そうだな。分かってると思うが、あの事は誰にも言うなよ?」

北川は少し目を伏せて

「わかってる」とだけ言った。

そんな会話をしていると、教室に着いた。




教室にはもう全員揃っていたみたいだ。ジロジロ見られたので、少し急いで端末に示してある席に着いた。すると教師が

「よし。今からホームルームを始める。起立。」

と言ったので、生徒が全員起立した。他にならって自分も席を立ち、礼をした。全員が座ると、教師はめんどくさそうに、ホームルームを進行させた。

「えーっと。とりあえず自己紹介だ。」天然パーマの長めの髪をガシガシやりながら

佐武(さたけ) 雄志(ゆうじ)だ。ちなみにレベルは70だ。」

その言葉を聞いてクラスにどよめきが起こった。

魔法使いにはレベルというものが存在する。0から100までのレベルの中で、70を超える人間はそう多くない。レベルの基準は使用魔法数や魔力量、魔力操作など、様々な要素から決められる。中学3年生では10を超えたら天才と呼ばれるだろう。高校1年なら18を越えればほぼ確実に学年トップになれる。さすが、専門の学校の教師というところか。どよめきがおさまったところで、佐武は話を続けた。

「70なんてのは教師の中では中の上ぐらいだ。このぐらいで驚いていたら学年主任の氷上先生のレベルを聞いたら心臓止まるぞ。」

佐武の言葉を聞いて再び生徒がどよめく。佐武はめんどくさそうにおさめて、言葉を続ける。

「いいか?このクラスは3年間一緒だ。そして他クラスや他の学校に戦っていかなければならない。つまり運命共同体だ。ということで、お互いの実力を知るために明日、模擬戦を行う。その時に仮想世界進入装置のことも教える。」

またもや生徒が騒がしくなるが、おさめるのがめんどくさいようでそのまま続ける。

「とりあえず、端末の使い方をしっかり覚えろ。操作説明書は今から送る。」

しばらくして端末に文書が届いた。他の生徒も同じようだ。開くとそこには説明書があった。保存の仕方も教わり、すぐに呼び出せるようにした。

「さて。。。あとは特にないな。まあ、なんかあったらメールを送る。ちなみにクラス全員の端末にメールや電話は送れるようになってる。やり方は説明書を見てくれ。じゃあ解散。」

佐武はめんどくさそうに教室を出て行った。クラスにはまだ動揺が残っている。そんな中北川がこっちに向かってきた。

「なんだ?」

と聞くと、あいつは

「外部から来たのなんかおれらくらいだろうし、他のやつに声かけようぜ。」

と言った。なるほど。確かにそうした方がいいだろう。

「そうだな。あそこに固まってる集団のところに行ってみるか?」

と言って立ち上がった。

「あのさ。おれら外から来たんだよね。いろいろわからないことあるし、教えてくれないか?」

北川が集団に向かって声をかけると、全員がこっちを見てきた。その視線に少し気圧されながらも、待っているとそのうちの一人が

「外から来たのか。任せてくれ。なんでも聞いてくれていいぞ。」

と言ってくれた。

「おれは北川。こっちは真田ね。」

紹介されたので

「真田だ。よろしく。」

と挨拶した。相手も口々に

「ああ。よろしく。」

とか

「どこから来たんだ?」

とか挨拶や質問をしてきた。

その時は学校も楽しくいけるかもな。と考えたりした。

だが、それは甘かったのかもしれない。

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