『 風聲(ふうせい) 』 十首
詩だろうか歌と呼ぶにはひび割れて音と呼ぶには切実過ぎて
君という絵の具が欠けてここからは余白を埋めるだけの日々です
思い出をタブラ・ラサして手始めに区切りをつける線ひとつ引く
要るものはみぎに要らないものひだりさいごに残った僕をひだりに
とうめいな冬に吐息が溶けてゆくこの白もまたひとのにごりだ
火葬場で見上げた空に吹く風の何パーセントが祖父なんだろう
ひとつにはなれなかったね重なって剝がれただけの僕らだったね
バファリンの優しさだけが含まれた当たりが欲しくて半分に割る
名も知らぬ花君の名で呼んでみた少し余分に好きになる朝
この風はたぶん過去から吹いていてさびしい色が薄くついてる
〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇
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公式企画「俳人・歌人になろう!2023」参加作品です。
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