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12/14

一月 光を願う、夜明けを夢見る

新年おめでとうございます。ムーンガーデンも、あと二回になりました。

三月で一年、ひとめぐりという事で、終わりになります。

 一月。

 ノロウィルスが流行中。このところ、体調が優れない。頭痛と吐き気が続く。どうも罹患(りかんしたっぽい。

 それでも、ちまたで言われているほどひどい症状にはならなかった。横になって寝ていれば、どうにか過ごせる。

 毎日ひたすら、ペパーミントと生姜しょうがを飲み続けた。吐き気がすると、ミントと生姜。量り売りで買ってきたミントが、袋の半分なくなった。十二月から一月の間に、どれだけ飲んだのだろうと、呆れた気分になる。オレガノもかなり消費した。ピザによくかかっている香辛料。ノロウィルスを持つ牡蠣かきに投与すると、20~10パーセントまでウィルスが減るらしい。完全にカットはできないが、十活動しているウィルスが、二まで減るのは、感染した場合、体がかなり楽だという事だ。

 他に、ビタミンCも取った。みかんやローズヒップ。それがたぶん、良かったのだろう。

 体調の良い時に、伸びたハーブを刈り込んだ。ムーンガーデンや鉢植えは、気にかけてやる事ができなかったためか、荒れ気味だ。アリッサムの茎がひょろりと伸び、少し貧相な感じがする。白いパンジーは雪や風に負けたのか、うつむき加減に咲いている。

 雪。

 年末や年始に降った。積もって世界が真っ白になった。歩くたびに足を取られそうになった……二月に向かって、これからもっと寒くなる。

 熱いお茶が飲みたい。


 



 七草粥ななくさがゆを、一月の七日に食べた。


「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ。すずな、すずしろ、これぞ七草」


 有名な歌をくちずさむ。七種類の和のハーブを入れた粥。

 一月七日に七草粥を食べるのは、平安時代からあるらしい。由来は様々に言われている。体の弱りやすい時期に、薬になる野草を食べて体をいたわった、と言うのが一般的だ。他に、一月七日は、宮中の官吏の、新しい身分の発表の日だったので、「名を上げる」の「名」と「菜」をかけて、食べたと言うものもある。

 あまり美味しいものではない。

 だが正月を過ぎて、胃の荒れた時期。保存の為に、塩分を高くしてあるお節料理の後に、体に優しい、薬になる食べものを取るのは、理にかなっている。

 なずな(ぺんぺん草)はシェパーズパース、はこべら(ハコベ)はチックウィードという名前で、西洋でもハーブとして扱われている。どちらもちょっとした打ち身や傷の薬として、また、利尿薬として使われてきた。

 すずな(カブ)、すずしろ(大根)は、野菜扱いだが、これも体内の浄化に役立つ食べものだ。

 家庭菜園をしている人から、葉っぱつきの野菜を良くもらうので、カブも大根も、葉っぱまで全部食べる。肉も卵も食べているが、うちの料理は、野菜がとにかく多い。


「ふろふき大根とか、カブのあんかけとか……美味しいもんなあ」


 大根餅も好きだ。庶民の味的な感じが。大根の葉っぱも一緒に入れてしまうので、おやきかお好み焼きみたいになってしまうが。


「みぞれ鍋……」


 ともかく、根菜類が美味しい時期だ。




 図書館関係で、本の紹介を頼まれた。図書館と連携して、小学校に時折、お話の配達をしている。その関係から、たまに原稿を頼まれる。毎月発行している新聞に載せるらしい。コピーでちょっぴり配布するものだ。読んでいる人が果たしているのか、謎の新聞。見かけた事ないんだよなあ、あの新聞読んでいる人。


「子ども向けと……大人向けのも一冊、入れておこうか」


 考え込んで、三冊選んだ。



『アレクサンダとぜんまいねずみ』著/レオ・レオーニ

『キング牧師の力強いことば』著/ドリーン・ラパポート

『八朔の雪~みをつくし料理帳』著/高田 郁



 レオ・レオーニは、優しい色彩と、人間の本質をしっかりと見据える鋭さを持つ、それでいて、愛情深い作品を作る絵本作家。『アレクサンダとぜんまいねずみ』は、国語の教科書にも載った作品。

