異世界転移
「楓、沙穂。俺達はこれから異世界の生き物に会わないように空き地の近くにあるずっと光っているところまで行って異世界に行こうと思う。」
「異世界って安全なの?」
「正直分からない。だがもしこの島で起きていることが本土でも世界でも起きているとしたら?人間の生存範囲はどんどん狭くなる。さらにそんな状況になったら一部の人間は自分の強化のために異世界の生き物を独占して殺すだろう。そうしたら俺達は自力で生きていく力もないまま逃げるしかなくなる。それでもいいのか?」
「我は異世界の生き物を殲滅するほどの力が欲しい!!あんな奴らに恐怖で支配などされたくない!!」
楓はやっぱりこんな時でも厨二病だな。
「2人が行くなら2人じゃ寂しいだろうからついてってあげる。」
「じゃあ、あそこまで行くぞ!!」
「何で行くの?」
「車だよ。」
「車なんて乗れるの?というか誰の車使うの?」
「2人ともついてこい。」
俺達3人は卒業式のために速く来た先生たちの車が止めてあるところまで移動する。
止めてある車はざっと20台。
さっき聞こえた悲鳴で明らかにこの校舎の中からの悲鳴があった。ということはそれに気づいて車の鍵を閉めずに焦って逃げる先生もいるはず。
端っこから車のドアノブを開くか試していく。
12台目の車のドアノブを開けようとすると鍵がかかっていなかったのかドアが開く。
「楓、沙穂、開いたぞ!!」
「まじで開く車あったんだね。」
俺達3人は車に乗り込み運転するのは俺。
「大丈夫だよね?事故ったりしないよね。」
「マリオカートなら超得意だぜ!!」
そう言って俺はペダルを踏み急発進させる。
「まじでやばいって!」
俺は壁にぶつかりそうなところで一気にハンドルをきる。
「2人とも捕まってろよ!!」
俺は80キロくらい出して目的地を目指す。
すると急に目の前道ががピカッっと光りクマのような生き物がでてくる。
だがクマと大きく違うのは黒い角が生えていることだろう。
「どうすんの!!??あれ!!」
あれを避けて目的地に行く方法がないわけではない。
だがここでこのクマに車をぶつけて殺せればもしかするとスキルとステータス画面が出るようになるかもしれない。
「2人共、行くぞ!!」
俺は車のスピードをさらに上げ100キロ近い速度で角グマにぶつかる。
ドンッと鈍い音が響いて車の前の部分は完全にペシャンコになる。
クマは数メートルほど吹き飛びピクリともしない。
「このまま行くぞ!!」
また俺は車のスピードを上げる。
数分ほど、さらに走らせ目的地につく。
「あれ?光ってなんかないけど。」
「いきなり異世界に行くのは危険すぎる。水と食料だけこのスーパーで貰っていくぞ。」
俺はそう言って真っ暗のスーパーに入っていく。
どうやら店主は逃げたのか店にはいない。
何を異世界に持っていくべきだろうか?
水、食料。それは確実だ。だがこの人数でより長く異世界が森であっても生きていけるようにしたい。
500mlの水8本。スポーツウオーター500ml2本。
長持ちしそうな菓子パン12個。
あとは
リュックサック3つ。
殺虫スプレー3つ。
ライター4つ。
トイレ用洗剤1つ。
カビ取り剤1つ。
包丁4本。
これぐらいでいいだろう。
「勝手に持っていっちゃって大丈夫かな?」
「ふっこの我に使ってもらえるのだからいいだろう。」
「何いってんだ?楓。普通に万引きだがもうそんなこと言ってる暇はない。」
「そうよ。この私に使ってもらえるんだからいいのよ。」
「何ブツブツ言ってんだ。沙穂。行くぞ。」
「うん。」
俺は車を走らせ今度こそ本当の目的地につく。
さっき学校から見た時の光よりは少し弱まっているが未だに光り続けている。
「楓、沙穂。この光で異世界に行けるかわからない。異世界は行きていける場所かわからない。でも行くか?」
「「もちろん!!」」
「異世界には3人一緒に転移できるかわからない。それぞれ最善を尽くそう。生き残るぞ!!絶対に!!」
「「うん!!」」
そうして俺達は一斉に光の中に入る。
一瞬完全に意識が飛び気がつくと仰向けに倒れていた。
顔をあげると凄まじくでっかい、100メートルあるんじゃないかと言うほどの高さのぶっとい木が1本生えており周りは木ばかりの森だ。
楓と沙穂を探すと近くで仰向けに倒れていた。
ここから俺達の異世界生活が始まる。