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第83話 コレクション自慢じゃないよ!

 意味不明な戦闘を経て、クーヤちゃん一行はようやく秘密基地へと到着。



「ゴーレム1号召喚!」


 シュッ


 一行の前に聳え立つ大巨人が出現した。



「にょほーーーーーーーーーーー!カロリーゼロにゃーーーーーーーーーー!!」



 ぺち子姉ちゃんがゴーレムの側に駆け寄り、その逞しいボディーに身体を擦り寄らせる。


 いや、この大巨人はまだ召喚獣だって伝えてないのに、ちょっと無警戒すぎだろ!



「見せたいモノってのはコイツじゃねえよな?前回乗って遊んだから知ってるぞ?」

「おしいけど今回は気合が違うよ!」

「気合??なんのこっちゃ」


「ししょーーーーー!カロリーゼロに乗ってみたいにゃ!!」


 ぐぬぬぬ、うるさい猫だ。とりあえずゴーレムに乗せて遊ばせとくか。

 少しの間、ダメ猫のお守りをタマねえに頼むことにする。


「ゴーレムにはタマねえの命令に従うように伝えるから、ちょっとぺちこ姉ちゃんと遊んでてもらえる?」

「任せて」


 タマねえとぺち子姉ちゃんは、ゴーレムの差し出した掌に乗って肩まで運ばれて行った。


「うっひょ~~~~~~~~~~~!めっちゃ高いにゃーーーーーーーーー!!」

「危ないから出っ張りに捕まって」

「ん?ああ、これかにゃ?」



 ガシンッ! ガシンッ! ガシンッ! ガシンッ! ガシンッ! ガシンッ!



「にゃにゃにゃッッッ!歩き出したにゃ!凄いにゃ!格好良いにゃ!!」



 二人を乗せたゴーレムは、向こうへと歩いて行った。



「じゃあ見せるね!」

「何が出てきやがるんだ・・・。しかしもう、さすがに驚かねえからな?」



 ショタの召喚に応じ、残り9体のゴーレムが姿を現す。



「なんだこりゃあああああああああああああああああああああああ!!」



 いや、ものすごく驚いてるじゃないっスか。



「最近ここに来てなかったのは、コレを集めてたからなの」

「1、2、3、・・・9体?あっちのを含めると10体か。こりゃすげえな!」

「でも見せびらかすために集めたんじゃないよ?」

「あ?じゃあ何をするつもりなんだ?」


 この目的を伝えるためにわざわざ貧民街(スラム)まで来たのです。

 ゾウの試運転って名目だったけどさ。


「この街の入り口って全部で何ヶ所あるの?」

「街の入口?東西南北に1ヵ所ずつだが、それが?」


 4ヶ所か、それだとちょっと半端だなあ・・・。


「魔物のスタンピードから街を守る守護神だよ」

「スタンピード?・・・ああ!そういうことか!!」


 ショタが何をしたいのか察したようで、悪そうなお兄さんはその時の光景を思い浮かべている。


「でも4ヶ所だと、10体じゃ半端になるよね」

「10体か・・・、各門に2体ずつ配備して、残り2体は突破されそうな門に応援に行かせるのがいいかもしれんな」

「んーーーーー、門ってゴーレム2体で守り切れる?」

「いくらカロリーゼロといえど、2体では魔物を討ち漏らすだろう。だが兵士や冒険者が大量に控えてるから何とかなるハズだ。そしてこの巨人の存在は、皆に希望を与えてくれる!」


 悪そうなお兄さんがノッて来たぞ。


「じゃああと2体捕まえて来るよ。そうすれば各門に3体ずつ置ける」

「それなら鉄壁の防御だな!しかしそうか、スタンピードを想定してカロリーゼロをこんなに集めていたとはな・・・」

「でも内緒だよ?」

「なぜだ?」

「ボクが戦えるってことは家族にも言ってないの。こんな危険な魔物を大量に集めてる子供なんて気味が悪いでしょ?」


「・・・・・・・・・・・・」



 家の人達とはまるで接点のない貧民街(スラム)だから派手に暴れてるけど、出来れば家族には隠しておきたいんですよね。


 しかし家族といっても血の繋がってない居候の立場だから、怖がられるようなことになった場合は家を出る覚悟だってできている。


 まあその時はその時だ。



「悪そうなお兄さんに頼みがあるんだけど」

「頼み?」

「スタンピードが発生したら、『門の前にいるカロリーゼロは街を守っている』って噂を街全体に流して欲しいの。その後すぐゴーレムを設置していく感じ?」

「そういうことか・・・。俺の立場を最大限に利用しようとする所は流石だな。なぜ俺に付き纏うのかと疑問に思っていたが、全く末恐ろしいガキだぜ・・・」


 思った通り、ちゃんと話せば全てを理解してくれる人物だ。

 そして赤の他人っていう関係が素晴らしい。

 好き勝手やってても変に注意してこないから、とても気楽に付き合えるんだよね。


「わかった。馬鹿どもが守護神に攻撃することがないよう、街の隅々まで知れ渡るようにすると約束しよう。カロリーゼロの捕獲と設置は任せる」

「ありがとねー!じゃあお礼に美味しい物をあげるよ」

「お!?もしかして黒くて甘いヤツか?アレはもう一度食いたいと思ってたんだ」

「チョコレートもあるけど、今日はさらにもう1個あるんだよ!」


 ハンバーガーを召喚し、悪そうなお兄さんに渡した。


「外側の紙は食べられないからね」

「おお!こりゃあ美味そうだな!!」


 悪そうなお兄さんがハンバーガーにかぶりついた。


「うめえええええええええ!一体何の肉なんだこれは・・・」

「これは違う肉だけど、メメトンで作ったハンバーガーも美味しかったよ!今度そっちも持って来てあげるよ」

「ほ~、ハンバーガーって名前の食いもんなのか。このソースが絶品だな!!」



 そして悪そうなお兄さんがチョコレートも食べ終えた所で、要件は伝え終わったので解放してあげた。


 またすぐ来るだろうけど、悪そうなお兄さんを探し回ってた理由がわかっただろうし、もう次からは無理矢理捕まえなくても逃げないんじゃないかな?


 ・・・いや、逃げそうだな。

 

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