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年中討伐!古知丸さん  作者: 雨樋 朔
東京郊外戦
7/8

さがす

「何しにきたんだよ。(れい)

「仕事だわ。カスが仕事奪ってんじゃねぇ」

「は?」

「おい。この無線は壱、弍班と繋がってるんだぞ。ここで喧嘩するな」


楡俣(にれまた)先輩が止めにはいった。

先輩はいつでも止めに入ってくれる。

すると突然、2人の喧嘩そっちのけで吉木さんが無線で話し始めた。


「オオプラナリアモドキ!発見しました。確かにジメジメしたところにいます」


なんと今まで見つからなかったモドキを、見つけたのであった。


「殺っちゃっていいですか?」

「ああ、構わない」

「了解」


吉木さんは入社7年目。トレードマークはメガネとベレー帽。いつもはふわふわしている。見た目はみんなの思う文学女子なのだが、とんでもないギャップがある。それはとにかく力が強いというところ。

昔の話だが、吉木さんがモドキに囲まれた時、近くにあった同じ身長くらいの岩を持ち上げて、モドキを制圧したという伝説がある。


そんな吉木さんにかかれば、オオプラナリアモドキなんて瞬殺。

吉木さんは近くにある巨木を、雑草のように引き抜いだ。


「いくよ!みんな!」

「...」

「え。乙原(おつはら)くん達。何ぼーっとしてんの?」

「いや、吉木さんの凄さに絶句してるんです」

「驚くほどのことしてないよ?」

「えぇ」


巨木を涼しい顔で当たり前のように引っこ抜く吉木さんを見て、みんな若干、いやだいぶ引いていた。


「じゃあちょっと危ないから離れてて」


吉木さんはついてきた後輩たちを、一度後ろのほうにどかした。


「おりゃぁ!」


すると突然、巨木をブンブンと振り回し始めた。


「エ、チョ」


人間とは思えないあり得ない動きに、オオプラナリアモドキも言葉を失う。


「チョ、チカヅイテ、クルナ!」


オオプラナリアモドキの必至の抵抗もやむなく、吉木さんにやって一瞬にして木っ端微塵になった。


「まあ、この一帯は全部やっつけたかな」


さすがの強さに後輩たちも、無線で一部始終を聞いていた司令部も、みんな空いた口が塞がらなかった。


「吉木。全部やったか?」


司令部の楡俣が声をかける。


「はい!この辺りはやっつけ...って、ちょっと待って。知らないモドキがいる」

「は?」


突然の吉木さんの発言に、司令部の人たちは動揺を隠せないでいた。


「そんなはずがないだろう」

「いや、目の前にいるんですよ」


なぜこの人たちがこんなに驚いているのか。説明をしよう。


討伐課の人たちは、上空(じょうくう)偵察班(ていさつはん)という空から戦場の状況を確認する班から、モドキが大体どこにどれだけいるかなどの情報を教えてもらう。それから戦闘を開始する。

上空偵察班の方々はエリートだらけなので、ミスすることは滅多にない。

だから知らないモドキが目の前にいるなんてことはあり得ないはずだ。

だがしかし、目の前に知らないモドキがいる。

事前に知らされていないモドキの出現。さらに見たことのない新種のモドキ。そいつが吉木さんの目の前にいる。それを考えると、身の毛がよだつほど恐ろしいことである。


「新種かどうかすらわからないから、どういう攻撃をされるかがわからない。見た目はヒトモドキっぽいけど、ヒトモドキにしては大きいし、ヒトモドキよりも圧がある。動けない。動いちゃいけない気がする」

「なんか他に特徴は?」

「特徴...。人型の何かとしか言えない。あとは強いて言うなら...翼?みたいなのとツノが生えてる。あとはほぼ人」


ツノと翼が生えていることから、人ではないことは確かだ。


「おい、古知丸はどこだ」

「誰かわたしの名前呼んだ?」


聞いたことないドスの聞いた低い声で誰かが私の名前を呼んだ。


「な、なんで古知丸の名前を」


吉木さんが動揺してる。

すると誰かが話し出す。


「そりゃ、古知丸と言う奴に会いにきたからに決まっている。お前らだって初めて行く場所なら、下調べをしてから行くだろう?それと同じだ」


誰が話してるんだ?なぜ私を探してるんだ?


「おい、吉木の無線機から聞こえてくるぞ」


司令部にある無線機から聞こえてくる音の波形を表すモニターを見ると、吉木さんの無線機を表す波が揺れているのがわかる。


「私の目の前のモドキが話してるんです。しかも流暢な日本語で」


モドキが話す日本語を拙く、カタコトになることが多い。発音がおかしかったり、言葉選びがおかしかったりといろいろ。おそらく人間と比べて知能が低いからだろう。

しかし、そのモドキはなぜか淡々と日本語を話す。そこら辺にいるモドキよりも知能の高いモドキ。そう考えることができる。


「ニンゲンはムセンキなるものを使ってコミュニケーションを取るのか。案外、知能が高いみたいだな。よぉ古知丸聞こえてるか?お前の動きは、さまざまなモドキやイサオを通してたくさん見てきた。いい動きをするなお前は」

「ちょっと待て。今お前、イサオって言ったか?」

「あ?言ったが」


突然、乙原の目が泳ぎ出した。汗もかいている。


「おい。乙原。どう言うことだ」


吉木さんの鋭い目線が乙原に降り注ぐ。

突然の連続で頭がこんがらがってきた。

吉木さん155cm

古知丸さん161cm

乙原君170cm

楡俣さん183cm


吉木さんは1.5mの岩をぶん回したようだ。

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