 おもちゃのねずみとの関係を通じて、アレクサンダは自分を探し、自分を見つける。この作品は、小学生には小学生なりの、中学生には中学生なりの、そうして大人には大人なりの読み方ができる。同じ作家の『フレデリック』と、どちらを選ぼうか悩んだのだが、こちらにした。

 ちなみに『フレデリック』の方は、イソップの『アリとキリギリス』をレオ・レオーニが考えたらこうなりました、という感じの作品。

 なお、イソップの『アリとキリギリス』(原作では『アリとセミ』)は、キリギリスは怠け者、みたいな解釈が一般的だが、本来は、アリの方が悪者だったらしい。アリを普通の市民たち、キリギリスを芸術家と考えると、夏の間、疲れた時に歌声でいやされていたはずのアリたちが、冬になると、「音楽ばかりやって、遊んでいたじゃないか」と言って顔を背けるこの話は、人間というものを見据えた作品だったのだと思えてくる。レオ・レオーニは、その辺りも知っていたのではないだろうか。

 『キング牧師の力強いことば』は、黒人差別の強かった時代、人々を励まし続けたマーチン・ルーサー・キング牧師の有名な言葉を、絵本にした作品。

 子ども向けの作品と言うのは、言葉の数が少ない分、作家にどれだけの力があるのかが、はっきりとわかってしまう。たくさんの言葉で何かを表現するのは、そこそこ力のある人にならできる。けれど、小学校三年生ぐらいまでの人間が知っている言葉のみで何かを表現しようとするのは、相当に内容を練り込んでいなければ、また作家が実力を持っていなければ、むずかしい。

 この作品の場合、キング牧師の生涯を描くと共に、彼の演説の中から、有名なものを抜き出して載せている。元々の牧師の言葉に力があるので、下手な扱いをすると、作家が喰われてどうしようもない作品になるが、ドリーン・ラパポートはしっかりとした作品に仕上げている。脱帽。


「私には夢がある(I have a dream!)」


 家に爆弾を投げ込まれ、殺してやるとの脅迫を受けながら、キング牧師はそう言い続けた。


「いつの日か、あのアラバマにおいてさえ、幼い黒人の少年少女たちが、白人の少年少女たちと、姉妹や兄弟のように、手を取り合う日が来るでしょう」

「どんな人でも立派な人間になれるのです」


 美しい夢。力強い夢。逮捕され、投獄され、最後には銃で暗殺されたキング牧師の言葉はしかし、死ぬことなく生き続け、今も悲しんでいる人や、苦しんでいる人をはげまし続けている。

 『八朔の雪』は、江戸時代を舞台にした、女の料理人の物語。


「女の料理なんて、食えるかい」


 初めて食べる者は、そう言って顔をしかめる。女の料理は家庭のもの、店で金を払って食べる料理など、作れるはずがない。そうした固定観念を、主人公のみおは次々とひっくり返してゆく。

 幼いころに両親を失い、姉妹のように仲の良かった幼なじみの少女とも生き別れになってしまった彼女の『心を込めた料理』を読んでいると、切なくなってくる。吉原の描写などあるので、小学生には勧めづらいが、高校生以上なら色々と考えて読むのではないだろうか。

 そういうわけで、選んだ三冊。

 レビューも書いた。ちょっと疲れた。


「甘いもの、食べたい……」

 



 紅茶屋さんからのメルマガに、余った黒豆を使ったケーキの作り方が載っていた。


「をを」


 作ろう、作ろう。

 ……と、思ったら、黒豆がなかった。父が全部食べてしまっていた。どれだけ甘いもの好きなんだ、父!

 うぬう、と思いながら、再度メルマガを見る。りんごをチンして作るアップルティーがあった。これなら作れそうだ。

 レンジOKのポットがなかったので、いちょう切りにしたりんごを耐熱の器に入れて、メープルシロップをかけ、焼きりんごもどきを作った。それを改めてポットに入れて、紅茶を入れてみる。


「デザートっぽい紅茶だね」


 しんなりした焼きりんごが余っているので、ブラウン・ベティも作ってみた。食パンがあればできる。グラタン皿にバターを塗ってざくざく切った食パンを敷き、その上に焼きりんごを並べて、汁をかけ、上にもう一度食パンを並べてオーブントースターで焼く。それだけ。


「りんご尽くし……シナモンが良い香り」


 外を見ると、黒く重い雲が、低く垂れ込めている。また雪が降るのだろうか。


『夕となり、また朝となった』


 創世記の言葉を思い出した。日本もそうだが、農業を中心としていた国では普通、一日の終わりは夜。暗闇が世界に落ちて終わる。

 しかし遊牧の民であった古代イスラエルの人々にとって、一日の終わりは朝だったと言う。夜通し、羊の番をするからだろうか?

