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第4話 ミルクティー色の髪

 フィーネは目の前のミルクティー色のふんわりと気持ちよさそうな、まるでひだまりのような温かそうな髪を見つめて昔を思い出す。




***




「まあ、やっぱり『使用人の娘』だわね。汚らしいわ~」

「おくさま、もうしわけございません……」


 ある伯爵家で使用人と変わらない服を着た4歳の少女は、たどたどしい言葉遣いで返事する。

 彼女が「おくさま」と呼んでいる人物はこの家の伯爵夫人である。

 そして、この4歳の少女はこの家の紛れもない令嬢なのだが、彼女の母親は「伯爵夫人」ではない。

 伯爵夫人は近くにいた、彼女専属のメイドとその少女に聞こえるように話す。


「あの小汚い母親も、可哀そうよね~」

「そうですね、奥様~」

「だって子供とわかれて過ごすんだもの」

「奥様が離れ離れにしたんじゃないですか~!」

「あら、そうだったかしら?」


 嫌味な態度でけたけたと笑いながら、床を拭く少女に聞こえるように言う。

 雑巾を握り締める少女の小さな手は、かすかに震えて力が込められている。


「もうその辺で野垂のたれ死んでるかもしれないわね」

「まあっ!」


 アハハハという笑い声が少女の耳に入るが、彼女は唇を噛みしめて黙って我慢する。

 伯爵夫人とメイドが去って一人になったとき、彼女は一人服の袖で涙を拭った──



「フィーネ!」

「はいっ!」


 掃除を終えた午後には休む暇もなく伯爵夫人に呼びかけられてあることを命じられる。


「あんた見た目だけはいいんだから、今日のご挨拶に同行して次期公爵様の気を引きなさい」

「はい」

「その愛想のなさだけなんとかできないの? あと、お客様の前では『お母さま』だからね?」

「はい」


 子供ゆえにもう眠気が来ており、メイドに服を着せられる最中もウトウトとする。

 そのたびにメイドにきつく髪を縛られて、無理矢理に起こされた。

 そして彼女は小さなドレスを身につけて、慣れないヒールの靴をはかされて部屋に通される。



 部屋に入ると、そこにはすでに伯爵と伯爵夫人、そしてお客様の公爵と次期公爵となる少年がいた。


(なんてやわらかそうなミルクティーみたいなかみ……)


 フィーネの少年への第一印象はそれだった。

 そんな視線を感じてか、少年は席を立ってフィーネのもとに挨拶にくる。


「君がフィーネかい?」

「はい……」

「僕のことはオズと呼んでほしい。よかったら仲良くしてほしいな」


 その優しい微笑みは純粋無垢なようで、でもどこか不思議な雰囲気を漂わせた少年だと思った。


(なんだか、ふわふわしてるけどちょっとだけこわい?)



 そして少女と少年のこの出会いから数日後、二人は親の意思によって婚約することになる──

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!!


【一言コーナー】

ミルクティー色のふわふわの髪……

触ってみたいなあ。。。

オズはこの時10歳です。



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