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「壬慈、俺以外の奴ともしてるだろ」
なんか不機嫌そう。
ピロートークくらいいちゃいちゃしたいなあ。
「何で他人の話出すわけ。ふたりでいんのに他のこと言ってんじゃねえよ」
「ごまかすなよ。誰と寝てんの?」
「ってゆーかそんなん今更過ぎじゃね?前から知ってるくせに」
「ホント節操ないねお前」
「莉亜も人のこと言えねーだろ」
隣で寝てる親友が顔を顰めるのを見て笑ってみせる。
ジョークだよこんなの。お互い言葉にする程のことじゃないってわかってる。莉亜は気にしてる風にしたいだけ、俺は気にされてるのが嬉しいって返せばいいだけ。
「心配してくれてありがとね」
そう言えば案の定、莉亜は
「わかってて言うな」
とため息ひとつ、笑みを零した。
「なんで今日に限って?」
「……怪我。乱暴にされてんだろ。もうそいつと会うのやめて」
おやおや
マジに心配してくれてるんだ。わー俺超愛されてるんじゃん。
なんてなー。
「壬慈の身体せっかく白くてキレイなのに、そいつと会った後に見るといっつも痣だらけだ。」
「莉亜の方がきれーだよ。莉亜の身体好き!あ、勿論中身も。身体目当てとかじゃないから」
「だからぁごまかすなって。お前はもっと自分の身体大事にしなきゃだめだ」
「大事にしてるよ」
「よく言う」
「ホントだって~」
ホントだって。
しずちゃんと逢うようになってからは特に、自傷行為は一切してない。傷害事件もかなりご無沙汰。なんでだろうね。わかんないや。愛されて満たされてる気分だからメンタル安定してる?
強請って言わせた愛の言葉なんて 本物じゃないのわかるでしょ?俺くん。
「莉亜はやさしーなー。俺よりしっかりしてるし兄貴って感じ」
「壬慈がフラフラしすぎなだけ」
「あっはは」
うん
それが表向きで
ノリが軽くて適度にチャラくて
たまに真面目ぶるくらいの楽しい関係が俺達にはベスト。
「莉亜がいなきゃなんもできねーかもー」
「俺がいても学校通えてないよね」
「ごもっともで!!朝起こして!!」
「そう言うんなら朝まで居ろよ」
笑いあって。
莉亜とはキスもセックスもできる
だって親友だから
嫌だったら断ってくれるし
信頼してるし
大好きな
大切な人だから
嫌なわけが無い
友人関係に「仲が良過ぎる」なんてことは無いよね?
親友ってお互いに思っているんだから何も間違ってないよ
好意も、
行為も。
「大好き 莉亜」
「まったく……」