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堕天使編7


「そう言えば……」


木っ端微塵に大破している窓ガラスを見て、今更ながらに絶句する。

家が三階の角部屋だからと言っても、共同廊下に面する窓だ。これでは泥棒を呼び込むようである。


「やばい賃貸なんだよなぁ。どういう理由で説明しよう……」


「ごめん……ぼくのせい」


「いや、気にするな」


タンスから契約書を引っ張りだして、大家さんの番号に電話を掛ける。


理由は言わずただ、ガラスが割れたことを告げると、なんと奇跡なことに発注しすぎたガラスが大家さんの家にあるという。


しかも業者に明日の午後には付け替えてもらえるよう掛け合ってくれるらしい。


「た、助かります!」


『いいのよ。お金くれれば』


「あはは……いや、ありがとうございます」


あとで口座にお金を振込んでくれるよう母親に連絡しなければ……。


大家さんのおかげでガラスの件はなんとかなりそうだ。

お金はかなりかかりそうだが。


「ごめんごめんね……スイのせい」


「気にするなって言ったろ。大丈夫だ」


翠は口で先ほど自分で落とした小さな羽根を拾ってはゴミ箱へ運びながら、俺の顔色を伺う。


その仕草がまた可愛い。


「あ……」


「なんだ?」


「ケガしてる。ぼくの力じゃ治せない傷」


翠がよたよたと近づいてきて、俺の二の腕に残る大きな傷痕を舐めた。


「あぁ、これ?俺、昔事故に遭って。父さんと弟が死んで、俺と母さんだけ助かった。この傷、胸の方まであるんだぜ」


「……」


翠は深く傷ついた表情で俺を見上げた。


「なんて顔してんだよ。逆に思い出すだろ昔のこと。もう過ぎた事だから」


「スイ、へんな事聞いた。ごめん……」


「良いって言ってる」


「もう、ケガさせない。スイが守る」


「そりゃ助かる」


翠は瞳に強い光を乗せるとこくんと頷いた。

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