 一日は、夜明けがやってきて終わる。

 闇は優位に立ち続ける事はない。どれほどつらい一日であっても、絶望に終わる事がない。朝が来る。必ず終わる。光がやって来て、闇を打ち破る。

 そうして古い一日が終わり、新たな一日が始まる。

 古代イスラエルの人々は、それをずっと見てきたのだろう。 

 今は、暗くかげって見える空。けれど。

 新しい年が、始まっている。

 光もいずれ、射すだろう。




※ 春の七草

 セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)。

 ここにある「ホトケノザ」は、現在そう呼ばれている植物ではなく、「タビラコ」の事。ゴギョウはオギョウや、母子草とも呼ばれる。

※ 創世記

 旧約聖書の創世神話が載っている部分。有名なアダムとイブの話や、神が七日で世界を作ったという話が書かれている。『夕となり、また朝となった』は、世界が作られた部分のフレーズ。闇が消え、朝になることで、一日が終わる、という意識を強調する書き方となっている。


参考文献

『アレクサンダとぜんまいねずみ』著/レオ・レオーニ 好学社

『フレデリック』著/レオ・レオーニ 好学社

『キング牧師の力強いことば』著/ドリーン・ラパポート 国土社

『八朔の雪~みをつくし料理帳』著/高田 郁 ハルキ文庫


参考にしたサイト

Longtailworld  Satomi Ichimura (市村佐登美) in Bay Area.

2006.2.28のブログ記事『キング牧師 「私には夢がある」:I Have a Dream Speech』



☆★「黒豆のクグロフ 作り方」★☆


材料 15cm型1台分くらい


・バター    120g

・てんさい糖  100g

・卵       2個

・薄力粉    120g

・ベーキングパウダー 小1/2

・黒豆煮(汁は切る)  150g

・シュガーシロップ  50cc

・ブランデー     50cc




作り方


1.バターと卵は室温に戻しておく。

2.ボールにバターを入れ泡立て器で練り、てんさい糖も入れて白っぽくなるまで混ぜる。

3.卵は溶いて少しずつ入れてゆっくり混ぜる。

4.薄力粉とベーキングパウダーは一緒にふるってヘラに持ち代えて3に混ぜる。

5.黒豆煮を軽く混ぜてサラダ油を塗った型に入れて180℃のオーブンで40分ほど焼く。

6.シュガーシロップとブランデーは合わせて人肌に温めて、焼き上がったクグロフの表面に塗る。



※5で黒豆を混ぜる際、1cm角にカットした栗(大5~6粒分)の甘露煮を入れて作ると栗の香りが奥深く、風味豊かで贅沢な仕上がりますョ!

 その際のシュガーシロップは、栗の甘露煮のシロップを50ccで作るとよいです♪

 このクグロフに合う紅茶は、ミルクティー専用紅茶!黒豆なので、ヌワラエリヤも合いそうですが、やはりバターケーキ♪ ミルクティーがぴったり★



「セイロン紅茶専門店ミツティ 

部活 メルマガ 黒豆のクグロフより」



☆★「りんごをチン! して簡単アップルティー 作り方」★☆



作り方


 1.りんごを1/4個を5mm厚さのいちょう切りにして、電子レンジOKのティーポットに入れ、蜂蜜大さじ1、シナモンパウダーを少量ふりかけてふたをしないで電子レンジで1分ずつを2回、合計2分程温める。


 2.この上にディンブラ紅茶を小さじ2入れて、沸騰したての熱湯を注ぎ、3分蒸らす。


あとは漉して飲むだけです♪


アップルミルクティーにする場合は、4分ほど蒸らすと美味しくなります!


※蜂蜜の代わりにグラニュー糖にするときは大さじ1弱程度で同じように楽しめます。


生のりんごをスライスして紅茶と一緒に蒸らしても美味しいのですが、今回はもう少しアレンジしてみました♪



「セイロン紅茶専門店ミツティ 

部活 メルマガ りんごをチン! して簡単アップルティーより」

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