スキル
昨日の夜は交代交代で見張りをし魔獣が来たときのため木の上で寝たからか体がめちゃくちゃ痛い。
一晩スキルを使おうと心のなかで何度も絶対空間と言ったが全然発動しない。
空間と言ってもどれだけの範囲を操れるのかもわからないしどこまで操れるのかも分からない。
「体がめちゃくちゃ痛いね。」
「ああ、クソ痛い。」
「沙穂、珠姫、甘いね。異世界に来たときのために木の上で寝る練習をしている私は今日も元気。」
どんな想像しているんだか。
川に近づくに連れて恐らく出会う魔獣は多くなってくるだろう。
さらに魔獣は食べることが出来るのか出来ないのか。
食べることが出来るなら食料事情は安心だが昨日の酸を吐くカエルを食べられるとはどうしてもお思えない。
3人で川に向かって歩いていく。
歩いて3時間くらい経って岩の上で休んでいると急にバサバサバサバサと空の方から音がしてくる。
「楓、沙穂。空からなにか来た!!」
俺の声で3人で一斉に走り出す。
俺が空を見ると鳥の一匹がこっちにすごいスピードで飛んでくる。
俺が走って避けると鳥は岩にぶつかりくちばしで岩を少し砕いていた。
「楓、沙穂、急げ!!」
やばいやばい。防御のしようがないあんなの。
俺が懸命に走るとすぐ真後ろに一匹ずつ地面にくちばしを刺している。
まるで銃弾のように速く威力もやばい。
空を見るとあと20匹程おり、体力が持たないかもしれない。
「楓、沙穂。木の陰に隠れろ!!」
すごく太い木の裏に隠れる。
すると木に鳥がぶつかってきているのか後ろからすごい衝撃が来る。
寒気を感じ横を見ると鳥のくちばしが木を貫通していた。
1分ほどで衝撃がやみ、改めて木を見るとボコボコと木に穴が空きくちばしがある。
「楓、沙穂。この鳥、包丁で倒しておこう。」
俺達は包丁で木に刺さった鳥たちを一匹ずつ殺していく。
「ハッハッハッ我が経験値になれ!!」
楓は楽しそうだ。
「うわ、、、、血がついた。」
沙穂はまじで嫌そうだ。
そんな感じで1人7匹ほど殺し
俺は16レベでステータスポイントは15ポイントになっている。
「遂にこのときがステータス!!、、、5レベでステータスポイントは4ポイント。スキルは夢遊反写、かっこいい!!」
楓はよほど嬉しかったようだ。
「ちょっと恥ずかしいけどステータス。、、4レベでステータスポイントは3ポイント。スキルは薔薇創造、、、薔薇?」
どうやらレベルは最初は上がりやすいがどんどん上がりにくくなっていくようだ。
沙穂のスキルは分かりやすそうだ。
「沙穂、薔薇って出せるか?」
「うーーん。出ない。」
スキルはどうやったら結局使えるんだろうか。
そんな事を考えながら川に向かって歩いていく。
川が徐々に近づいてきたからかさっきから酸を吐くカエルにめちゃくちゃ出会う。
かれこれ10匹ほどにあった。
俺が4体、楓が4体、沙穂が2体倒した。
「珠姫、カエルって食べられるんじゃないの?」
菓子パンしか食べてないからか沙穂が空腹を訴える。
「普通のカエルは食えるがこの酸を吐くカエルは体内に酸をためてるだろうから食べたらお腹壊すし下手したら内臓が溶けるだろ。」
「こわ、」
「我が力、夢遊反写!!、、、何も起きない。」
楓はさっきからスキル発動を試みているが一向に発動しない。
「楓、スキルは一旦諦めろ。」
「えーーー。スキル使えたらこんなカエル、すぐ倒せるのに。」
「俺は今使えないスキルよりステータスのほうが気になるな。どれを中心に上げていくべきか、ステータスポイントは最初はすぐ貯まるけどやっぱりレベルが上がるに連れて1レベにかかる経験値量は増えてる。ステータスポイントもどんどん入手しなくなるだろう。」
「やっぱりスピードじゃない?攻撃が当たらなかったら意味ないんだし。私はスピード上げて疾風のなんとか、って呼ばれてみたいな。沙穂は?」
「私?そーだねー、、、マインド上げてまずこの空腹に耐えたい。」
「たしかに。」
ステータスポイントの上手い使い方を考えなくてはいけない。
スキルのレベルアップにもステータスポイントが必要だ。
だがどこまでスキルが使えるかわからない、となるとパワーやスピードに少しステータスポイントをふるしかない。
今のままじゃこれ以上強い奴らがでてくると危険になってくる。
それぞれステータスポイントで上げた未来を想像してみよう。
パワーだけを上げた場合、攻撃が当たらないほど速い敵相手じゃ無力だ、だが一撃必殺という意味では良いかもしれない。
ディフェンスだけを上げた場合、受けるだけの木偶の坊になるかもしれない、だが受けてからのカウンターを入れられるなら強いかもしれない。
インテリだけを上げた場合、純粋に身体能力で足りずせっかく考えた奇策ができないかも知れないが、集団戦であまり戦わないポジションの位置なら良いかもしれない。
スピードだけを上げた場合、攻撃は当たるが防御力の高い敵相手じゃ無力になる、だが剣なんかを持ってクリティカルを狙うならある程度戦えるだろう。
マインドだけを上げた場合、実践の戦闘では役に立たないかもしれないが、剣を使えるようにするために修行したりするなら我慢できる力も悪くない。
DVAだけを上げた場合、実践で使えるが見えていてもスピード足らなく当たらなければ意味ないし難しいところだ。
ラックだけを上げた場合、商人なんかになるには良いだろうし戦闘中でも運よく急所に入るなんかがあれば強い。
最後にまんべんなく上げた場合、格下相手だったら余裕になるだろうが格上相手ではどうやっても勝てないし尖ったステータスの相手に一撃入れられることもあるだろう。
難しい。
どうやってもうまくいく未来が見えない。
日本みたいにいっぱい人がいればそれぞれもっと特徴を見て考えられるのに。
「よし!!私はこれでいく!!レベルアップ!!」
「ちょ、楓何やってんの?」
「どうしてもスキル使いたくて。夢遊反写!!、、、、使えない、、、」
うーーん、スキルは結局どう使うんだろうか。
そうして異世界生活2日目は終わった。