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第77話 電子レンジが脚光を浴びる

 珍しく、お昼に家族揃ってハンバーグ大会が開催されたわけだけど、ハンバーガーを作るならやはりあの黒いソースが欲しいという話が出た。


 そこで昼からはソース作りをすることになったのだけど、ウスターソース(中濃ソース?)の作り方なんて何となくしかわかんないんだよね。


 水の中に野菜・果物・調味料なんかを適当にぶち込んで煮詰めるってのは知ってるんだけど、どんな野菜を使ってるのかなどはすべて謎だ。


 なので二つの大きな鍋を並べてから、投入する野菜の組み合わせをメモって『どっちか成功してください!』作戦を開始。


 ある程度煮詰めるのに2~3時間はかかるんだけど、二つの鍋で作ったので、夕食までの間に4種類のソースが完成した。




 ◇




「全部美味しいんですけど!!」


 4種類とも味が違うし甘辛さもそれぞれ違うんだけど、味に変化を付けられるので、それがまた楽しかったりするのだ。


「私は『1番』が好みかな?でも、失敗作だと思ってた『4番』も癖になる味かもしれない・・・」

「全部美味しい。選べない」

「おいしーーーーーーーーーーーー!!」

「あのハンバーガーに近いのは『2番』じゃねえかな?」

「ハンバーガーを作った時、お皿に番号を書いた紙を貼っておけば、好みの味が選べて面白いかもしれないわね」

「お母さんね~、ソースによって具材を変えるのが良いと思うのよ~」

「なるほど!甘いソースに合う野菜を挟んだりするわけか」

「じゃあ、お野菜にソースだけをかけて食べてみれば良いんじゃないかしら?」

「いいかも!明日の夕食にでもやってみようよ!」



 昼も夜もハンバーグになってしまったけど、色々なソースで食べてるから全然飽きないのな!


 つーかそれよりも、家族のみんなであーだこーだ話し合いながら料理を完成させていくのが、楽しくてしょうがない。


 しかも完成間近まで来ているから、もう近いうちにハンバーガーショップを始められるかもしれないぞ!


 とは言ってもお金に困ってるわけじゃないから、『家族の誰かがその気になれば』って話だけど。


 お姉ちゃん達の昼食にハンバーガーを持たせるってのもアリだよね!

 地味に作るのが大変だったりもするけど。



「ナイフで切った時に出てくる肉汁が本当に食欲をそそるのよね~」

「あーーー!だから脂身の多い肉を選んだのか!」

「中に混ぜたお野菜も美味しさの秘訣かも!?」

「お母さんはね~、この細く切ったお野菜が好きかも~!」


 キャベツとは違う野菜なんだけど、千切りキャベツ風の生野菜をハンバーグに添えたのだ。それにマヨネーズをかけると、ソースと混ざり合って最強の味になるんですよね!!


 そういえばコンビニとかで売ってるハンバーガーには、千切りキャベツが入ってるのもあったような気がするな。


「もうちょっと食いたいけど、ハンバーグが無くなっちまったか・・・」

「あー、台所にお昼の残りがあるわよ?もう冷めちゃってるけど」

「それでもいいから食うぞ!」


 そういやお昼に作ったのが少し残ってたんだった。


「電子レンジで温めるといいよ?」

「デンシレンジ?」

「あーーー!昨日クーヤくんが出した道具じゃない!?」

「そうそう!アレは私もずっと気になってたのよね」

「じゃあ使い方を教えるね!」


 レオナねえと一緒に台所まで移動し、お昼に食べ切れなかったハンバーグ二つを皿の上に乗せた。


 そして使い方を教えるために、みんなを呼び寄せる。


「まず電子レンジの前の扉を開けます!そして温めたい物を中に入れます!」


 電子レンジの中にハンバーグを入れて扉を閉めた。


「2分くらいでいいかな?えーと、右のレバーをこの文字の所まで右に回します!中に入れる物によって温める時間も変わるけど、大体この辺りで大丈夫です!」


 この世界の文字じゃないので、『2』って言っても伝わらないのだ。

 数字くらいはみんなに覚えてもらったほうが良いかもだね!


 レオナねえにレバーを回してもらうと、中のランプが光ってレンジが起動した。


「中が光ったよ!」

「クルクル回ってる」

「え?これだけでいいのか?」

「これだけだよ!後は2分待つだけ~」



 チーーーーーン!



「ハイ終わり!レオナねえ、扉を開けてみて」

「そういや昨日もこんな音が鳴ってたな!」



 レオナねえが電子レンジの扉を開けて、中からハンバーグの皿を取り出した。



「おおおおーーーーーーーーーーーー!湯気が出てるぞ!!」


 そう叫んだレオナねえが、ホカホカと湯気を出しているハンバーグに触れた。


「熱ッッ!」


「「え?」」


 興味を持ったギャラリー達も、ホカホカのハンバーグをつついた。

 衛生上どうかと思ったけど、まあ最初だからしょうがないか。


「ホントだ・・・」

「これって、凄すぎないかしら!?」

「この道具が勝手に焼いてくれたのかしら~?」

「えーとねえ、焼いたんじゃなくて温めただけなの!」

「意味が分からない。でも意味が分からないのが普通になってきた」

「ほえ~~~~~~~~~~」


 タマねえのそのセリフも地味に進化してますね!!

 リリカちゃんはリリカちゃんで理解不能みたい。


「もう、冷めた食べ物をそのまま食べなくてもいいってこと?」

「焼くと硬くなるから冷えたまま食ってたけど、温めるだけってのが地味に有能なんだな!」

「正直、凄すぎて言葉が出ないわね・・・」

「クーヤちゃんの道具はどれも便利で、お母さん大好きよ~!」



 とうとう電子レンジが電化製品達の主役に躍り出た瞬間であった。


 それにしても、大好きの一言で謎道具を受け入れるお母さん、素敵です!!

 

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